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岩田康誠騎手



プロフィール
【岩田康誠】
1974年兵庫県生まれ。
2006年に栗東・フリーでデビュー。
JRA通算成績は376勝(10/31現在)
初騎乗:2006年3月 4日 1回 阪神3日 1R キアヌバローズ(1着/14頭)※
初勝利:2006年3月 4日 1回 阪神3日 1R キアヌバローズ(1着/14頭)※
※中央移籍後
■主な重賞勝利
・07年宝塚記念(アドマイヤムーン号)
・04年菊花賞(デルタブルース号)
・07年京都新聞杯(タスカータソルテ号)

園田で2935勝を挙げ2006年中央に移籍。早くもリーディング上位の常連となる。地方出身だけに、内を突く意識は非常に高く、末脚を最後まで持たせる腕っぷしは一級品。




記者‐岩田騎手が「騎手になろう」と思ったキッカケを教えてください

岩田-「勉強が嫌いで体も小さかったので、漠然と『自分の力で何か仕事をしたい』とは思っていたんですが、たまたま中学校の三年生のときに両親と一緒にお好み焼き屋さんへ行ったんです。お客さんのひとりに『小学校何年生や?』と聞かれ『中学校三年生です』と答えると、ずいぶん驚かれました。さらに『競馬の騎手にならへんか』と薦められ、その後、両親が園田競馬の調教師に電話したことがキッカケとなりました。競馬のケの字も知らないほど、競馬にはまったく興味がありませんでしたね」

記者‐競馬に対する憧れみたいなものは無かったのですか?

岩田-「父親に連れられて近所の姫路競馬場へ行ったりしていましたが、自分が馬に乗るなんてことはまったく想像さえしませんでした。ただ、1カ月に何百万もの高給を稼ぐことができる職業との認識はありました」



記者‐公営の園田競馬でデビューされましたが、騎手生活のスタートは順調でしたか?

岩田-「デビューした年は24勝を挙げました。2年目以降は100勝、150勝とトントン拍子に勝ち星が増えていきました。これは周囲の理解と応援があったからこそです。園田競馬のおかげで今の自分があると思っています」

記者‐中央競馬への移籍を決めたキッカケは?

岩田-「地方騎手への特例(5年間で年間20勝以上を2回クリアすると、一次試験の筆記試験(国語・数学・競馬法規)が免除され二次試験(技能試験と面接)から受験できる)が実施されたことです。規定の20勝を達成できないで18勝くらいで終わる年もあり、悩んだりしたこともありました」

記者‐昨年はデルタブルースでメルボルンカップを勝ち、国際GIを初制覇しました

岩田-「戦前に過去5年分のレースをVTRでチェックしましたが、日本では考えられない多頭数の上、コーナーが急なので馬群を捌けるのかが心配でした。レースでは先行したので前にいるのは3頭だけ。感覚としては3~4頭だけで走っているという感じでした。直線粘るところ外から来たのがポップロックだったので、なんとか勝ちたいと意を強くしました。普通のGIのつもりで騎乗しましたが、勝ってからメルボルンCの歴史と規模に驚きました」

記者‐宝塚記念では初騎乗ながらアドマイヤムーンを見事勝利に導きました

岩田-「調教で乗ったときに『ケタ違い』という印象を持ちました。状態も良かったですし、武豊騎手からも『この馬は走るよ』と聞かされていましたから、何としても結果を出さなければならないという気持ちで騎乗しました。3~4角でゴチャゴチャしましたが、外を回って直線に向いても追い出しを待つ余裕がありました。松田博資調教師からも『残り200メートルから追え』と言われていましたし、自信を持って追い出せました」

記者‐中央競馬移籍2年目となる今年は、リーディング2位(11月5日現在)と好調ですね

岩田-「実は今年のはじめはJRAの騎手であるというプレッシャーから、あまり成績を伸ばすことができませんでした。しかし、夏の北海道での騎乗機会がいい経験になり、すべて吹っ切れました。尊敬するノリさん(横山典弘騎手)と一緒にレースに乗ることができ、会心のレース(7月15日、函館8R、イチゴイチエ騎乗、1着)も出来ました。また、牧場を巡っては調教に騎乗したりと精神的にも大変リラックスできました。さらには的場勇人騎手や浜中俊騎手など若手騎手との交流もあり、ちょっとしたアドバイスで彼らの勝ち星が増えたことも嬉しかったですね」



記者‐武豊騎手との熾烈なリーディング争いが行われています

岩田-「(武豊騎手は)雲の上の存在ですからね。ただ、今年あと2ヶ月でどうなるかは分からない。結果は後からついてくるものですし、もし今年リーディングを獲れなくても来年への励みになります」

記者‐昨年、952回という最多騎乗記録を更新されました。岩田騎手はそれだけの数を乗りながら毎レースごとにパドックで整列して礼をされています

岩田-「騎乗数が多いのは、数多く乗ればそれだけ勝つチャンスがあると考えているからです。騎乗数の多さを心配されることもあるとは思いますが、スタミナには自信がありますからね。パドックでの礼は、最低限の礼儀だと思っています」

記者‐最後に今後の抱負をお願いします

岩田-「家庭円満です(笑)。家庭でも楽しく、レースでも楽しくですね。すべてが上手くいくことを願っています」

★取材日=10/31
★取材場所=栗東・御園寮インタビュー室