皆さんこんにちはライター大和屋です。今回は前回予告したシンガポール遠征記を書こうと思います。

事の発端はとある飲み会の時の話です。たぶんアウトライアーズスプリングSの時の飲み会だったと思います。そこには丸山担オーナーは勿論、保坂和孝オーナーも同席していて、スプリングSの2着を悔しがりつつ、皐月賞の出走権獲得をお祝いしておりました。

その時にシンガポールで丸山さん、保坂さん(他2名の方)が共同で所有している馬が、この前シンガポールで行われたレースで昨年のシンガポールの年度代表馬を負かしたという話を聞かされ、今度G1レースに出走し、おそらくほぼ間違いなく1番人気になるだろう。更に言えば、他にライバルも見当たらないし十中八九勝つであろうとの話を聞かされました。ならば行くしかないでしょう。「応援に行かせてはもらえませんか」と気軽に言うと、「わかりました!では席を押さえておきます」と二つ返事で快諾していただいたので、せっかくならばと友人のそうへい君やプロソフトクリーマーの森川さん、親戚の恵子さんらで押しかけることになりました。

ここでジュピターゴールドのデータを少し紹介します。彼は父CONGRATS、母CONTENTED。お父さんはアメリカの馬でお母さんはオーストラリアの馬で、担さん、保坂さん、そして他2名の方がオーストラリアのセリに出向いて共同で購入した馬なのだそうです。オーストラリアで買った馬をシンガポールで走らせる。なんともグローバルな感じがしますが、それがいきなり大成功、あと一歩でG1タイトルに手が届きそうなところまできています。昨年のシンガポール年度代表馬を撃破し同世代には敵はいないだろうと目されているなんて、なんとも壮大な話ですね。こうなることを予期していたのか、熱帯のシンガポールの競走馬としては珍しく去勢をしていない牡馬なのだそう。

出走は5月14日の日曜日、なので僕らは土曜日に現地入りしてシンガポールを満喫する予定です。同じ週の水曜日にプロソフトクリーマーの森川さん所有のイイナヅケが休み明け2戦目で順当に笠松2勝目をあげて、あと一つで中央復帰が可能になるところまでこぎつけて、とても良い流れで一同はシンガポールへと移動です。一緒の飛行機に乗るのはそうへい君と恵子さん、さらには担さんのお友達のTさんも一緒です。飛行機前のラウンジでカレーとラーメンとかきあげ蕎麦を食べ、からあげ、ポテト、おにぎり、海苔巻き、お稲荷、無料のお酒をぐびぐびやって一次会は終了です。飛行機に乗り込めばウエルカムドリンクを皮切りに白ワインを飲み続け、機内食は迷わずに肉。映画を見ながら寝落ちして、気がつけばもうシンガポールに到着です。

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空港を出ると熱風が僕らを迎えます。そこは紛れもない熱帯地方、湿気と暑さにまたシンガポールに来たことを実感です。三回目のシンガポールはよい思い出になってくれることを期待しつつ、タクシーに乗り込み宿泊先のホテルへと向かいます。ぼったくられたり遠回りされたりすることもなく無事に宿へと到着、荷物を置いて一休みした後、皆で歩いて担さん、保坂さんが予約してくれた高級中華のお店へと向かいました。多少迷うことはありましたが無事到着、そこはレイガーデンという名前の、冷房がガンガンにきいたパラダイスともいうべき白を基調にしたおしゃれなお店。総勢二十名弱の大応援団が一堂に会します。

日本から僕らのように応援に来た丸山さん保坂さんのお友達、そして担さんと同じようにシンガポール在住のお友達など様々な人たちがそこに集いお酒を飲みました。そして食べます。次々と運ばれてくる豪華料理の数々、日本でもこんなの食べたことないのに!というくらい素人でもわかるような高級食材のオンパレード。恐縮しつつもうまいうまいと食べる僕たち。冬瓜のスープ、北京ダック、そしてあわび!いつもチャーハン麻婆焼きそばの僕らの中華とはわけが違います。はっきりいっておなか一杯いただきました。そして出発の朝スーツケースを持ち上げたときに腰にダメージを負い、飛行機の中で暴飲暴食をした僕は、ちょっとしたビールと紹興酒と大量の料理にに完全にやられ撃沈してしまいました。情けないことに僕の一日目はこれにて終了となりました。他の皆さんはもう一軒だったりカジノだったりと更け行く夜を満喫していたようでした。

