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田中勝春騎手



プロフィール
【田中勝春】
1971年北海道生まれ。
1989年に美浦・藤原敏文厩舎からデビュー。
JRA通算成績は1265勝(10/19現在)
初騎乗:1989年 3月 4日 1回中京1日 2R チャンピオンミナミ(6着/11頭)
初勝利:1989年10月21日 4回東京5日 6R セキテイボーイ
■主な重賞勝利
・07年皐月賞(ヴィクトリー号)
・07年シンガポール航空国際C(シャドウゲイト号)
・05年全日本2歳優駿(グレイスティアラ号)

今年は金杯・ガーネットSを連勝するなど、年明けから好調。4月にはヴィクトリーで皐月賞を制し、初のクラシックタイトルを手にした。リーディング争いにも加わり充実したシーズンを送る。




記者‐今年は年明けから好調ですね

田中-「そうだね。特に今までと変わったことはないんだけど、スタートから金杯で重賞を勝てたし、流れがとても良いね。あと、シャドウゲイトで海外のG1を勝てた事も自分の中で自信になったし。・・・まあ、結局たくさんの人に応援してもらっているお陰だよね」

記者‐勝春騎手のご実家は牧場ということで、小さい頃から近くに馬がいた環境ですよね

田中-「そうだね。実家が生産牧場だったから馬がいて当たり前の生活だったし。初めて馬に跨ったのは小学校に上がる前辺りだったかな。もし騎手になっていなければ、って?考えた事ないね(笑)」

記者‐馬を育てる苦労もよくご存知ですよね

田中-「苦労ってほどでもないけど(笑)。こっちが教えてあげたことを覚えてくれると嬉しいよね。例えば、レースで慌てて走っていた馬が、何度かレースを使っているうちに落ち着いてゆっくり走れるようになってきたり。そういう時は、レ‐スを覚えてきたんだなぁ、分かってきたんだなぁと思うよ」

記者‐学習能力があるんですね

田中-「なかには無いのもいるけどね(笑)。走る距離でも、短い距離から一気に距離を延ばした時や、逆に長い距離をのんびり走っていた馬が短い距離を使うと最初は戸惑うかもしれない。でも大体の馬は競馬を使っていくうちに覚えてくるからね」



記者‐そうですか。ここでちょっと話題をかえて、騎手の1週間の仕事の流れを簡単に教えてくださいますか?

田中-「僕らは火曜日からが仕事始め。火曜は馬に乗る以外に、翌日の追い切りの打ち合わせをしたりする。水・木曜は追い切り。その週のレースに使う馬の追い切りがほとんどだね。この追い切りは割りと緊張するんだ(笑)。金曜日は朝、馬に跨ってから、調整ルームに入るって感じだね。遠くに遠征する時は早めに移動したり。トレセンの調整ルームよりは競馬場の調整ルームに入るほうが多いかな。で、土日にレースをやって、月曜日が全休日で唯一のお休み。これが基本的な流れで、交流戦がある時には地方の競馬場に騎乗しに行って。まあ、それだけたくさん声をかけてもらって乗せてもらえるのは幸せだよね」

記者‐勝春騎手が『ジョッキーをやっていて良かった』と思うのはどんな時ですか?

田中-「そうだね・・・ゴールして『勝った』と思った瞬間かな。やっぱりあの快感を味わっちゃうとね。これだけは実際に競馬で勝った事がないと分からないかもしれないけど」

記者‐競馬をまだやった事のない人に、勝春騎手ご本人の魅力を伝えるとすると?

田中-「うーん、そうねえ・・・あれこれ口で言うより、まずは競馬場に来てもらって実際にレースで乗ってる自分を見てもらうしかないね。そこで何かを感じてもらえる事ができたら、僕ら乗っているほうも嬉しく思うし。ライブで競馬を楽しんでほしいね。まだ競馬を見たことない人たちは是非、競馬場に来てください」

記者‐本当に明るくて爽やかな印象の勝春騎手ですが、たまには渋く重々しい感じにキャラを変えてみようと思ったことは・・・

田中-「無いよ!オレ、俳優じゃないからね(笑)。もし演じようとしても、絶対どこかで素が出るから。無理せず、このまま自然体で行くよ(笑)」

記者‐そうですか(笑)では、仕事をする上でこれだけは気をつけているという点がありましたら教えてください

田中-「体調管理だよね。とにかく僕らは体が資本だから。特別な事はやっていないつもりだけど、これまでに体調が悪くて騎乗できなかった事はないよ。おかげさまで減量には苦労してないし、とにかくいつもベストの状態でレースに乗れるように体調には気をつかってる、うん」



記者‐最後に今後の抱負をお願いします

田中-「そうだね、今まで同様、これからも良い馬にたくさん巡りあって大きな舞台でどんどん活躍したいですね」

★取材日=10/19
★取材場所=美浦トレセン・南馬場調教スタンド