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西園正都調教師

西園正都調教師

■■■ スプリント能力は一番!エイシンタイガー ■■■

-:その話題に上がった、エイシンタイガーですが。

西:この馬は抜け出すとソラを使うところあるし、7ハロン(1400m)でも1勝しているけど、6ハロン(1200m)で4勝しているように、スプリント適性が高い馬ですね。

-:その1ハロンの違いはどこから来るものでしょうか?

西:絶対的なスピードを持っているけど、スタミナ不足もあるのかなぁ。フッと気を抜くところがあるので、そこに気を遣って乗ってくれるといいのですが。

-:1200mでも気を抜かない工夫が必要なのですね。

西:京洛S(1着)の時はゴール寸前で遊んで、レディールージュに詰め寄られて。淀短(距離S)の時は、(武)ユタカが後ろから行ったところを謙一が閉じ込めて、そんな競馬初めてでしたからね。それでそこからスーッと抜け出して「これは次元の違う競馬をしたなぁ」と思ったら、次のシルクロードSで負けて、ガックリきましたね。「なんやねん」って思いましたよ(笑)。ピンク帽で(池添)謙一もいいイメージの競馬をしたいから、中団から行ったのに今度はスロー。7頭分くらいは外回らされて、結局は前残りで…。

-:それでは、3頭の1週前の状態としては?

西:どれも甲乙つけ難いですよ。実績で言えばフォワードだし、タイガーは1200mのスペシャリストでしょう。ヘッドライナーのコース相性という事ですね。理想はやっぱり3頭ゴール前横一戦がいいですよね。



■■■ 活躍馬をコンスタントに輩出している自厩舎について ■■■

-:先ほどのエーシンフォワードと、アーリントンCのコスモセンサーで土日重賞制覇も達成しました。

西:調教師は正月に清水英克君がやったと思うんだけれど、ウチは厩務員も同じだったんですよ。厩務員が土日で重賞に使うことも珍しいし、同じ競馬場で勝つってこともねぇ。その昔、馬が少ない頃ならまだしも、これだけ頭数が揃って、同じ厩務員で土日重賞勝てることまずないですよね。コスモセンサーは阪神の芝1600mの外回りは往々にして、スローになりますからね。石橋脩の殊勲です。前々走もレコード勝ちしているように、能力がスバ抜けているんだと思いますよ。

-:今年は関西馬が少ないだけに、西のスプリント界を背負う事になります。

西:今回、関東馬が多いんですよね。頑張らないといけないな。それでも、西にはビービーガルダンもいますから。阪急杯を走る前に、領家さんと並んでいて「ウチの馬勝てないかな?」って聞いてみたら「大丈夫ですよ、ウチの馬、休み明け走らないから」と言っていて。あとで調べたら、(ビービーガルダンは)休み明け凄く走っているんですよ(笑)。

-:実は自信があったんでしょうね。

西:あの人(領家先生)は飄々としているから、よくわからないけれどね(笑)。

-:昨年、ヘッドライナーとエーシンフォワードが最終レースを制した日にはイコピコも有馬記念に出走しました。

西:最終日はイコピコも8着に入ってくれて言う事のない一年でしたよ。

-:結果だけ見ると、イコピコだけ消化不良の感はなかったですか?

西:あの馬はJCに合わせて調整したのが良くなかったんですよね。

-:イコピコは阪神大賞典のあとは天皇賞(春)ですか?

西:そう、天皇賞が目標。今後は岩田(騎手)で行きます。当初は大阪杯で岩田に頼んでいたんだけれど、ドリームジャーニーとか出てくるんですよね。メンバー構成と本番まで中3週と言うローテーションを考えて、思ったよりも早く帰って来たので急遽、大賞典から使うことにしました。




-:先生は近年、毎年重賞勝ち馬を輩出されていますが、秘訣はありますか?

西:特別はありませんが、今年も馬房が増えて、従業員とコミュニケーションをとっているように、変わった事はやらないし、やらなければならない事を毎日続けている事がいいのでしょうね。

-:西園厩舎というと、調整方法にも確立されたものがあると思いますが、ポリトラックコースにはどうゆうイメージをお持ちですか?

西:ポリトラックコースはにあまりいいイメージがありません。時計が出過ぎるし、体力がない2、3歳馬はあそこで追い切ると壊れる。坂路の延長でサーっと上がるだけならいいと思いますが…。ガッチリ形の固まった古馬にはいいんでしょうけど。

-:やっぱり、坂路ですか?

西:ウチは坂路ですね。たまには怪我をする馬もいるけれど「坂路でダメだったら…」という意識が自分の中にも、馬主さんの中にもありますからね。

-:西園厩舎と言うと「坂路で好時計」という印象で、(管理馬の)ついつい馬券を買ってしまう事が多いです。

西:と、言われます、僕も。「西園さんのところはいっつも時計出ているよね」って。みんな数字でみますから。その昔、朝一番で追い切ってくるの、ウチと山内さんのところくらいだったんですよ。それまではみんな「体が温もっていないのに、一本目から坂路で追い切るのは馬が壊れる」って言ってましたが、このところ、みんな一番乗りで来るから大渋滞ですよ(笑)。「オイオイ、2本目じゃないとダメだ」って言ってた奴はどうしたんだろ(笑)。

-:ある意味、「坂路の先駆者」ですね。

西:いえいえ(笑)。たまたま一番乗りだっただけで。(一番乗りだと)馬場が良いからね。ひと通り馬が走ると、馬場がぐちゃぐちゃになって、やっぱり時計が掛かるんですよ。すなわち馬のダメージも違うんです。あと、時計が出る馬も多いんですよ。学(酒井学騎手)が乗って速いのはわかるけれど、助手が乗っても速いもんなぁ。短距離走る馬が多いから、直線のコースが合うのかもしれません。

-:わかりました。馬の事から、調教スタイルまで、色々と教えて頂いてありがとうございました。今後の活躍までお祈りさせていただきます。

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【西園 正都】 Nishizono Masato

1955年鹿児島県出身。
1997年に調教師免許を取得。
1998年に厩舎開業。
JRA通算成績は251勝(10/3/21現在)
初出走:
1998年3月7日1回阪神3日目7Rドクターブイ(13着)
初勝利:
1998年4月26日1回新潟2日目4Rマイネルユートピア・延26頭目


■最近の主な重賞勝利
・10年 阪急杯 (エーシンフォワード号)
・10年 アーリントンC コスモセンサー号)
・09年 神戸新聞杯 (イコピコ号)


騎手時代は303勝を挙げ、98年に厩舎を開業。坂路を主体として調整方法で、確かな実績を積み重ね、タムロチェリー(01年阪神JF)、フィールドルージュ(07年 名古屋グランプリ、08年 川崎記念)、イコピコ(09年 神戸新聞杯) 、エーシンフォワード(10年 阪急杯)などの活躍馬をコンスタントに輩出している。管理馬のメンコにあしらわれている赤いマークは、フロンティアスピリット、一番星の意味を込めている。