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高野友和調教師

高野友和調教師

今年の3月から厩舎を開業させた高野友和調教師が、エーシンジャッカルと共にダービーへ挑戦する。調教助手時代はクラシック常連の松田国英調教師の下で経験を積んだ高野師だが、自身の管理馬で挑む競馬の祭典。エーシンジャッカルのプロフィールは勿論のこと、ダービーへ向けての意気込みをうかがった。

-:まず、開業約3ヶ月でダービーに管理馬の出走させられることにあたっての感想をお聞かせください。

高:前にも答えさせていただきましたが、この馬を預けていただいているオーナーに感謝したいですし、素質のある馬をここまで仕上げてきてくれたスタッフ、牧場の方々にも感謝したいです。

-:エーシンジャッカルは、先生の下に来られてから、3戦を消化しましたが、来る前と来てからの印象の違いはありますか?

高:当初はいずれ、オープンにいけるかなと思っていましたが、こんなにとんとん拍子でG1に出られるとは思いませんでした。

-:厩舎G1初挑戦となった前走のNHKマイルCを振り返っていただけますか?

高:スタートは五分に出たのですが、ダッシュがつかなくて、ジョッキーや私達が想定していたよりも後ろからになってしまいました。レースが流れて、後ろの馬には有利な展開になるのかと思ったのですが、そうならなかったですね・・・。
前目にいた馬も上位に来ていたし、結果的にあの位置からでは厳しかったと思います。一言でいえば、流れに乗れなかったレースでした。3番人気にもなって、ファンにはあれだけ指示して貰ったのに申し訳ないと思いました。


-:その前走、パドックでの馬っぷりはよくみえました。

高:良かったのかなあ。暑かったのもあるけれど、思っていた以上に汗をかいていたところはありました。輸送自体は問題なかったのですが、戦前は動じない馬とは周囲に言っていた割に、大観衆で馬が反応してしまったところはあるかもしれません。ただ、馬にとっては一度、G1の舞台を経験したことは良い経験となったはずです。

-:前走後の様子はどうでしょうか?

高:レース後ながらもケロっとしている感じで、どこに不安も無く元気一杯です。飼い葉も残すところもないので、比較的、早く乗り込めました。

-:その状態もあって、早々とダービー参戦を決意されたというわけでしょうか?

高:レース後に東京から直接、北海道に2日間ほど行っていたので、自分の目で確認するのが遅れましたが、確認してオーナーと相談してから、「(ダービーに)行ってみましょうか」という言葉もいただいたので決定しました。

-:ダービーということで、前走から一挙に距離が延びます。

高:母父アフリートで父がフジキセキ。一般論ですと、距離が不向きという見方をされるかもしれません。でも、この馬の祖母(1)は長いところでも走っていますし、フジキセキもドリームパスポート(2)のように長めの距離をこなせる馬もいます。アフリートもゴールデンジャックがオークスで2着になっていますし、一概に距離が長いとは決めつけられないかと思います。

(1:エイシンテネシー、94年に阪神芝2000mで行われた金杯勝ち。また、芝の2400m以上の距離でも好走歴がある)
(2:06年のダービー3着、同年の神戸新聞杯勝ち、菊花賞やJCでも2着などの実績)


-:この馬の馬体をみると、凄く脚が長い印象がありますね。

高:そうなんです。体型をみると短距離馬の体型はしていないんです。距離が延びて「折り合いは?」と心配されるかもしれませんが、おそらくドスローになっても、折り合いは心配ありませんからね。その点は問題ないと思います。



-:今週、来週の追い切りのプランも教えてください。

高:来週は今週の追い切りの様子をみて決めようかと思っていますが、今週は坂路で軽めにやってみようと思います。

-:直前はコースで最終追い切りをされている印象があります。

高:自分ではそういうイメージを持って始めたわけではありませんが、直前は軽めにポリ(ポリトラック)で大きく体を動かすのがいいかと思ってはいます。

-:あくまでこれからの経験次第で変えていくということですね。

高:そうですね。馬によっては坂路でもやっています。目立つところ(上のクラス)に出てくる馬はポリでやっていることが多いですね。

-:レースの2日前には坂路を登らせていたりしているようですね。

高:それも馬によります。曳き運動の馬もいますし、馬によって臨機応変にこれと決めずにやるようにしています。

-:ダービーというと、特別なレースです。

高:そうですね。全ホースマンが目指す舞台ですし、馬が産まれた時も「菊花賞馬が産まれた」とはいわず、「ダービー馬(候補)が産まれた」といいますからね。僅か18頭しか出られない中で、名誉あるレースに出られるので、本当に幸せだと思います。

-:最後にファンに向けて一言お願いいたします。

高:人気は集めないと思いますが、ただ出るだけでは馬やオーナーや、ファンに失礼ですし、出るからにはいいところをみせられるようにと思っています。一発を狙ってしっかり調整したいと思いますので、応援宜しくお願いいたします。



【高野 友和】 Tomokazu Takano

1976年福島県出身。
2010年に調教師免許を取得。
2010年に厩舎開業。
JRA通算成績は2勝(11/5/22現在)
初出走
11年3月6日 2回小倉4日目1R ホクザンヴィリル(6着)
初勝利
11年3月20日 1回阪神8日目7R エーシンジャッカル 延4頭目


県下随一の進学校福島高校出身。 帯広畜産大で馬術を学び、ノーザンファーム空港牧場に勤務。その後、JRA競馬学校厩務員過程を経て、2002年7月から栗東・松田国英厩舎に所属。
松田厩舎在籍時代はダイワスカーレット、キングカメハメハ、ダノンシャンティ、ダイワエルシエーロら名馬揃いの環境の中で8年間従事し、昨年、見事、調教師試験に合格した。