今週の新馬戦は良血牝馬に要注目!

今週は3日間開催、しかも京都、東京が開幕で評判馬が続々デビューすると期待したのだが、阪神でサトノアーサー、ムーヴザワールド、エアウィンザー、スワーヴリチャードらが出てしまったせいか、牡馬のほうは少々物足りない顔ぶれ。

それに比べ牝馬は、もったいほどのメンバーが揃いそうだ。それが京都の10日月曜日の牝馬限定1600m戦。一番の注目はヴィニー(牝2、栗東・池江寿厩舎)だ。セレクトセールで牝馬ながらに1億3500万の値がつけられた良血馬で、全兄のラヴィエベールは4戦3勝で将来が嘱望されている。

「牝馬だが体つきがしっかりしている。期待の1頭で、走ってもらわないと困る」と池江師。馬主がキーファーズなので、鞍上は当然武豊騎手だ。CW調教は(以降、調教は主に1週前のもの)6Fから時計を出し、5F67秒0-12秒0(一杯)と好時計をマーク。併せた相手を3馬身程追走し、きっちり先着している。同僚のサトノアーサーは先週の新馬戦で、届きそうにない体勢から同着に持ち込む底力を見せた。ヴィニーも、初戦から高い資質を見せてもらいたい。

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セレクトセールで億超えの牝馬・ヴィニー

血統では負けていないのがリナーテ(牝2、栗東・須貝尚厩舎)。こちらは半兄に菊花賞有力馬サトノダイヤモンドがいる。厩舎の情報から、まだ良化の余地は残すものの稽古の感じから、かなりのモノがありそうとの話も入ってきている。その調教では、重賞ウイナーのアドマイヤエイカンと併せて先着と早くも大物感を見せている。鞍上は川田騎手を予定。

この2頭に話題が集中しそうだが、他にも有力厩舎が期待馬を投入している。牝馬に強い角居厩舎からは、スズカマンボの近親になるクイーンマンボ(牝2、栗東・角居厩舎)。芝でダノンバトゥーラ(1600万)に先着し、軽快な動きを見せているようだ。

こちらも牝馬に実績のある石坂厩舎からヴィルデローゼ(牝2、栗東・石坂厩舎)。母が同厩舎に所属し、マイルCSを勝ったブルーメンブラットなら力が入るはず。調教は地味だが、直前調教で変わり身を見せたムーヴザワールドのパターンもあるので要注意。

「デム・ルメ」の2人を確保したのは次の2頭。ルメールが騎乗予定のレッドストーリア(牝2、栗東・安田隆厩舎)は、近親にレーヴディソールレーヴミストラルがいる一族。ポリトラックなので時計の判断がしづらいが、動きはいいようだ。

デムーロ騎手が騎乗予定のクールデザイン(牝2、栗東・平田厩舎)は、半兄がオープンで活躍したツクバコガネオー。中間に飛節の腫れがあってデビューが遅れたが、坂路で53秒4-12秒7(一杯)の時計が出ていれば大丈夫だろう。

他にもディープインパクト産駒のゼロメリディアン(牝2、栗東・高野厩舎)も予定していたが、相手を考慮と騎手の確保の問題から、芝1800m戦に向かう模様。牝馬だと、どうしても牝馬限定戦に出したがる傾向があるが、その意識が強いせいか、むしろ牝馬限定戦のほうが強いメンバーになることは、新馬戦だけでなく古馬のレースでもよくあること。今週の京都は中距離の新馬戦が2つあるため、メンバーは分散される。牝馬でも、牡馬混合戦にまわるのは巧い手だと思う。

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母父タピット×ディープのゼロメリディアン

その中距離戦だが、10日月曜日の芝2000m戦に、池江厩舎がエンドオール(牡2、栗東・池江寿厩舎)を投入。CWの時計も水準のものが出ており、初戦から動ける構え。近親にはビワハヤヒデナリタブライアンキズナファレノプシスらG1ウイナーが並び、クラシックの夢も広がる。

調教で目立つのはレッドコルディス(牝2、栗東・高橋忠厩舎)。CWで6F80秒を切る好時計を出し、5Fは63秒台、さすがに最後の1Fは13秒1とかかったが、これでも目一杯ではなく、かなりの脚力が感じられる。

