G1馬の貫禄、サダムパテックが大外を強襲!

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14年7月27日(日)3回中京8日目11R 第62回 中京記念(G3)(芝1600m)

サダムパテック
(牡6、栗東・西園厩舎)
父:フジキセキ
母:サマーナイトシティ
母父:エリシオ


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クロフネサプライズが今日は行った。前走のヴィクトリア・マイルでは先手を主張しなかった同馬。やはり逃げ馬は行くべしだ。例えそれが今回生きなくとも次に繋がる。
ユックリと行っている様に見えても、この緩い馬場では結構な流れ。1000mが1.00.1は遅くない。しかし4角を廻って脚色が鈍ったクロフネサプライズに代わって、馬場の内めからティアップゴールドがスルスルと前に出た時には後続との差がかなりあって《金星か!》と思えたのだが、ラスト50mから馬場の外、それもかなりの外目を通った馬の伸びがいい。道中では中団につけていたサダムパテックと、そのひとつ前にいたミッキードリームが併せ馬をするかの様に脚を伸ばしてきた。最後はハナ差の際どいものではあったが、勢いでは完全にサダムパテックが優っていた…。


珍しくと言っては失礼かも知れないが、ほとんど横一線のゲートの出であった。そんな中からクロフネサプライズが体半分前に出る。よもや控えはしないだろうなと危惧したが、内から来た2枠2頭の出方にも臆せずに前へと駒を進める。クラレントが最内枠だけにどう乗るのかと観ていたら、少し外へと進路を取った様子。
最内をサトノギャラントが追い上げていく向こう正面。3角を廻っていくが、クロフネサプライズは1馬身のリードで進める。連勝中のフラガラッハは真ん中より少し後ろ。その前にサダムパテックがジッとしていた。そんなに大きな変化もなく、4角へと入ってくる。
馬場の真ん中あたりを選んで廻ってきたクロフネサプライズ。ガラリと開いていた内へティアップゴールドが入って、コース利で一気に馬群の前へと出た。

姿が見え出した直線入り口。すでにティアップゴールドが2馬身程の先頭となっている。ラスト400mの時点では、クロフネサプライズはすでに馬群に消えかかっていた。横一列となったラスト300m。最内からダイワマッジョーレ、クラレントは馬群の真ん中。手応えが良かったのは一瞬だけで、そこからは伸びを欠く。変わってブレイズアトレイルが伸びて行く。その外をオリービン。その後ろを外サトノギャラント、ミッキードリーム、そしてサダムパテックの3頭が並ぶ様にして伸びてきている。フラガラッハはその少し後ろの外目。
ティアップゴールドがまだ粘っている。が、マジェスティハーツとブレイズアトレイルが伸びてくる。馬場の真ん中のオリービンも悪くない。しかし外からミッキードリームとサダムパテックが、それらをひとまとめに飲み込む様に脚を伸ばしてきた。結局はマジェスティハーツ、ミッキドリーム、そしてサダムパテックの3頭がゴール寸前まで優勢の脚色であったが、僅かに外からの順にゴールだった。

最後の1ハロンが13.1もかかった。その前、1400mの通過の1.24.0は遅くないタイムである。そこからのラスト1Fでかなり時計を要している。それだけタフな馬場コンディションであったと言えるのだろう。
最後の最後に馬場の外、おそらくこの二日間で一番の外目だったのではないかと思える程のところを、脚を伸ばして勝利した。ハンデ戦で58キロを背負いながらも、しっかりと伸びたサダムパテック。一昨年のG1、マイルCS以来の勝ち星。中間の気配に復調気配を感じていたし、この暑い気候も悪くないのかも知れない。そして何より、G1もしくはG2でレースをしていた馬、ハンデ戦でも格が違うとばかりの、ゴール前の脚色でもあった。

そして今回も思うのだが、関西馬に関東ジョッキーが乗って勝つシーンを、今年の重賞で何度見た事…か。これが現実だ。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。