今週からG1が続く。京都競馬場で行われるエリザベス女王杯だがその両方を勝ったのがラッキーライラック。今年はそれに挑戦がジェラルディーナ。鞍上はライアン・ムーアと魅力いっぱいではある。先週大活躍のモレイラは何と今週は東京競馬場で乗るのが残念ではある。

さて昨年の覇者、ジェラルディーナは有馬記念でイクイノックスの3着と頑張ったまでは良かった。だが今年の4戦ではまだ良さが出ていない。秋に一戦使った点と京都開催となる今回は再び良さが出るのかどうか。栗東に滞在している関東馬がブレイディヴェーグとククナ、サリエラの前回は新潟競馬場滞在としたが今回は栗東での調整となる。

やはり前回の脚を観るとブレイディヴェーグとなるのか。体はもう少し増えてもいい。ふと気がついたのが母の血にディープインパクトが6頭も居る。そしてハーツクライ産駒のハーパーだ。距離延長がおおいにプラスになりそうな予感がする。

【アルゼンチン共和国杯の回顧】

23年11月5日(日)東京11R アルゼンチン共和国杯(G2)芝2500m)
  • ゼッフィーロ
  • (牡4、栗東・池江寿厩舎)
  • 父:ディープインパクト
  • 母:ワイルドウインド
  • 母父:Danehill Dancer
  • 通算成績:12戦5勝


《西風・春のそよ風》の馬名意味のゼッフィーロだが、今日、府中の夕方に駆け抜けたそれは《金風》だった。黄金色の稲穂を揺らす穏やかな風ながら値千金の勝利の風となった。

重賞初勝利としたゼッフィーロ、春の目黒記念が重賞初挑戦で4着。オールカマーで3着。そして今回のこの1番人気は鞍上への期待度だろう。何と言ってもモレイラは土曜が10戦6勝。この日もここまで6戦3勝2着2回の安定感ある内容。モレイラから馬券を買っておけばまず外れないの安心感たっぷり。

だがレースは薄氷の内容。いや、だからこそモレイラマジックと思えるものだった。スタートは五分に出てスタンド前は中団。そこではチャックネイトの外に居た。ふたつ目のカーブを廻ったあたりでちゃんとチャックネイトの内のラチ沿いを走っている。後ろに5頭しか居ないポジションだが廻りには電光掲示板に載った4頭が居る黄金の位置であった。

アフリカンゴールドが造ったペースは前半1000が1・01・1の緩い流れ、淡々と続く後続馬。向こう正面、3コーナーとそのまま過ぎる。4コーナーが近づくにつれ外をあがる馬が増えて自身の位置は変わらず、ラチ沿いの縦位置で前から5番手。後ろに3頭しか居ない。4コーナーでは大外をマイネルウィルトスが一気にあがって行く。

ラチ沿いでカーブを廻ったゼッフィーロ。前を行く同じ勝負服のグランオフィシエの鞍上がチラっと外を観た瞬間にその内へ潜り込み前へと抜けていく。後200過ぎ、まだ内で粘っているアフリカンゴールドと外から先頭に押し上げてきていたマイネルウィルトスの間を抜いて先頭となりゴール前では悪い内から外へと出してと余裕がある程。

鞍上の巧みなエスコートと直線のさばきで見事に重賞初制覇のゼッフィーロ。まさしくモレイラ劇場となった穏やかな東京競馬場だった。ディープインパクトの母屋も健在といい秋の一日となった。