サダムパテックの絶対能力に逆転を託す！
2011/5/22(日)
西園正都調教師
この春は弥生賞・皐月賞・日本ダービーと「ホップ・ステップ・ジャンプ」にしたいと、兼ねてから、日本ダービーを目標としていた西園正都調教師。 前走の皐月賞では、残念ながら、オルフェーヴルに屈し2着に終わったが、大一番での巻き返しへ向けて、前走後の調整過程をうかがった。
－：皐月賞は1番人気に推されたものの、残念ながら2着に終わってしまいました。
西：ゲートも以前に比べたらマシな方だったし、4コーナーまでは想定の範囲内でした。4コーナーを回って、直線に向いてからは、位置取りの差だったかな。あとでパトロールビデオを観たら、オルフェーヴルもウチの馬をマークしていたようだけれど、オルフェーヴルが内に行くと、スーッと前が開いて、ウチのは外に行ったけれど、2回ほど寄られるシーンがあって、あそこで手間取ったかな。その分が最後の着差になったと思うね。必ずしも力負けだとは思っていませんし、逆転は十分にあり得ると思って調整はしていますよ。
－：皐月賞のレース後、検量室付近で先生の表情をみると、かなりガッカリした様子でしたね。
西：そりゃあがっかりするよねえ(笑)。クラシックで1番人気を背負って負けたわけだからね。岩田騎手も『すいませんでした』と言っていたよ。それでも、ガッカリしたって着順が変わるわけじゃないし、｢競馬は勝ち負けがあるものだから、レースが終わって悔いのないように次も乗ってくれよ｣と、彼には伝えました。僕らはしっかり仕上げて、馬場に馬を放したら、あとはどうこう出来るものじゃないから、ジョッキーに任せるだけですからね。
－：レース後の疲れなどはありませんでしたか？
西：本当に息の入りのいい馬で、すぐに息が入りました。バテた様子もなく、帰ってきても2日ほど休ませたら、すぐに運動を始められました。攻め馬も坂路とポリトラックを一周りのメニューをこなしてやっています。
－：一時、ハミを替えたこともあったようですが、もうそういった事はされないのでしょうか？
西：スミヨンが東スポ杯に乗った時に『リングハミを替えてくれ』ということで、朝日杯は替えたけれども、その後に跨った人は、替えるほどでもないとの事だったので、弥生賞から結果は出していますからね。
－：この馬のお母さんも前向きなタイプで、フジキセキも競馬で燃えるようなところがある血統だと思いますが、サダムパテックは普段は穏やかな性格だというのが意外ですね。
西：「ここでジーっとしていなさいよ」といえば、ジーっとしているし、本当に大人しくて聞きわけがいい馬ですよ。ガーっと行くのは競馬の時だけで、スイッチの入れ方をわかっているんだろうと思うね。飼い食いもいいし、競馬も乗り易いタイプで本当に素直だよ。あんまり欠点はないよねえ。強いて言えば、ゲートをよっこいしょと出るくらいで(笑)。
－：本日(5/18)の追い切りはどんな内容だったでしょうか？
西：今日は岩田騎手が騎乗して併せ馬でした。1ハロン目の入りが16秒だったので遅かったんだけれども、全体の時計は53秒8で、上がりは24.0－12.8だから、馬場状態を考えると速いと思います。馬場も(雨天が続いた)先週に比べると良かったですし、その先週も(坂路で)55秒台。思った通りの調整で来ています。
－：来週も岩田騎手が調教に跨る予定でしょうか？
西：来週も岩田騎手を乗せて、坂路に一番乗りでサッとやろうと思っています。今日、併せ馬をしたからスイッチが入るだろうし、息遣いをみつつ、(どれくらいの調整にするか)彼の判断に任せるつもりです。
－：ダービーとなると、レース条件も変わってきます。
西：距離に関しては、この前のレースを観る限り、心配ないと思います。あとはクラシックとなると、強さは勿論だけれども、運もないと勝てないですからね。運を引き寄せられるといいのですが･･･。
－：先生が厩舎を開業されてからは、ダービーは2度目の挑戦になります。
西：出るだけでも光栄なことですよ。うちは超良血馬がたくさん入ってくる厩舎でもないですからね。それに今回は人気を背負うわけですし、こんなチャンスは殆どありません。今年は本当にチャンスだと思って、取り組んできています。
－：ダービーを勝つにあたって、理想とする条件や展開、枠順などはありますか？
西：条件もそれを含めて競馬ですからね。無事に送り出せれば、と思っていますよ。よく『能力はあるけれど、出られなかった』と言うけれども、強かろうが弱かろうが、出られなければ勝てませんからね。まずは無事に出走することです。結果はあとからついて来るものですし、僕がここで夜も寝られないくらいに入れ込んでも、馬はなんとも思わないからね。
－：先生自身はそういうプレッシャーに強いほうでしょうか？
西：いや、強くないですよ。先週の京王杯はそうでもなかったけれど、(シルポートが勝った)マイラーズカップは心臓がドキドキして凄かったですねえ。見た目、マイラーズカップの方が楽そうに観えるでしょう？それでも、口から心臓が出そうになった。先週は目の前で(勝ったストロングリターンの)堀調教師が大声を出していて、僕は静かに観て心の中で声援していたけれどもね(笑)。
ダービーはゲートをきったらドキドキするだろうな。岩田騎手もそんな風には見えないけれども、けっこう硬くなっていたからね。話し方もそうだし、彼みたいなタイプでも変わることはあるんだなって、思いましたよ。
－：最後にファンへ向けて、一言お願いいたします。
西：皐月賞は負けたけれども、ダービーを獲れればいいからね。それでいいと思います。無事に出走することが出来れば、結果は自ずとついてくると思いますから、是非、応援してください！
| 過去10年の同年の皐月賞2着馬の日本ダービー成績 | |||
| 年 | 馬名 | 人気 | 着 |
| 10 | ヒルノダムール | 3 | 9 |
| 09 | トライアンフマーチ | 6 | 14 |
| 08 | タケミカヅチ | 7 | 11 |
| 07 | サンツッェペリン | 9 | 4 |
| 06 | ドリームパスポート | 7 | 3 |
| 05 | シックスセンス | 7 | 3 |
| 04 | コスモバルク | 2 | 8 |
| 03 | サクラプレジデント | 2 | 7 |
| 02 | タイガーカフェ | 5 | 10 |
| 01 | ダンツフレーム | 3 | 2 |
| 今年は皐月賞が東京で行われた点を忘れてはいけないだろうが、この成績をみても、皐月賞2着馬の苦戦はみてとれる。今回も上位人気が予想されるサダムパテックは、このジンクスを打ち破ることができるだろうか。 | |||
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■最近の主な重賞勝利
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騎手時代に303勝を挙げた後に厩舎を開業。坂路を主体とした独自の調整方法で活躍馬を量産。自らも「ウチの古馬は短距離王国」と公言しているように、スプリント～マイル路線は大レースで常連中の常連。本年はサダムパテックでかねてからの目標であったクラシック制覇に挑戦する。また、安田記念にもエーシンフォワード、シルポート、コスモセンサーの3頭を送り込む予定。 |