他では、近親にソングオブウインドがいるサンジェルヴェ(牡2、栗東・浜田厩舎)、大魔神・佐々木氏の愛馬アヴァント(牡2、栗東・中尾秀厩舎)も出走を予定している。

順番が逆になってしまったが、土曜日の芝1400m戦には、POG関連本でも大きく採り上げられていたタイセイスターリー(牡2、栗東・矢作厩舎)がデビュー。半兄には、NHKマイルC勝ち馬ミッキーアイルがいる。「この血統らしくスピードがある。距離はマイルくらいまでは保ってほしい」と矢作師。

1週前は馬ナリで坂路55秒5と軽めだったが、2週前には坂路52秒8-12秒5を軽くマークし、3週前には重い馬場で51秒2と、すでに素質の片鱗を見せている。ここまで牡馬のマイラー系の有力馬が少ないので、この馬にマイル戦線を盛り上げてほしい。

POG1番人気のトゥザクラウンが栗東に帰ってきた!デビューの日も近い!

変わって東京だが、こちらも面白そうなのは8日の土曜日に行われる牝馬限定の1600m戦。ミッキークロス(牝2、美浦・国枝厩舎)は、半姉にオークス、秋華賞で入着したアースライズがおり、早くから活躍が見込める。調教は国枝厩舎らしく、デビュー前は4F追いがメインだが、しっかり負荷はかけられており、いい形でデビューを迎えられそうだ。

キタサンメジャー(牝2、美浦・奥村武厩舎)は、半兄に高松宮記念、スプリンターズSを勝ったローレルゲレイロがいる。奥村調教師が早くからべた褒めしていた馬で、師の高い期待に応えられるか。調教は上がりこそかかっているが、全体時計は悪くない。

他にも、近親にスリープレスナイト(高松宮記念勝ち馬)がいるエミットライト(牝2、美浦・斎藤誠厩舎)、近親にビハインドザマスク(重賞3勝)、コイウタ(ヴィクトリアマイル勝ち馬)がいるブラーゼン(牝2、美浦・栗田徹厩舎)が出走を予定している。

日曜日の2000m戦は、藤沢厩舎ゆかりの血統であるレイデオロ(牡2、美浦・藤沢和厩舎)が登場。祖母はレディブロンド、母はラドラーダ、半兄にティソーナと活躍馬が並ぶ。1200m~マイルで結果を残している馬ばかりだが、同馬は2000mデビュー。このあたりに高い期待感が見られる。鞍上はルメール騎手。

同日のダート1600m戦はシャープシューター(牡2、美浦・久保田厩舎)。調教では1600万の馬に先着しており、デビューへ向けて順調に仕上げられている。近親には、JBCスプリントを勝ったタイセイレジェンドがおり、この馬もダートのマイル以下の路線で活躍が見込まれる。

新規入厩で目を引くのはポポカテペトル(牡2、栗東・友道厩舎)。全兄にマウントロブソン(スプリングS勝ち馬)がいる良血で、マカヒキと同じ友道厩舎-金子真人HD-ノーザンFのラインを持つことも注目すべき点。2年連続ダービー馬誕生の期待もかかる。

評判馬アドミラブルの大敗がショックだったであろう音無厩舎-近藤英子氏-ノーザンFのラインからは、同じ一族のコペルニクスが入厩。こっちが走ったら、アドミラブルを指名したPOGファンもショックが大きすぎる。

再入厩組では、POG一番人気のトゥザクラウン(牡2、栗東・池江寿厩舎)が注目の的。順調に行けば、菊花賞デーの芝2000mあたりがデビュー戦か。少し前はここが「伝説新馬」と呼ばれたが、この馬が出走となれば久々に伝説新馬の言葉も出てくるだろう。

オークス馬シンハライトの全妹になるミリッサ(牝2、栗東・石坂厩舎)は、北海道で一時入厩もゲート試験を終えずに放牧に出ており、まずはゲート試験合格を目指す。

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トゥザクラウンが帰厩 4回京都でのデビュー目指す