競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【東京新聞杯】名手、最後の東京新聞杯
2023/1/30(月)
すると好時計決着になるのだろう。さすがに4年前のインディチャンプがマークした1・31・9を上廻るタイムにはならないか。その時の鞍上、福永Jはジャスティンカフェでこのレース最後の騎乗となる。彼の左廻り巧者は馬券を買う上でもおおいに役立った。今月いっぱいでそのデータが終わるのが惜しい。
過去を振り返ってみても勝利ジョッキーにルメールの名がない。今年はプレサージュリフトで臨む。ゲートがもうひとつで毎回後ろめでの競馬が前走は好位で進めたが切れ負け。
他の4歳馬にも注目。筆頭はナミュール。全勝ち鞍のマイルで違う筈。ピンハイは鞍上の勢いがいい。そしてオニャンコポン。初マイルの前走がいい内容だった。
【根岸Sの回顧】
23年1月29日(日)東京11R 根岸S(G3)(ダート1400m)
- レモンポップ
- (牡5、美浦・田中博厩舎)
- 父:Lemon Drop Kid
- 母:Unreachable
- 母父:Giant’s Causeway
- 通算成績:10戦7勝
圧倒的人気となったレモンポップ、前走、武蔵野Sではハナだけギルデッドミラーに屈したが今回は無敗の1400ダートだけに負けられないだろうとファンの見立てとなったのだろう。その神の声のとおりの結果となったし、直線1Fで先頭に立って最後はしのぎ切っての半馬身差だから強いのは強いと思える。
だが次、GⅠのフェブラリーSではギルデッドミラーには敵わないかも知れないと思えるものだった。決してレモンポップの勝ち方に危なさを感じたものではない。珍しくゲートが今ひとつ早くなかったが直ぐにスッと前へ出て好位で収まる。それもけっこう流れているからとじっ好位で抑えての道中、最終コーナーもジンワリ前へと出て行って追いだしもユックリ。
完勝だと言えるのだろうが、ギルデッドミラーがじわじわとゴール前で詰めて行くのを観ると、マイルに伸びる次回は完全にギルデッドミラーの方が上と判断してしまう。
田中博厩舎の初重賞とめでたい勝利であるし、そこは拍手喝采かと思う。馬体も良く、レースの操縦性も高いレモンポップ。なかなかに強いダート馬と思える。だが競馬にはその時々の距離や環境、舞台設定がある。そこを考えると予想する者としてフェブラリーSではまず間違いなくギルデッドミラーを推すだろう。
4歳馬が3頭居たがセキフウだけが馬券外。道中の行きっぷりからして悪すぎた。流れが違い過ぎるのだろうか。バトルクライはタガノビューティーとの3着の追い比べでも負けなかった様にこの馬も渋とい。
逆にやっぱりと思えたのがテイエムサウスダン。直線半ばではもう手応えがなかった。昨年の覇者だがあの勢いのかけらもなかった。昨年の勢いとはまったく違うのはなぜなのか。そこらが競馬の難しさだ。乗り替わりとなって馬との相性もあるのかも知れない。そこは今後のテーマになるのか。久しぶりに順当に収まった重賞にやや安堵したのも事実だ。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。