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名伯楽と異端児の特別座談会【上半期ファイナル】

東の有馬記念と並ぶ位置づけのドリームレースが、西の宝塚記念。ファンからの人気投票だけでなく、中距離GTレースということもあり実力伯仲の接戦となる。とりわけ、本年は格別ともいえるメンバー構成で、グランプリ3連覇を目論む王者か、ここ数年レベルアップが著しい牝馬か、逆襲を目論む昨年のダービー馬か、それとも経験豊かな歴戦の伏兵か…。年に1度だけ演奏される専用ファンファーレに送られてスタートを切る出走各馬は、どのような戦いをみせてくれるのだろろうか。今回も増沢末夫氏に登場していただき、グランプリ的中のツボを教えていただこう。



三島: 増沢先生!今週は上半期最後のGT、宝塚記念です。梅雨時期ということもあって、毎年天候と馬場に悩まされるレースだけに意外と当てづらいという印象があります。

増沢: まあ、そうはいっても、春の総決算だけにビシッと締めなきゃいけないね。ところで、三島クンの大筋の見解は?

三島: よくぞ聞いてくれました。ズバリ、ブエナビスタVSドリームジャーニーの一騎打ちと見ています。これまで1勝1敗と五分。ここでハッキリさせてもらいたいですね。

増沢: ほー。僕もブエナビスタが現役最強クラスであることに異論はない。ドバイシーマクラシックで2着したように、その能力は国際的にも証明された。なんといったって、あのヨーロッパ最強牝馬ダーレミにコンマ1秒差まで詰め寄ったんだから。続く中7週の間隔をあけてのヴィクトリアマイルでは、完調といえるデキではなかったのに圧勝だもんね。牝馬の枠は完全に超えているよ。

三島: では、ドリームジャーニーに物申すですか?

増沢: そうだね、昨年の勝ち馬で、有馬記念も勝っていることからグランプリ3連覇が掛かっている。だけど2走前の京都記念、前走の大阪杯と2走続けて斤量59キロを背負って走った影響がちょっと心配。実際に天皇賞(春)も回避しているし、これまでの実績は認めても、今回はデキに関して不安がよぎる。僕の図式は、あくまでもブエナビスタ一強だ。

三島: なんという漲る自信。実に頼もしいです。

増沢: 加えて言えば、間隔が中5週の今回はゆっくり疲れをとって、実に入念に乗り込まれているからね。それに条件、舞台ともに文句なしだと思うよ。今回は素直に相手探しのレースだ。

三島: わかりました。今年の宝塚は華やかで、ブエナビスタ一色に染まるということですね。この馬以外に注目している馬を何頭か挙げて欲しいのですが。

増沢: その前にだね、阪神内回りコース(2200m)について簡単に説明しておこう。外回りコースだと序盤で脚を温存することで、どちらかというとスローな流れになり、直線でヨーイドン的な競馬が多いのだけど、内回りコースだと平均ペース以上の流れになり、結構逃げ、先行馬が残りやすいということを覚えておいて損はないよ。

三島: あっ、先生!1974年にハイセイコーで宝塚記念に出走しましたね。

増沢: よくぞ突っ込んでくれた!デビュー以来始めて単勝1番人気をストロングエイトに明け渡したけど、レコードタイム(2分12秒9)を記録して2着のクリオンワードに5馬身差で圧勝したからね。ホント、スイスイ逃げて勝っちゃった。この時、ダービーで負けたタケホープが出走していなかった事が何より悔しかった。ここで雪辱を果たそうかと思ってたんだけど…。まあ、このコースの印象は、うまく先行できれば前残りが多いということ。そういう意味で、前につけられるアーネストリーに白羽の矢を立ててみたいね。

三島: アーネストリー、佐々木晶三厩舎に佐藤哲三騎手といえば04年に勝ったタップダンスシチーを思い出します。その先輩に続けとばかりに重賞2連勝しての参戦。何か不気味に感じますね。あと、これまで関西馬37勝、関東馬13勝と地元関西馬が強いということがわかるのですが、劣勢の感もある関東馬の有力どころといえばどのあたりでしょうか。

