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須貝尚介調教師

昨年5着からのリベンジに挑んだ天皇賞(春)は、結果としてコース相性の悪さを露呈する7着。しかし、その敗因を須貝尚介師は把握しており、ファン投票第1位の馬の責任として、連覇が懸かる宝塚記念出走に踏み切ってきた。今回は頼もしいパートナーとして横山典弘騎手を背に迎え、その相性も気になるところ。完全連対の競馬場で復活なるか、全てのファンの注目はつきない。芦毛のヒーローには仁川の舞台が最も似合う。

天皇賞(春)は出遅れにも理由アリ

-:宝塚記念に出走するゴールドシップ(牡5、栗東・須貝尚厩舎)はファン投票堂々1位で、天皇賞(春)の結果は残念でしたけど、ファンはずっと支持してくれているということはありがたい話ですね。

須貝尚介調教師:そうですね。これだけファンに支持されて、本当にありがたいと思うし、またそれに応えるだけのパフォーマンスをしなければいけないと思っています。

-:振り返ってみると天皇賞(春)は、ゴールドシップのパフォーマンスで負けた訳ではなくて、ゲートとかそういう予期できぬ事態がありました。

尚:ゲートが全てなんでしょうけど、オープンでここまで来ている馬というのは、気も最高潮まで達しているし、ましてや僕でも触れない状況だからね。なのに見ず知らずの人間に、自分のペースで入ろうとしているのに急かされると、やはり怒ってしまったんだね。今まで見たこともないような暴れ方をしたからね。それだけ、ギリギリの線まで気が張っているから。

-:そう考えると、スンナリとゲートインした上で、どういうレースをしたかというのを見たかったですね。

尚:しかも、ちょうど立ち上がった時に切られているし、やはりあのスタート前というのは、ゴールドシップには不利があったのではないか、という気持ちで、あんまり気分の良いものではないですよね。





-:これだけの馬ですから、スターターの方ももっと気を付けてくれたらと?

尚:オープン馬というのは、自分でタイミングを分かっているから。大きいレースだから、やはりそこら辺は、ちょっと気を使って欲しかったな、というのがあります。

-:そういう意味では、ゴールドシップの単純なる力負けとは思っていないのですね。

尚:思っていないですよ。走った後のダメージもあまりなかったので。


「やっぱりゲートでブツけたところで、跛行を見せたんだけど、それも今は全然見せることもなくて。当時はこちらもちょっとオヤッと思ったんだけど、大事にケアした分だけ、回復力も早かったからね」


-:レース後にウィリアムズ騎手が下馬した時は、一瞬ヒヤッとして嫌な予感がしました。

尚:やっぱりゲートでブツけたところで、跛行を見せたんだけど、それも今は全然見せることもなくて。当時はこちらもちょっとオヤッと思ったんだけど、大事にケアした分だけ、回復力も早かったからね。

-:その丈夫さが取り柄のゴールドシップだと?

尚:丈夫でいてくれているから助かりますね。

-:ここは何としても巻き返しの場であり、連覇が懸かる場である訳ですが?

尚:連覇どうのこうのというよりも、ファン投票で支持されている以上は最高のパフォーマンスを見せることですね。去年のこのレースは、強い馬が強い競馬をした、というイメージをみなさんにもってもらったレースだったと思うので、またそういうゴールドシップをお見せできたら良いなと思っています。



新コンビ、横山典弘との相性は?

-:今回は、新たに鞍上に横山典弘騎手を迎えます。

尚:ノリちゃんもここ2週乗って、馬の気持ちを大事にしていて、攻め馬の工程が僕の意見とマッチングしているんで。なおかつ、その通りの攻め馬が消化できています。

-:その辺のマッチング具合というのは、我々からはなかなか分かり辛い部分でもあります。

尚:同世代に生まれて、お互いに競馬をしてきた人間だし、違った立場になっても馬の気持ちを大事にするジョッキーなので、お互いが思っていることが攻め馬に表れているしね。一番最初、やはりゴールドシップとノリちゃんも気を使いながらのコンタクトだったんだけど、今週の追い切りでは“気遣いが信用に”変わってきたんじゃないかなと。


「『こっちでやっておこうか?』ということを言ったら、ノリちゃんが『ここまで来たら、もう1回乗ってみたい』と。彼は彼なりに、宝塚記念というものに何かを懸けてきてくれているな、という意識が見えるし、ありがたいなと思っています」


-:時計的に見ると、今日(6/18)の時計が掛かっているCWの馬場で、81.8-53.1、終い12.2で、しかも騎手が追っ付け、追っ付けではなく?

