ディープインパクト、オルフェーヴル、ナカヤマフェスタ、ゴールドシップなど幾多の名馬たちが挑戦してきた凱旋門賞。しかし、その頂き立った日本馬はいない。史上最強世代との呼声高き現3歳からマカヒキ(牡3、栗東・友道厩舎)が出走を表明。今年の日本からは数頭の出走が予定されていたが、最終的にマカヒキ1頭となった。日本の夢と希望を一心に背負い、凱旋門賞制覇の悲願達成へ渡仏。

熾烈な叩き合いを制した日本ダービー


-:改めてマカヒキ(牡3、栗東・友道厩舎)の日本ダービー制覇おめでとうございます。当日を振り返って頂けますか?

大江祐輔調教助手:ありがとうございます。皐月賞後、ダメージが少なかったので、強い負荷をかけられるようになり、またパワーアップしたことを実感しました。実際いい状態でダービーを迎えることが出来ました。

-:ダービー当日の気配はそれまでのレースから比べるといかがでしたか?

大:ビルドアップされて、筋肉量が増えたことで体重が増えたという印象はありましたし、動きに力強さが増しました。レース毎に体が丈夫になってきて、それに見合ったトレーニングをすることが出来ました。

マカヒキ

▲川田騎手と制した日本ダービー

-:前回、すごく落ち着いていることが特徴だとお伺いしましたが、当日もリラックスした様子でしたか?

大:初めて東京への輸送でしたが、いつもと変わらない様子で、何も心配ありませんでした。

-:思った通りの状態で挑めたということですね。レースは2枠3番からのスタートでスッと内につけてレースを進めました。

大:調教師とも話をしていて、ジョッキーも理想通りのレースをしてくれました。内の馬が前に行くといったように、周りは競馬の形が決まっている馬が多かったので、ジョッキーも描いた流れで経済コースを回ってレースをしてくれて、言うことのない内容だったと思います。

-:2着馬のサトノダイヤモンドを見ながらのレースでした。

大:サトノダイヤモンドだけが相手というメンバー構成ではなかったですからね。世代のレベルも非常に高かったですし、ダイヤモンドを見れたのは(勝因の)一つの要素ですが、周りとの距離を図りながらレース出来たことが大きかったと思います。

-:皐月賞より前の位置でというのは、レース前からお話されていたことですか。

大:そうですね。想定通りでした。下げれば、下げたなりのマイナスがありますからね。想定通りです。どこからでも競馬を出来ると思っていましたし、いい位置で競馬をすることが出来ました。

「またトレーニングして、大きくしていきたいです。あれだけのパフォーマンスを見せながら、まだまだ先を感じることが出来るというのが、すごく楽しみです」

-:レース後は放牧へ出されたと思うのですが、その間の状態などは確認されていましたか?

大:連絡は取っていました。マカヒキが牧場に行くのは初めてではないので、上手に扱ってくれて、順調にいい休みを過ごしたと思います。

-:7月に帰厩したと思うのですが、その時の第一印象はどうでしたか。

大:大きくなったなと思いましたね。1ヶ月ちょっとの放牧でしたが、馬が競馬を重ねることに成長していたというのを実感しました。

-:跨ってみてはいかがでしたか?

大:やっぱりしっかりしていました。まだ若馬らしい部分ももちろんあるんですけど、その中で成長してますね。また、いい状態で立ち上げられるなと、もう一段階も二段階もパワーアップ出来るという感触があります。ダービーの頃はビルドアップされて、筋肉隆々の体だったので、その頃よりは筋肉が小さくなっていますが、またトレーニングして、大きくしていきたいです。あれだけのパフォーマンスを見せながら、まだまだ先を感じることが出来るというのが、すごく楽しみです。

マカヒキ

-:凱旋門賞は日本馬から唯一の出走になりました。日本馬のトップとしての挑戦になりますね。

大:トップというのはまだ早いと思います。若馬と古馬では違いますからね。でも、そこに入って行くだけの力はあると思っています。これからどれだけ成長して来るかだと思います。

-:初めて古馬と対戦する上で、何か調整など気をつけるところはありますか?

大:同じタイムで走った競馬でも、古馬に混じると厳しさが違うと思います。やはり、子供同士で走るのと、大人に混じって走るのでは、感じるものが違うと思います。タイム的にはやれてもいい若馬が、古馬に混じると全然走れない馬だっていますからね。人間の計り知れないものがあると思います。マカヒキは精神的にも安定しているし、ポテンシャルの高い馬ですから、古馬相手でもやれると思います。

-:古馬と初めて対戦するのが、凱旋門賞になりますね。

大:まず、環境が変わり、競馬自体も日本とは違うと思います。馬群が密集していて、馬と馬とのボディコンタクトがあったりと、経験していないことがあるかと思いますが、そこは向こうに行って更に体幹を鍛えて、フランスの競馬に順応出来るように調整出来ればと思います。

マカヒキ

▲渡仏前に大江助手自ら跨り状態をチェック