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二日目。朝食バイキングをたらふく頂いた後、保坂さんの手配してくれたタクシーに乗り込んで競馬場へと向かいます。ベイエリアから車で30分くらい北上した先、動物園などがあるエリアのすぐ近くにクランジ競馬場はありました。競馬場に降り立った僕らは中へと向かいます。その競馬場はとても綺麗で南国風情満載の競馬場でした。建物の中へと進んでいくと来賓室のようなエリア、しかも個室が用意されておりました。ガラス張りでコースすべてを見下ろせ、大きな円卓が二つ、それこそ二十人ぐらいの人たちがゆったりと座って優雅に過ごせます。そして食べ放題の食事と飲み放題のお酒が用意されております。聞けば有料でこの個室を使うことができるらしいです。なんという贅沢な施設、日本にもあればいいのにとその場のすべての人が思ったに違いありません。

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レースは夕方、今はまだお昼ということで、食事を楽しみお酒をたしなみつつ馬券なんかを買ってみたりみなかったり、シンガポールの馬券は単勝、複勝、馬連、ワイド、3連複、3連単、4連複、4連単の8種類、特に4連単はキャリーオーバーが出ると盛り上がるそうで、キャリーオーバーの案内が出ると皆がこぞって買うそうです。ちょこちょこ馬券を買ってみましたが、やはり外国、かってがわからないことも手伝って、あまり当たりませんでした。まあ日本でも当たらないのは変わらないのであまり気にしないことにします。

馬券が外れた腹いせに僕は食べます。チャーハンうまい。そして辛いスープが激ウマです。出走表をよく見ると前に日本で走っていた馬なんかがいたりします。担さん、保坂さんのような日本人の馬主さんも結構いるようです。聞けば日本のように厳しい審査基準もなく、地方競馬の馬主資格くらいの収入があれば日本人でも問題なくシンガポールの馬主になれるそうですよ。飼葉代もかなりお安く、賞金は南関東レベルくらいはあるそうです。興味のあるかたは是非調べてみてください。

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さて、酔っ払いの大和屋が馬券を買ったりお酒を飲んだり、食事をしたりしているとあっという間に時間は流れます。気が付けばメインレースのシンガポールギニーはもう間近に。我らがジュピターゴールドは断然の一番人気、単勝は1.8倍、複勝は1.02倍。レイティングでも2番人気の馬より10程重い数字です。負けるわけにはいかない状況、なんとしても勝って勝利の美酒を浴びるように飲みたい!そう思っているのは担さんも保坂さんも同じでしょう。

第9レースが終わったのを見計らい僕らはパドックへと移動します。そこは日本のそれというよりは香港のパドックに近い印象を受けました。馬房があって全体的に丸いデザインのパドック。コースの裏側にあるのも似ています。担さん、保坂さんを先頭にパドックへと乗り込んでいくと、いましたそこに、ジュピターゴールド、気合が入って速く走りたそうにしているように僕には見えました。元ホッカイドウ競馬でリーディングをとったこともある高岡秀行調教師、主戦ジョッキーのアラン・ムンロもやってきてレース直前のご歓談。調教もうまくいき、状態も前走一度使って上向いてきているそうで、今回は負けられない一戦です。ちなみに前走は休み明けで不利があっての三着だったそうです。不利がなければ勝っていただろうというレースの後、それこそ負けられない闘いとなるはずです。馬房にいたジュピターゴールドが歩き始めました。立派な馬体、他の馬よりもひいき目ですが強そうに見えますよ。精悍な表情をしているジュピター君、きっとやってくれるに違いない。

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現地で厩舎運営をしている日本人調教師・高岡秀行調教師と

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しばしパドックで周回を重ねていた馬たちが本馬場へと向かっていきました。それを追いかけるように僕らも移動、ゴール板前の馬主専用エリアで観戦です。ウイナーズサークルをすぐ目の前にしたシートです。優勝カップがあらかじめ置かれているのが嫌でも目に入ります。表彰式を楽しみにしつつ、レースを待ちます。

