機は熟したか。3歳1月の梅花賞では、後の重賞ウィナーたちを破り、早くから長距離適性をみせていたメイショウテッコン。昨年の菊花賞ではステイヤーとしての資質に期待が集まったが、初めて二桁着順に大敗。続く日経新春杯でも崩れるなど、モロさを覗かせてしまった。しかし、前走の日経賞では危なげない競馬で逃げ切り。2度目のG1挑戦へ向けて弾みをつけた。前走の勝因や気になる戦法など、陣営に語ってもらった。

日経賞を逃げ切り 重要なのは戦法よりもリズム

-:天皇賞・春(G1)に挑むメイショウテッコン(牡4、栗東・高橋忠厩舎)ですが、前回の日経賞は見事な逃げ切り勝ちということで、おめでとうございました。その前の日経新春杯から戦法を変えたというのは、厩舎側での相談はあったのですか。

中塚健一調教助手:ありがとうございます。日経新春杯はもともとのゲートの悪さを出してしまって…。松山(弘平)騎手が乗っている時から、ゲートが速くないから、どうやって良いポジションで走らせようか、ということは、常々課題としてありました。菊花賞以外は上手いこと出て、スムーズに回って来られたので良かったのですが、菊花賞ではもともとゲートの悪さがあって、立ち回りがあまり上手くいかなかったんですけどね。

-:菊花賞はあそこまで着順を落とすとは思わなかったです。

中:その一歩前のパフォーマンスからしたら、神戸新聞杯はあの2頭相手にかなりのパフォーマンスだったと思います。その一つ前(ラジオNIKKEI賞)もフィエールマンを負かしていますからね。流れもありましたかね…。

メイショウテッコン

▲「良いリズムであれば逃げなくていい」と見通しを語る中塚助手
フィエールマンら同世代のライバルたちにリベンジを期す

-:ラジオNIKKEI賞では後の菊花賞馬に先着しているのに、菊花賞では14着になってしまったわけで。

中:菊花賞の1着、2着の一緒に走っていた馬たちとは、瞬発力比べでは分が悪かったこと、道中でペースが落ち着き過ぎて、自分のリズムで走れなかったということですね。雄大な馬で、急に回転数を上げるような走り方じゃないので、あの馬にとって本当に向かないことが色々重なって、結果、あれだけ悪い方に出たとは思うんですけどね。

-:今回の春の天皇賞も、ある程度、流れというのはこの馬にとってテーマになってくるところですか。

中:ただ、菊花賞に関しては、割と馬群が詰まっていたので、ペースはハイペースであろうが、スローであろうが、自分のリズムだけ取れれば、逃げなくても良いと思いますしね。

-:今回そんなに頭数が増えないので、バラけるというか。

中:18頭よりは少しは競馬がしやすいと思いますね。距離が長いので、立ち回りでどうやってスムーズに回ってくるかというのは大事だと思いますしね。

メイショウテッコン

-:ポイントはどこでしょうか。やっぱりゲートになりますか。

中:先程触れた日経新春杯で戦法を変えたというのは、あの辺はユタカさん(武豊騎手)の機転を利かした乗り方でしたからね。良いリズムであれば、逃げなくても良いなと、ずっと言っていたので。

-:実際に、ラジオNIKKEI賞の時も4番手くらいからでしたからね。

中:本当にずっと思っていました。白百合Sの時も逃げ切りましたけど、アイトーンが逃げたいと言っていたので、逃げるつもりもなくて、スピードの違いでハナに行って、そのまま行ったのですが、逃げにはこだわっていないですね。だから特にポジションはこだわらなくて良いかなと。普通にゲートを出てくれて、普通に走っていたら、さすがに最後方とかはないと思いますけどね。

4歳になり成長 福永騎手とも初コンタクト

-:ここで待望のG1初勝利を狙っていける自信はどうでしょうか?

