直線はまっすぐに余裕の脚!ストレイトガールが連覇!!

ストレイトガール

16年5月15日(日)2回東京8日目11R 第11回ヴィクトリアマイル(G1)(芝1600m)

ストレイトガール
(牝7、栗東・藤原厩舎)
父:フジキセキ
母:ネヴァーピリオド
母父:タイキシャトル

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前の日から《芝が長い》とジョッキー達の言葉があった。確かに風にそよぐ芝が見られたほど。それでいて時計が速い決め手のいる決着が、土日のメインで要求された。レッドリヴェールが逃げ、途中からカフェブリリアントがその前を行く。ブリンカー着用の2頭が緩みのない流れを造る。3番手のインで脚を貯めたスマートレイアーが、直線入口から外へ出し先頭となる。が、ポッカリと開いた内を、それこそ脚色が1頭だけ違ったストレイトガールが突き抜けた。その後をミッキークイーンが伸びていくが、時すでに遅し。馬群の外をショウナンパンドラが鋭く伸び、2着争いはハナ差。
7歳となったストレイトガールが連覇。それも昨年のタイムを大幅に更新するレースレコードでの勝利であった。


パドックで馬を拝見する。スマートレイアーが、馬体が増えこそしないが、減っていないのを発表時に聞いて安心していた。だが、実馬はガッカリする。牝馬は特に腰、臀部がポイントと信じる。その腰骨がかなり出た感じで、丸みがない。鋭角のラインである。マジックタイムの好馬体、ショウナンパンドラの重厚な馬体に比べると、貧弱に見えてしまう。
返し馬では、ミッキークイーンがパドックと違って大きなキャンターで去っていく。ショウナンパンドラも大きなフットワークで走りに喜びを感じる。そして、ストレイトガールがパドックからやけに気になってはいた。

今週から、芝コースが先週より3m外へ出たBコース使用となる。内が有利、先行馬に優位な条件になるだろうのイメージを、誰しもが思ったはず。実際に条件クラスでは、前へ行った馬が残る結果が土日で続いた。
だが土曜の京王杯スプリングCでは、大外強襲のサトノアラジンが、2着にもやはり外からサンライズメジャーと、先行馬には出番のない流れもあったにしろ、馬場は決して内有利とは言えず。
パドックで、今回B着用のカフェブリリアントがチャカチャカしているのは気になっていた。レッドリヴェールが先手を主張して、スマートレイアーが引いて流れが落ちつきだした。前半3Fの33.8自体は、そう速いものではないはず。だがカフェブリリアントが3コーナー手前から前へと出て行ったことで、流れはよどみのないものとなる。800mあたりで先頭となったカフェブリリアントが、45.7で通過。次の1000mが57.2は前日の京王杯より遅いが、全体の距離が違う。

不思議なことに、道中の位置が、勝ち馬から3着ショウナンパンドラまでの3頭がほとんど同じ処にいる。馬込みの中でじっとしているストレイトガール。その少し後ろでミッキークイーンにショウナンパンドラが内外で並んで追走していた。
直線に入ってきた先頭のカフェブリリアント。やや馬場の内でなく3頭分ぐらい外を廻って行く。スマートレイアーはその外へと出していく。直後に位置していたマジックタイムが、スマートレイアーの外へと進路を動く。そこでパカっと前に空間ができたストレイトガール。すでに直後のミッキークイーンの浜中Jはステッキを入れて促しているのに対して、何も手綱が動かずにトップスピードに入っている。
一気に前2頭の中を抜いて先頭となるストレイトガール。あっと言う間に1馬身2馬身と差を開いてしまう。ミッキークイーンがその後を追う様に伸びていく。まだ外からショウナンパンドラも来た。そしてスマートレイアーも粘っている。マジックタイムの外へルージュバックも伸びだしているが、ここでは前に届かない。ストレイトガールが余裕の着差でゴールインしていった…。

去年の勝ち時計の1.31.9に、ミッキークイーンにショウナンパンドラも達してはいる。だがそのコンマ4秒前にストレイトガールがいた。7歳と、もちろんメンバー中の高齢馬である。だがこの活力はどうだ。今日で30戦目であるが、まだ更に進化した感じである。
勝ち馬を除けば、人気どうりの入線である。だが勝ったストレイトガールのレース運びとコース取りの上手さか、これだけの差が出てしまった。しかしミッキークイーンにしろショナンパンドラにしろ、距離のマイルが絶対にいいという馬ではない。これからまだまだ活躍の場が待っているだろう。
スマートレイアーは、やはり東京コースよりも輸送の短い処のほうがいいのかも。今日は馬があまり良くないなと思ったのが当たってしまった。 クイーンズリングは、馬体の数字は増えているのに細く見える。レッツゴードンキも雰囲気は悪くないのだが。長期休養明けのショウナンアデラは、今回は仕方あるまい。次に使う時が正念場になるのだろう。

いやはや、競馬は本当に毎回毎度が違う対戦相手、流れも馬場もといろいろあって、本当に難しいな…と帰り道の脚が重かったです…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。