関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

堀部光弘調教助手

屈腱炎から復帰後の2戦はダートで惨敗したグランデッツァだが、芝に戻した緒戦の都大路Sは超がつくレコード決着で圧勝。返す刀で挑んだ安田記念こそ不良馬場が堪えて11着に敗れたものの、この函館記念を使ってくる辺りが、脚元に不安はないという何よりの証拠だろう。2歳時は同じく洋芝の札幌2歳Sを制しており、滞在競馬も望むところ。函館に向けて出発直前だった堀部光弘調教助手に、改めての意気込みを聞かせてもらった。

安田記念11着は馬場状態がすべて

-:安田記念では残念な結果だったグランデッツァ(牡5、栗東・平田厩舎)ですが、あのレースは不良馬場での戦いになりました。敗因は天気や馬場状態だと思っていいですか?

堀部光弘調教助手:それでいいと思います。

-:ちゃんとした条件ならば、2桁着順ということはないと思います。上がってきてからの石橋ジョッキーの話はいかがでしたか?

堀:「グッと弾けそうなイメージを乗っていたけど、馬場が緩い分、スムーズにいかなかった」と言っていました。

-:ある程度、馬場が良いにこしたことはないということですね。

堀:そうですね。

-:今回の馬場状態は大丈夫だと思いますが、初めての函館と、これからする輸送の疲れの2点が心配です。最近のコンディションはいかがですか?

堀:言うことなしです。考えられることは全部やってきました。

-:脚元を悪くしての長期休養から、都大路Sで復活した馬ですので、そのケアも慎重にいかないと再発の恐れがある馬です。その辺の、慎重にいきながらも攻めなければいけないのは難しくないですか?

堀:そうですね。でも、安田記念は馬場が緩くて走ってないせいもあり、都大路Sのあとより体が楽そうです。G1でしたが、上がってきてからが楽そうでした。



-:グランデッツァは痛がったりしたら、仕草に出して鳴くところがありますが、今回はそういうところはありませんか?

堀:今回は全然無いですね。良い状態でレースに向かえそうですよ。

-:実は、個人的には安田記念で相当期待していたんです。

堀:僕は雨が降っている時点で、なんちゅう運の無さや、と思いながら行きました。それでも競馬なので、走らなければいけませんよね。

-:相手も同じ条件で戦っていますからね。

堀:その中で結果を残すジャスタウェイは本当に強いです(笑)。

-:2着のグランプリボスもそんなに人気がありませんでしたが、ああいう馬場が悪くなった時は、上手い下手が出ますね。函館の馬場は、札幌とそんなに変わらないですよね。

堀:そんなに変わらないと思います。こちらは札幌でデビューして、結果を残してきましたからね。

-:滞在競馬という環境も経験しています。あとはどれくらい作って持って行くのですか?

堀:今週に目一杯やりました。時計は50秒9の終いは12秒5で、うちのジョッキーの藤懸貴志がビッと追い切りました。

藤懸貴志の追い切りジャッジ

-:グランデッツァに乗っていた藤懸ジョッキーですが、手応えはいかがでしたか?

藤懸貴志騎手:2日間、乗せてもらいましたが、並足からニヤけてしまうような乗り味で、本当に良い馬でした。全体的には文句ないと思います。初めて乗って、癖なのか直線で追い出してから左に張るのが少し気になるぐらいです。「良い」としか言いようがないです。悪いところを探す方が難しいですよ。

-:去年もトウケイヘイローがここから、直前輸送の同じパターンでサマー2000シリーズを獲りました。あの時もすごく馬場が悪かったです。

藤:去年の函館はグッチャグチャでした。

-:その悪夢がまたあるかもしれません。去年の札幌と同じようならば、すごく馬場が悪いでしょうね。

藤:2000mのオープンの時計が2分6、7秒でしたからねえ。

堀:そうなったら前に行くと思います。去年のトウケイヘイローは札幌記念がグチャグチャで、函館記念は良馬場で1分58秒6でやっていますよね。今、調べたら、函館記念はここ10年ずっと良馬場なんです。

-:函館記念は土砂降りになることはなさそうですね。

堀:(同じ平田厩舎だった)ベッラレイアは何回雨で泣いたか。大事なレースに限って雨が降るんです。



-:ジョッキーはもう決まっていますか?

