「菊花賞血統」のウインガナドルが、密かに一発を狙っている。父ステイゴールド、母父メジロマックイーンの配合は、オルフェーヴルやゴールドシップと同じ。脚質は違えど、2走前のラジオNIKKEI賞は小回りの福島1800mで2着、前走の新潟記念は直線の長いコースで古馬相手に4着と健闘したように、コース不問で安定した成績を残してきた。全9戦のうち7度コンビを組んでいる津村明秀騎手にとっては、2010年に同じ逃げ馬のコスモラピュタで11番人気ながら0秒3差の5着に粘り込んだ舞台。初G1制覇のかかるジョッキーに、胸の内を聞いた。

デビュー時から精神面で大きく成長

-:ウインガナドル(牡3、美浦・上原厩舎)には初戦から乗られています。デビューの頃の印象から教えて下さい

津村明秀騎手:調教では乗っていなかったんですけど、競馬で初めて乗って、2歳のときは競馬の前にイライラしちゃって、汗だくになってカリカリしていましたね。「競馬になって大丈夫かな?」と思うくらいイレ込むことがありました。最近はそれがなくなってきて、精神面ではすごく成長したんじゃないですかね。

-:落ち着きが出てきたな、と感じられたのはいつ頃からですか?

津:今年に入って500万に乗ったくらいから少し落ち着いてきて、ラジオNIKKEI賞に乗ったときに「精神的に大人になったんだな」という感じはしました。

-:そのラジオNIKKEI賞は2着と好走しましたけれども、振り返ってみていかがですか?

津:スタートセンスも良くて、テンのスピードもあるのでハナに行けましたし、自分のペースで行けました。勝ち馬にはかわされましたけど、その後もずっと粘っていたし、3着馬にかわされなかったので、すごく力強さも出てきて良くなっているなと感じました。

-:前走の新潟記念はどうでしたか?

津:新潟記念も自分のペースで行けて、けっこう勝ち馬に早くかわされましたけど、それでも下がらず盛り返すくらいの感じで粘ったので、これはだいぶ力をつけているなと思いました。古馬とこれだけやれましたからね。

1週前追いは「すごくいい反応で、いい動き」

-:菊花賞に向けては1週前追い切りに乗られました。先生(上原調教師)からの指示と実際の動きの評価をお願いします。

津:「1週前だからある程度やってくれ」という指示でした。追いかけて直線は強めにやったんですけど、折り合いもスムーズで、直線で追っつけてからもすごくいい反応でしたよ。1週前としてはすごくいい動きでした。

津村騎手が騎乗した1週前追い切りはキリの中で行われた

津村騎手が騎乗した1週前追い切りはキリの中で行われた

-:菊花賞は京都の3000mになりますが、この馬の適性はどのように捉えていますか?

津:みんな走ったことがないので何とも言えないですけど、みんな同じ条件ですし、この馬は血統的にも走れそうな感じはします。勝負根性もあるし、道悪は大丈夫ですからね。そのあたりに期待しています。

-:津村騎手は2010年コスモラピュタ(5着)以来の菊花賞ですね。あの時のレースはいかがでしたか?

津:あの時も逃げ馬で、自分の中では納得のいくレースはできました。その経験があるので、今回もペース配分を大事に乗ろうと思っています。

-:最後に、あらためて意気込みをお願いします。

津:今年はダービーの上位馬がいなくて混戦ですし、僕の馬にもチャンスがあると思うので、一発を狙って乗りたいと思います。