中:やっぱり馬も去年と比べたら、だいぶ完成に近付いて、動きも違っています。坂路でもCWでも、今まで出なかったレベルのスピードが出てきています。菊花賞の時まではそこまで加速出来なかったですけど、日経賞の1週前も速かったですし、当週もメッチャクチャ速かったので。坂路を51秒台で、終い12秒を切っていきましたからね。そんなことはなかなか普通の馬では出来ないですしね。

-:跳びも大きいですし、坂路では時計が出ないタイプですよね。

中:坂路ではあまり動かないはずなんですけどね。芝の長距離馬で、完歩がデカくて、ユッタリしていて、トモの緩い馬が坂路で51秒の(終い1ハロン)11.8秒は普通出ないですけどね。僕も必死に出しにいった訳じゃないです。当週ですし、見せムチをしながら反応するなと思って、促していったら時計がすごく出て、さすがに速過ぎるなと思ったのですが、これでこんなに動けるんだ、と自信には繋がりましたね。やり過ぎたというよりは、逆にこれなら大丈夫だな、と思って。

-:今回は武豊ジョッキーから福永ジョッキーに乗り替わります。昨日(4月17日)の1週前追い切りに福永さんが乗った訳ですけど、内容と終わった後の福永さんのコメントを教えていただけますか。

メイショウテッコン

▲1週前追い切りに福永祐一騎手が騎乗

中:初めてコンタクトを取ってもらったのですが、キャリアが豊富なだけあって、最初から本当に馬のことを分かった上で接してくれました。角馬場から速歩、駈歩、ハッキングとコンタクトを取ってもらって、調教は3頭併せで、目的としては道中のコンタクトとどれくらい行きっ振りが良いのか。仕掛けてから、どれくらい反応出来るのか、その辺の確認だけをしたかったのですが、上手く先行馬を捕らえにいく形で、最後まで気にしないで乗れていたので、すごく良い内容でしたけどね。

「何か問題はありましたか?」と聞いたのですが、「コントロールに関しては特に問題ない」ということでした。3~4コーナーもちょっと手応えが良過ぎるのかなと思いましたが「いや、全然楽でそんなに掛かることもなくて、さすがにスタートしてすぐの遅いキャンターだけは抑えたけど、道中流れだしてからはそんなに折り合いを欠くこともないし、仕掛けてからも、最後の1ハロンが相当速かったので、本当に良い感触を掴めたし、大体分かった」と言ってくれましたね。本当に問題なく、何も注文を付けることもなく、無事に追えましたね。

-:大一番前にゲート練習、最終確認はされる予定ですか。

中:前回のゲートの話も祐一さんにしていたので「今回は(練習に)行ったの?」と聞かれたので、「今回は行っていない」と言ったら「今回は行っておいた方が」と言われたので、予定では、明日ゲートに行ってきます。日経賞の前が大敗しているので、失うものがないということで、ゲートに行きまくっていたのですが、日経賞ではユタカさんもさすがに上手いこと出してくれたので大丈夫だなと思っていましたが。

-:ゲートをやっておけば、馬にとっても少しは慣れるでしょうしね。

中:安心感というか、大人しいのですが、けっこう我は強いです。嫌なことは嫌とハッキリ言うというか、そっちには行きたくないとか、行動に示すタイプですね。良い時というか、ソコソコ走れている時は行かなかったんですよね。ゲートも悪かったのですが、菊花賞はゲート以外が敗因とみていましたが、菊花賞の後の日経新春杯は、ゲートが理由で上手く競馬が出来なかったというのがあったので、これは行きたくないと言っていられなくなったので、馬にも頑張ってもらって、嫌々行っていたのですが、馬もすぐに分かってくれて、本当に早かったですよ。最初はガタガタしていたのですが、理解してからは全然ゲートで動かなくなって。

対策を講じて落ち着き 天皇賞でも精神面が鍵に

-:長距離馬としては筋肉量も多いタイプですか。

中:こうやって見たら立派ですけど、本当に体全てがデカいです。マンハッタンカフェらしいスラッとして、その分、骨格も大きくて、顔もデカいから、ゲートもどうしてもヨイショって、なっていたと思うので。