しばしの後、シンガポールギニー(G1)(1600m)の発走時刻となりました。日本のようにファンファーレが鳴ることもなくゲートインが始まり、すっとすっとスタートします。その直後ジリリと馬券締め切りのベルが鳴り、レースが始まります。好スタートのジュピターゴールド、前へつけるかと思いきや、無理することなく後方で待機します。聞けばいつもの戦法だそうです。たんたんとした流れのまま馬群は3コーナー、4コーナーへと進んでいきます。

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ジュピターゴールドは最大のライバルと目されているCOUNTOFMONTECRISTをがっちりマーク、手応え抜群のまま直線へと向かいます。外に出したジュピターはムンロの合図とともにエンジン始動、COUNTOFMONTECRISTを交わします。このまま一気に突き抜けるかと思われましたが、前にもう一頭、逃げたFOREVER YOUNGが粘り腰を発揮しているではありませんか!皆の声援、怒号を受けてジュピターゴールドは前を行く馬との差を縮めていきます。が、3/4馬身まで来たところでゴール。悔しい2着とあいなりました。勝ったFOREVER YOUNGは人気薄の軽量馬、ジュピターゴールドとは4キロほどの斤量差がありました。楽に逃がして馬場が前残りの兆候を見せていたこともありましたが、本当に悔しい2着。一同がっくりと肩を落とします。

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担さん、保坂さんの気持ちを察するとなんと声をかけていいかわからなくなりますが、競馬の良いところはこれで終わりではないところ。まだクラシックは終わりません。来年にはシンガポールダービー(G1)が開催されます。そして、そこでリベンジを果たしましょう!との力強い言葉を二人からいただきました。日本と違いギニーの後のダービーは一年後なのだそうです。それを聞いた応援団一行は1年後の再会を誓い合うのでした。来年も応援に行きます!とここで言ったら実現しそうなので言っておきます。笑

さて、残念な2着ではありますが、僕らはそれでも生きてゆかねばなりません。というか飲みにいかねばなりません。一度ホテルへ戻った後、ラフな格好へと着替えて保坂さんが予約しておいてくださったおしゃれなバー的なお店へと乗り込んで、残念会の始まりです。マリーナベイサンズの近くにあるドリアンという特徴的な建物にあるかなーりオシャレなバー的なお店、ORGOというレストラン。そこで皆飲み、食べ、笑い、来年のダービーでの勝利を誓い、僕の友人のそうへい君が禁煙を宣言しました。

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そうへいさん(左)と丸山担オーナー

三日目。仕事の都合で先に帰国しなければならない人たちもいましたが、僕らはまだまだ遊び倒します。まずはマリーナベイサンズの地下にあるフードコートでチキンライスや小籠包をいただきます。ちらっとカジノで遊んだあとは仕事終わりの担さん、保坂さんと合流して夕飯です。三日目のごはんはシンガポールにある日本食のお店、三代目文治という居酒屋に集合です。初めて外国で美味しい和食を食べました。たらふく飲んで食べて、二件目はラーメン屋でフィニッシュしました。ああ、腹いっぱい。

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四日目、最終日は午前中の飛行機なので朝早くから移動です。時間があるので飛行場を見て回ります。ここシンガポールのチャンギ空港は世界一のエアポート、エンターテインメントや美味しいお店がたくさんあるので有名です。お土産なんかを買いつつ見て回っていると、あっというまに登場時刻がやってきました。あっというまの四日間。担さん、保坂さんのおかげで貴重な体験をすることができました。本当にありがとうございました。

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というわけで今回のジュピターゴールド応援ツアー、結果は2着となりましたが、来年のシンガポールダービーの時まで祝勝会はとっておくことになりました。ためてためて爆発させれば喜びも倍増です。来年こそはきっとやってくれるはず。こんな強くて将来が楽しみな馬を持つことができた担さん、保坂さんは本当に充実した競馬ライフを送っていると思います。G1優勝、その瞬間は結構すぐ近くまで来ているかもしれないですよ。その時が本当に楽しみです。そしてその時は一緒に喜ぶことができたらと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。そして今回応援に駆け付けたジュピターゴールド応援団の皆さん、来年のダービーのときにまたお会いしましょう。その時は反省会ではなく祝勝会になるよう運をためておきましょう。勝つぞダービー!