厩舎の重賞初勝利馬!バウンシーチューン
2011/5/14(土)
田島俊明調教師
-:オークスに出走を予定しているバウンシーチューンについて、田島俊明調教師に伺います。よろしくお願いします。フローラステークスは厩舎初の重賞勝利ということで、おめでとうございました。改めてレース内容を振り返っていただけますか?
田:フローラステークスは、未勝利を勝ったときと同じように後ろからの競馬で良いかな、という風には思っていました。乗り役もそういう考えでいたと思います。終いかなり良い脚を使うタイプなので、いかにその脚を使うために上手く溜められるか、引っ掛かったりせずに運べるかがポイントになりますが、レースを見ている限りではスッと内側に入って、スムーズな流れで進んでいたと思います。馬も結構リラックスして、そんなに無理をしないで行けたと思ったので、直線を向いてから「かなり来るだろうな」という感覚はありました。
-:実際、その通りに素晴らしい伸びを見せましたね。
田:そうですね。本当に良かったです。
-:ちなみに馬体重は412キロと前走からマイナス6キロでしたが、数字をご覧になったときは、どういう印象をお持ちになりました?
田:火曜日の計測では420キロあったので、いつもは418から420そのままぐらいで出走という感じなんですけどね。レース当週も特にビッシリと調教をやった訳ではないので、412キロという数字は「減ったな」と思いました。
-:不安はありませんでしたか?
田:特に感じませんでしたね。元々あまり大きくない馬ですし、体重を見て「ああ、減ったんだな」というぐらいの受け止め方でした。
-:そうなんですか。いつもと違うと感じるようなところはありませんでしたか?
田:当日のパドックでは、前後の馬がチャカチャカしていたこともあった為か、多少気合いが乗っていましたけど、その程度ですね。
-:特に大きな違いは見られなかったんですね。レース後のバウンシーチューンの状態はいかがでしたか?
田:レース後の状態も特に変わりはありません。疲れも全然無いですよ。もう中1週でも全然対応出来るかな、という感じでした。重馬場でタフなレースでしたけど、大丈夫ですね。
-:分かりました。さて、オークスに向けてですが、調整はどのようにされているのでしょうか?
田:今は悪い流れではありませんから、今まで通りが一番良いのかな、と思っていますので、前回と同じような調整でいってみようかな、という感じはありますね。ここでまた新たなことをやって失敗するよりは、今まで通りでいった方が良いだろう、という感じはあります。
-:なるほど。では1週前追い切りの内容を教えていただけますか?
田:はい。1週前追い切りでは坂路で皇成が乗って、時計は52秒1でしたが、馬場が悪かった割りに、終いの時計もなかなか良かったと思います。乗り手の感触が大事なところがあるので、ある程度皇成に任せましたけど、完全に併せ馬、という感じではありませんが、後ろからついていって終い伸ばすという調教をしていました。
-:調教後、三浦騎手とはどのようなお話をされましたか?
田:後ろにいるときの勢いが良い、と言っていました。競馬よりもペースがかなり遅いので、馬としても「いつでも行けるぞ!」というような感じだったんでしょうね(笑)。
-:確かに競馬と調教は違いますもんね(笑)。レース当週の調整予定はどのような形で考えていらっしゃいますか?
田:1週前追い切りはある程度やっておいて、レース当週は軽めですね。追い切りとしては物足りない程度でいいのかな、というぐらいで。今までもレースの週は坂路で54、55ぐらいのところでやっているので、その方向で行きたいと思っています。あとは折り合いに気を付けて、ガーッと行かないような調教が出来ればいいな、と思っています。
-:なるほど。その最終調整が終わるといよいよ本番です。オークスの舞台となる東京2400という条件において、バウンシーチューンの強みと考えられるポイントを教えてください。
田:そうですね、この舞台においての強みは、2000メートルで勝っているところと、後ろから行けるところですね。東京コースは直線が長いので、終いに伸びて来られる馬場ですし、血統的にもトニービンの肌にステイゴールドですから、東京に合いそうだな、というイメージはあります。天候も、雨が降っても心配がなさそうです。
-:楽しみですね。ちなみに重賞を勝ったことによって、田島先生ご自身に何か変わりはありましたか?
田:いえ、特にありませんよ。僕自身は「良い馬に恵まれて勝たせてもらえた」という感覚が大きいので。だって、完全に馬のおかげですからね(笑)。
-:なるほど(笑)。ところでバウンシーチューンはデビュー戦から11番人気、9番人気、5番人気とそれほど人気になっていませんでしたが、重賞を勝つと思っていらっしゃいましたか?
田:そうですね、正直「この馬は重賞を勝つな」という感覚はありませんでした。でも「未勝利で終わる馬ではないな」とも思いましたよ。
-:その良い印象を持ったのは、どんな時なんですか?
田:この馬の追い切りを乗った時に、能力はあると感じました。背中が安定していて凄く良いんですよね。それでいて、坂路調教ぐらいなら自分の勢いだけで走り切れるスピードとスタミナがあったので、これは能力があるな、と。
-:手応えを感じられたんですね。ではそろそろ最後になりますが、今回のオークスは先生の厩舎にとって初のG1挑戦になります。レースへ向けて意気込みをお願いします。
田:着順はもちろん1着になれば1番良いですけど、厩舎として初めてG1に出走させるにあたって、やっぱり馬を良い状態で無事に送り出すということが、厩舎にとって一番重要なことだと思っています。慣れて来れば違うんでしょうけど、初めてですからね。
-:厩舎内の雰囲気はどのような感じですか?
田:やっぱり緊張感はありますよね。でもギクシャクするのとは違って、スタッフの意識が高まるような感じで、良い緊張感かと思います。まあ、あまり堅苦しくてもしょうがないでしょうし、僕が力を入れても馬に結果が出るかどうか分からないですからね(笑)。
-:もう極力いつもと変わらないように、ということで。
田:そうですね。でもそれが1番大事で1番難しいこともかもしれませんけどね。
-:なるほど。ではそろそろお時間ですね。今日はお忙しいなか、ありがとうございました。
田:ありがとうございました。
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■重賞勝利 |
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開業3年目にあたる2011年、バウンシーチューンでフローラステークスを制し、重賞初挑戦初勝利の快挙を成し遂げた。 今週のオークスにはそのバウンシーチューンが出走を予定。厩舎にとって初のG1挑戦となる。 |