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ハープスター、豪脚で2歳女王をねじ伏せる強さ!!
2014/4/15(火)
14年4月13日(日)2回阪神6日目11R 第74回 桜花賞(G1)(芝1600m)
ハープスター
(牝3、栗東・松田博厩舎)
父:ディープインパクト
母:ヒストリックスター
母父:ファルブラヴ
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単勝支持率が66.8%と圧倒的人気のハープスター。18番の大外枠も、どの馬にも邪魔されない枠と思われていた。フクノドリームが後続を6馬身も離してのハイペースで飛ばす流れで、4角最後方。前にベルカントがいるだけの位置。カーヴを廻る時に、外へ出しての追い上げ。一瞬早く抜け出たレッドリヴェールに並び、最後は馬体を並べてのゴール。勢いで勝るハープスターが、クビ差先んじてのゴール。32.9の凄い上がりで差し切った。
しかし負けたとは言え、2歳女王のレッドリヴェールも素晴らしいファイティング・スプリットで闘志満々のデッドヒート。歴史に残る2頭となりそうな予感を与えたものであった…。
G1の日は開場がいつもより30分早い。8時半に開くのだがそんな時間からも見やすい席を確保と、けっこうな人が足早に動く。そして時間を追うごとに人が多くなってきた。メインの前からパドック廻りは多くの人で溢れる。やはり今年最初のクラシック、それも乙女と言えば《桜花賞》である。ひと目見ようと集まってくれている。
そんな喧騒をよそに周回する馬達。周回している馬でやや気合が入り過ぎかと思える馬を先にメモしておく。ニシノミチシルベ、モズハツコイ、そしてレッドリヴェール。この馬が一番きつめの気合いの入り方。それでも入れ込んでいるまではいかない。ハープスターも時々、気合が強く入る時がある感じだ。レッドリヴェールの体は、増減なしの418キロ。細身の体である。ベルカントは大人しく周回していた。騎乗合図がかかる前にスタンドへ戻って馬場入場を待つ。カウニスクッカが先に入っていた。続いてベルカントが2人引きで入ってきた。後から入ってきたホウライアキコが先にキャンターに移って、ゲートの方へと向かう。直ぐ後をベルカントが外ラチ沿いを軽く流して行く。ハープスターも馬場に入ってきた。キャンターに移って、眼の前を通っていくレッドリヴェールの柔らかい体のこなしを観てしまった。《これか!、これがこの馬の良さなんだ!》と判った気がした。すでに馬券は外れた予感がしたものだった…。
長年、競馬専門紙でトラックマンをやってきて、相当なる数の桜花賞をも観てきた。長い間で自分なりの馬の見立てであり、レースへ対するいろんなものを積み重ねていた、《つもり》であった。レッドリヴェールの様な使い方は、過去ではあまり好結果をもたらしていないと、自分の中では結論づけていた。パドックで観ていても、そんなインパクトは受けなかったレッドリヴェールだったが、いざ走ると途端に凄いキャンターを見せる。もう何か間違った答えを書いてしまったのが判った時みたいな感情を持った瞬間であった。
それもレースを終えてPVを何度も観て、ゴール前でハープスターに寄っていった闘志、《寄せていったのは鞍上の戸崎Jの行動であろう…が》根性である。ハープスターも強いが、負けはしたがレッドリヴェールも負けず劣らない猛女である。このローテーションを選択した須貝師にも、改めて凄さを感じたものであった。
ゲートが開いた。コーリンベリー、ニホンピロアンバーが出ていったが、その外をフクノドリームがスーッと前へ出ていった。そのまま内へと入っていき先手を取っていく。3角手前からドンドンと逃げ足を伸ばしていく。後続を離す逃げとなる。ハープスターは、スタートからジンワリとした感じで最後方となる。どうやら内へと入っていった様子である。その前がベルカントで、人気馬はおしなべて後方に待機している。それだけ流れが速いのであろう。今日は入れ込みがましだったホウライアキコ、その内にヌーヴォレコルトが、直後にアドマイヤビジンと内にレッドリヴェールが並ぶ。その後ろにレーヴデトワールとマーブルカテドラル。そしてベルカントとハープスターで先頭からは相当に離れている。
フクノドリームは軽快に飛ばす。4角を廻る時でも、後ろはまだまだ離れたまま。ただ1頭だけが先に直線へ入ってくる。視線はベルカントとハープスターを軸にレースを観ている。
直線に入ってきてベルカントが外へ出してきたが、その後ろをハープスターがさらに大外へと出して追い出す。フクノドリームだけが1頭前にいるが、そのかなり後ろで横一列に近くなって追い出した。レッドリヴェールが前のアドマイヤビジンの外へ出して追い出す。残り1ハロンを切ってもまだフクノドリームが先頭だったが、残り100が近づいた時にレッドリーヴェルが抜いて先頭になる。しかしその時にはハープスターが大外からグングン加速がついてきている時。あっと言う間にレッドリヴェールの横に並び、さらに前へ出た時がゴールだった。
ハープスターがレッドリヴェールをクビ差しか交わしていないが、実際はかなりの差があるぐらいの印象であった。そして3着は、ヌーヴォレコルトがゴール前で伸びて確保。しかしPVで観ると、アドマイヤビジンとホウライアキコとの間を割るのに少し待ち時間があったのも見逃せない。これも脚を持っている。ホウライアキコが4着で、内から出てきたレーヴデトワールが5着。ベルカントはゲートを出て直ぐに躓いていた。後ろで脚を貯める競馬に徹した様だが、やはりマイルは長かったのかも知れない。
2歳時から桜花賞はハープスターで仕方がないと言われてきた牝馬路線。さて、この後はどうなるのであろうか。火曜の朝はそんな話がアチコチで聞こえた。このままオークスへと進めるのであろうか。まだ時間が少しあるだけに、そこらの方向性も楽しみな話題となりそうだ…。
いい戦いを観た今年の桜花賞であり、いろんなローテーションがあるものだと、まだまだ未熟さを感じたものでもありました…。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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