尚:「スーッと反応したんで、あんまりステッキを入れたくなかった」とノリちゃんが言っていたので、あそこまでのベテランが感触で馬の状態を分かっているんだろうから。

-:感触的には、天皇賞(春)の時よりソフトめな印象を受けたんですけど、敢えてそういう内容にしたのでしょうか?

尚:まだ1週前で、来週に本追いをしますから。わざわざ美浦から来るのも大変だから、「こっちでやっておこうか?」ということを言ったら、ノリちゃんが「ここまで来たら、もう1回乗ってみたい」と。彼は彼なりに、宝塚記念というものに何かを懸けてきてくれているな、という意識が見えるし、ありがたいなと思っています。





-:今日もCWで追い切った後、坂路の下の角馬場の所に、ゴールドシップとノリさんが戻ってきた訳なんですけど、すごく馬を愛撫して、ゴールドシップの首筋を撫でているところがすごく印象的だったんですけど、あの辺がやっぱり毎週コミュニケーションを取ろうとしているところでしょうか?

尚:そうね。彼はコミュニケーションというのを大事にするタイプなんでね。やはりこの馬は、非常に感受性が強いというところを、乗った時点で分かっているからね。その辺を上手く逆らわずして、コンタクトを取っている様子が窺えるのでね。

-:似た者同士だから分かる呼吸というのがあるんじゃないですか?

尚:本当に上手く気持ちを損わずして、ゴールドシップに負荷を掛けているというのが、ノリちゃんを見ていたら分かるし、こっちのイズムと同じ気持ちでやってくれているな、というのがすごく分かります。





-:乗っている顔が、ニコニコして良い雰囲気で帰ってきましたもんね。あとはスンナリ当日を迎えて、ファンの期待に応えるだけなんですけど、中間発表から最後まで首位でい続けました。

尚:ジェンティルドンナら、有名な馬ばかりでしたからね。前も言ったように、それだけゴールドシップは、小さいお子さんからお爺ちゃん、お婆ちゃんまで、この馬のファンがいることは聞いていて、お手紙とかももらっているんでね。感動というものを、ファンに見せることが僕らの仕事でもあるんでね。芦毛だし、強い時もあれば、ベタベタな時もあるゴールドシップというのは、それだけ注目されているのだなと思っています。最高のパフォーマンスを見せられたら良いなと思いますよ。

-:ゴールドシップのコメントというのは貰えないので、ファン投票1位になったファンに対するお礼というのを、ゴールドシップに代わって先生から一言いただいて良いですか?

尚:ゴールドシップの言葉で言うと、難しいなあ……(笑)。走りたいんですよ、ゴールドシップは。走りたいし、我がままだし、気分屋だし、でも走りたい。もう止めた、とならないように、宝塚記念は最高のパフォーマンスで、また強いゴールドシップをみんなに見せられたら良いなと思います。

-:秋に向けて、良いレースになると良いですね?

尚:このレースは去年も勝っているので。前走はあんなこともあったけど、もう1回強いゴールドシップを見せられるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。

-:ありがとうございました。

●天皇賞(春)前・須貝尚介調教師のインタビューはコチラ⇒



【須貝 尚介】 Naosuke Sugai

1966年滋賀県出身。
2008年に調教師免許を取得。
2009年に厩舎開業。
初出走
09年3月8日 1回阪神4日目7R ワーキングウーマン
初勝利
09年3月14日 1回阪神5日目7R ホッコーワンマン


■最近の主な重賞勝利
・14年 安田記念/14年 ドバイDF/14年 中山記念
(いずれもジャスタウェイ号)
・14年 阪神大賞典/13年 宝塚記念
(共にゴールドシップ号)
・13年 阪神JF/13年 札幌2歳S
(共にレッドリヴェール号)


父は定年により引退を迎えた須貝彦三・元調教師。自身は騎手として4163戦302勝。うち重賞は01年のファンタジーS(キタサンヒボタン)など4勝。
09年から厩舎を開業。初年度は年間10勝だったが、年々勝ち星を伸ばし、ゴールドシップ、ローブティサージュ、ジャスタウェイなど活躍馬を多数輩出。史上最速でJRA通算100勝を達成するなど、一躍、関西のトップステーブルにのし上がった。その勢力は日本に留まらず、ジャスタウェイのドバイデューティーフリー圧勝は記憶に新しいところ。ジャスタウェイで安田記念も制し、勢いに乗る今、デビューを迎える2歳世代も前評判の高いラインナップを擁しており、更なる活躍が期待される。


【高橋 章夫】 Akio Takahashi

1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて17年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。

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