まだ主役は譲れない リッキー武豊「得意な条件だけに走ってくれなきゃ困る」

コパノリッキー

●5月5日(祝・金) 第29回 かしわ記念(G1)(ダ1600m)

昨年の覇者コパノリッキー(牡7、栗東・村山厩舎)が近走の不振を払拭する見事な走りで、差し切りでの連覇を決めた。

1枠1番に入ったコパノリッキーはハナ主張する馬には対抗せず、やや抑え気味に馬群の中団を選択。鞍上の武豊騎手は「枠が1番ということで色々なケースを想定していましたが、スタートは決して得意じゃない馬。こういう形になったら、先行策は頭になかったです」と瞬時の判断でポジションを下げた。

G1馬モーニンがハナに立ち1コーナーをカーブ。前を行く中央勢5頭を見る形で単独の6番手でレースを進める。「今日は内側が深い馬場でしたし、こんな形もある程度は考えていました。前半に力んで後半にバテるレースも多かったですからね。思い通りにいきました」とレース後語った武豊騎手は折り合いに専念して、向正面を通過。

3コーナー付近で距離を縮めると外を回って進出を開始。管理する村山明調教師は「ユタカさんとも話して、ゲートを出てからは上手く外に出して、3年前のような競馬になればと思っていました」と話すように、スムーズなポジション取りで外から追撃。番手のブラゾンドゥリスがモーニンを捕らえにかかり、内ではインカンテーションが抜け出しのタイミングを図り、外にはベストウォーリアが位置して、更に大外からコパノリッキーが末を伸ばす。

コパノリッキー

▲コンビでかしわ記念連覇を果たした武豊騎手

直線を向き、武豊騎手がムチで気合を入れるとコパノリッキーも素早く反応を見せ、あっと言う間に先頭へ。200m地点を過ぎてからは、独壇場で、G1・9勝馬としての貫禄を見せつけた。

レースを終え、武豊騎手は「本当にここ数戦はこの馬らしい競馬が出来ていませんでしたが、道中はいい雰囲気でしたし、得意の舞台だけに走ってくれないと困るという思いでした。いまだに掴み所がなく、なぜ走ったのか、なぜ負けたのかがわからない馬。今日も決して出来がいいとは思わなかったですからね(苦笑)。

ただ、走った時は強いし、昨年もこのレースを機に復調してくれました。まだGWもありますし、ボクも明日、明後日と頑張りたいです。しかし、なんで走るのかわからないんだよなあ。風水次第かな(笑)?」と和やかに話す。

これで、3度目となるかしわ記念制覇を受けて村山調教師は「栗東にいる時はまだ身体も少し重たいのかなと思っていました。連敗続きでしたが、何とかいいところを見せられたらという思いでした。今日はジョッキーにも助けられましたよ。マイルも左回りも得意な馬。今後は帝王賞か南部杯なのか考えたいですね」と、次走に向けての意気込みを語る。

最大のライバルホッコータルマエが昨年末に引退。しかし、まだまだ世代交代は許さない。ダート戦線の中心を譲らないコパノリッキーからまだまだ目が離せない。

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