早めに進出、ヒルノマレットが押し切る!

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14年7月26日(土)3回中京7日目5R 2歳新馬(芝1600m)

ヒルノマレット
(牡2、栗東・北出厩舎)
父:キングカメハメハ
母:ナムラクニヒメ
母父:キンググローリアス


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オルフェーヴルの弟、アッシュゴールドが当然の圧倒的1番人気。しかしフルゲートの最内枠と試練を与えられた。ゲートで少しもたついたが、その後は内から上がって好位でレースを進めるも、最後まで馬群の中で苦労したアッシュゴールド。逆に大外枠のヒルノマレット。

4角は2番手で廻る。そこからが勝負の分かれ目。3番手を絶好の手応えで廻ったピンストライプが伸びて勝つのだろうと観ていたのだが、その少し前のヒルノマレットが和田Jの豪快な手綱さばきに促されて、ゴールへまっしぐらに突き進んだ。直線でも内でもがいたアッシュゴールドは、僅かに最後に脚を使って前へとの意思を見せてはいたが、期待の大きさには応えられるものではなく、初陣は6着と苦汁をなめてしまった…。


圧倒的1番人気の支持のアッシュゴールド。このレースの少し前に、札幌の新馬戦で同厩のキャンディーハウスが1番人気の期待に応えてデビュー勝ちを収めていた。いやがおうでも高まる人気だ。
だが私の注目馬はピンストライプ。黒光りする馬体は素人受けするのだろう、本当にピカピカでもう輝いて見えていた。

まずはゲート、良く見ると大外のヒルノマレットは真っ先に飛び出している。逆にアッシュゴールドはやや立ち後れ気味。後ろから数えた方が早い程に、出は速くはなかった。しかしその後の行き脚は悪くなく、最内から好位まで難なく行けている。
松若Jはすっと先手を取っていく姿勢がいい。プレシャスルージュが先手。ウインジラソーレとピンストライプがそれに絡んでいく。ウインソワレがいいポジションにいて、外からスルスルとヒルノマレットが上がっていく。最初の1Fが12.6は普通だが、2Fめの12.4は遅い。そこで好位置に上がったのだろうヒルノマレット。最内からアッシュゴールドも7番手、前から4馬身もない位置に順位を上げていた。

道中でウインソワレが少し下がる処もあったが、総じて順位に変動もなく3角から4角へと進んでいく。最内のアッシュゴールドも悪くない位置にいる。4角では逃げたプレシャスルージュに並びかける積極策のヒルノマレット。直線に入ってきた時も手応え十分。逆にアッシュゴールドはやや鞍上の池添Jが手綱をしごいているが、ガツンと来ている感じがしない。

ラスト300を過ぎて追い出しにかかったヒルノマレットに、外のピンストライプ。内のネオスターダム、外のハギノナトゥーラの好位グループの伸び脚も鋭くない。
先頭で逃げ込まんとするヒルノマレットに、ウインソワレが外から脚を伸ばして迫っていく。ピンストライプの伸び脚はもうひとつである。逆に後ろからアングライフェン、そして後方にいたグァンチャーレが大外を鋭く伸びてきた。

勝ったのはヒルノマレットで、2着はウインソワレ。ピンストライプが何とか3着で4着、5着は出の悪かった2頭、グァンチャーレとアングライフォン。脚は持っているという解釈で良かろう。アッシュゴールドは最後までガツンと来るものが出なかった。何がなんだか判らないうちに競馬が終った、と言った感じではなかろうか。

函館2歳Sを連闘で勝ったアクティブミノルを擁する北出厩舎。2歳馬が、けっこう勝負強い馬が揃っていると言えるのではなかろうか。素質はあってもそれを出せないでいる馬が多い中で、こうやってスッと結果を出してしまう。それもある意味の厩舎力。今年の2歳馬は、そんなイメージがあるのかも知れない。
出が悪かったけれども、最後にいい脚をみせたグァンチャーレもこの北出厩舎なのである。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。