堀:秋山騎手です。

-:秋山ジョッキーも先日にカゼノコでジャパンダートダービーを制しました。珍しく、最後は全体重が前に乗っていました(笑)。

藤:「反省です」って言うんじゃないですか(笑)。

-:体を前に投げ出して、必死さが伝わりました。

藤:あとから自分で見て、「最後まで良いポジションで乗らなきゃダメなんだよ」って言いますよ(笑)。

-:ゴール前の最後の最後はああなってもいいですよね。

良馬場で秋に向けての賞金加算を

-:輸送は今から24時間ですか?

堀:20時間です。

-:一緒に連れて行ってもらいたいです(笑)。グランデッツァは良馬場が良い、という要素が見えたので、今度は人間の方が良い条件を選んで使ってあげたいですね。

堀:そうなんですよね。正直、雨だから使わないとか、出来ればいいんですけど。

-:海外みたいに天気予報を見てやめたい気持ちもありますよね。ちなみに、体重は量られていますか?

堀:量っています。今は514です。

-:安田記念の時から8キロ増えています。輸送でどれくらい減るか分かりますか?

堀:増えた分が減って、現地競馬なのであまり変わらないくらいだと思います。安田記念と同じか、ちょっと増えて出ると思います。安田記念は前日輸送で、減った分が戻りきらない状態でレースをしていると思うので。輸送減りといっても、馬運車の中でいっぱいボロしているだけですけどね(笑)。

-:馬は立ちっぱなしで輸送しますから、府中までの6時間くらいとは違うと思います。

堀:1週間とちょっとあるので、その分の輸送減りは完全に戻ると思います。

-:今回は向こうに行ってからの直前の速い追い切りはなく、サッと動かして使う感じですか?

堀:その予定です。

-:それで十分に走れるくらいのコンディションにはあるということですね。安田記念でグランデッツァを応援していたファンにとってはリベンジの場なので、そのファンに向けてのメッセージをお願いします。

堀:自分で思うのは、リベンジというか、あの馬の走っている姿が早く見たいです。

-:先頭でゴールを駆け抜けてくれたら1番良いですね。

堀:怪我もなく、秋の大きいところに向けて賞金加算して欲しいです。

-:夏は暑くて大変ですが、グランデッツァによろしくお伝え下さい。有り難うございました。

●安田記念前・グランデッツァについてのインタビューはコチラ⇒



【堀部 光弘】 Mitsuhiro Horibe

広島県の福山市出身。福山からきた岡田騎手とは幼馴染みで、実家が福山競馬場で厩舎をしていた。中学卒業後は内藤繁晴元調教師の外厩(牧場)で働き、17歳で競馬学校に入学。平成元年に内藤厩舎に入り、現在所属する平田修調教師とは30年近い付き合い。平田師の調教助手時代の代表産駒はダイユウサクで、同馬を牧場で世話していたのは堀部助手という縁がある。普段馬に乗る時に心がけていることは「邪魔をしないこと」。年々、馬質があがる厩舎の屋台骨を支えている。


【藤懸 貴志】Takashi Fujikake

1993年 長野県出身。
2011年 平田修厩舎所属としてデビュー。
JRA初騎乗
2011年3月5日 1回阪神3日1R ロンド
JRA初勝利
2011年8月20日 4回小倉7日6R ハナカゲ

長野県木曽郡大桑村出身。競馬とは縁のない家庭に生まれ、騎手試験の際に初めて馬にまたがったほど。デビューイヤーはチャンスがありながらも、初勝利を挙げるまでに約5ヶ月もの時間を要し、年間4勝に留まった。しかし、その後は二桁勝利を着実にマーク。更なる飛躍を誓っている。


【高橋 章夫】 Akio Takahashi

1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて17年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。

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