増沢: ジャガーメイルが天皇賞(春)を制したが、年齢的にどうかな。東ではやっぱり、ダービー馬ロジユニヴァースでしょ。6月10日に2歳時以来となる栗東入り。弥生賞まで無傷の4連勝を飾る出発点となったゲンのいい阪神コースで、密かに復活を目指している。ダービー以来10ヶ月ぶりのぶっつけで臨んだ日経賞は6着に敗れたが、太目で不利もあった割に勝ったマイネルキッツとコンマ3秒差だから悪い内容ではない。天皇賞(春)を見送ったことを考えると、このレースにかける意気混みは相当だと思うよ。これは侮れない。

三島: ありがとうございます。それでは先生の見解をまとめますと、ブエナビスタは牡馬相手でも力はむしろ上で、今回も主役の座は譲れないということですね。割って入るとすればアーネストリー。関東馬では、昨年のダービー馬ロジユニヴァースの巻き返しに注意ということでよろしいですね。

増沢: そのとおり!

三島: 思い返せば、過去2年はウオッカが出走を回避したため、2年連続ファン投票1位馬が出走しないという宝塚記念となりました。しかし、今年は1位ブエナビスタ、2位ドリームジャーニー、3位レッドディザイア、4位ロジユニヴァースとなっており、ファン投票上位陣が軒並み出走(レッドディザイアは追い切り後の鼻出血で回避)を表明。まさに国内最強戦に相応しい豪華メンバーが集い、先日の日本ダービー同様、注目を集めるレースとなるのは間違いありませんね。

増沢: 上半期の最後に盛り上がるのは最高だね。終わり良ければすべてよし。来るべき秋に備えて、春の総決算レースはきっちり決めたいよ。

三島: ところで、先生。先週から夏競馬が開幕しています。競馬ファンの方に、何かひとつアドバイスがあればお願いしたいのですが?

増沢: ぶっちゃけ、旅行にでも行く感覚で思いっきり楽しんだらいいと思う。僕も現役の時は、中央場所以上に楽しんで騎乗していたから。楽しむってことに限定すればそりゃ極楽ですよ。たとえばメインは温泉で、仲のいい友達とのんびり競馬をやる。まさにパラダイスじゃないですか。今開催一杯、4歳降級馬だけはちゃんと見極めてね。

三島: ボクも大賛成です。あと、予想をする上で何か重要なことってありますか?

増沢: そうだな。夏を境にして急に成長する馬ってのがいるんですよ。ローカルで急に強くなって、秋になってもなお強かったという馬が出現するから。そういう馬を見落とさないようにするためにも、レースは欠かさず見ておいた方がいいと思うね。秋競馬に繋げるという意味でもね。競馬ラボでも夏競馬特集をやるんでしょ?

三島: はい、今週の宝塚記念が終了しましたら、思いっきり夏競馬スペシャルです。私も含め、競馬ラボ研究員が、あらゆる角度から馬券に役に立つデータ、情報を精査して、競馬ファンの皆さんに提供していきます。

増沢: それは楽しみだな。僕も活用させてもらうよ(笑)。ローカル場所は昔も今も主戦場だからね!



─ 増沢末夫 ─
ますざわすえお

1937年10月20日生まれ。北海道出身
中学卒業後、鈴木勝太郎厩舎に入門し、1955年・馬事公苑騎手養成長期課程を受講。
1957年・騎手デビュー。1966年・日本ダービーをアサデンコウで優勝し、重賞初勝利。
主戦騎手を務めたハイセイコー引退に際して発売された『さらばハイセイコー』は45万枚を売り上げる大ヒットとなった。
1991年・中央競馬史上初の通算2000勝を達成。その翌年引退し、調教師に転身。3165戦279勝の成績を残し、2008年に定年引退。




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