-:ちなみに、ゲートが良くないことと、京都競馬場というのは関係ないですよね。

中:梅花賞の2400でもエタリオウやサトノワルキューレに勝っていますし、白百合Sでも別の地点からスタートしても、すぐに加速していっているので、特に京都だからというのは…。

メイショウテッコン

-:パターンがあるのですかね。例えば、パドックでイレ込んでいる時はゲートで出遅れやすいとか。

中:それはありますよ。もともと3歳の時はパドックがメチャクチャ煩かったんですよ。僕ともう1人の担当で、ずっと2人で抑えるのに苦労していて、菊花賞でもかなり抑えきれない感じだったのですが、ちょっとこれはおかしいなということになって、これ以上ダメだな、ということで相談しました。日経新春杯の時に、音にも敏感なので、メンコを2重にしたり、引っ張る人間を左右逆にしたんですよ。僕とその担当者を入れ替えて、僕が左側になって、同じ人で替えたら馬も戸惑うので、なぜか大人しくなったんですよね。

幾らか音でイレ込むこともなくなりましたし、歩くのもちょっと落ち着いて歩けるようになって、これだったら全然大丈夫だなと言っていて、前回の日経賞で全然イレ込まなくて、これはメチャクチャ楽やなと思って。本当だったら、煩すぎて止められないので、先出しとか、最後出しとか、どちらかにしないと前の馬に突っ込んで止められないから、ずっとやっていたのですが、前走は普通に引っ張って、先生にも「どうするの?」と言われて、「普通に出て行っても良さそうです」という話をしていたくらいです。ユタカさんが乗っても「やたら大人しいんですけど」と言っていたら、そのままトコトコ返し馬まで一緒に行って、ムチャクチャ良い返し馬も出来て、すごく変わったなと思いますね。

-:今回そこは要注意ポイントというか。

中:それで結局走ったので。最低限、前走と同様にやりたいですね。落ち着いて欲しいですね。逆に長丁場で、パドックも長いので。

-:お客さんも多いですからね。

中:カッカッしている状態で競馬に行くよりはリラックスさせたいですね。本当にリラックして返し馬に行ったので、もしあれが出来るなら、ちょっと達成感はあると思いますけどね。神戸新聞杯までは、イレ込んでいてもずっと走ってこられていたので。阪神でも引っ張りきれないくらいガンガン入れ込んで3着だったんで、あまり極端には変わらないと思いますけど、絶対に大人しい方が良いので。日経賞から担当者が替わっているんですよ。日経賞の時は僕が外側で、新しい担当者は左側で普通に引っ張っていて、ただ横で添えているくらいでしたね。これは本当に大人しいなという感じでしたね。

メイショウテッコン

-:パドックを観る人は、右の外側で歩いている中塚さんの手応えが楽そうだったら良い訳ですね。

中:僕が楽ということは、その時は2人とも楽なはずなので。

-:すでに厩舎としては(ファインニードルで)G1を勝っていますしね。

中:その辺に関しては、よく初G1が懸かっているとアオられますけど、もうそれもないですし、そういう意味では、厩舎としては去年の勝ちは大きかったですね。

-:春秋スプリント連覇ですからね。今度は長距離で。

中:最近は芝の2000以上の馬も増えてきているので。

-:大将に頑張ってもらわないといけないですね。

中:総大将は現時点ではテッコンなので、何とか厩舎全体を引っ張る上でも、厩舎にその1頭がいるといないでは違うと思うので。

-:自在性がある馬だと思うので、馬券を買いやすいタイプかなと思うので、応戦してくれているファンにメッセージをお願い出来ますか。

中:個性はあると思いますし、面白い走りもしてくれます。黒光りして、雄大な格好良い馬なので、競馬場に来て応援してもらえたら、一番嬉しいと思います。

-:ありがとうございました。

中:ありがとうございました。