牡馬が相手でも主役!GⅠ・5勝馬アパパネ
2011/5/29(日)
国枝栄調教師×高橋摩衣
-:安田記念に出走を予定しているアパパネについて、国枝栄調教師に伺います。よろしくお願いします。
高:先生、今日もよろしくお願いします。ヴィクトリアマイル、おめでとうございました。
国:おかげ様でね、ありがとうございます。あのブエナビスタを負かしたというところで価値が出たと思っています。
高:凄いレースでしたね。私も最後は声を出して応援しましたけど、先生はレース前のアパパネの状態やレース自体はどうご覧になられたんですか?
国: レースの前の状態としては特に問題はなかったと思いますし、競馬は北村宏司があれだけ引っ張ってくれたこともあって、思ったよりは全体の中での位置取りが後ろかな、と思って見ていましたけど、凄く良い競馬をしてくれましたよね。マサヨシ(蛯名正義騎手)は、この馬に関してはほとんどパーフェクトに乗ってくれていますよね。今回も、もう度胸が据わっていて「来るなら来い!」という感じで。やっぱりあれだけ躊躇せずに乗れるというのは、それだけ乗り役が凄いですよ。さすが素晴らしい成績を残している乗り役ですね。
高:道中はブエナビスタの前にいて欲しい、というお考えがあったようですね。
国:それは当然そうですね。ブエナと同じ脚が使えるのかと言ったら、多分それは無理だと思いますから。
高:そうは言っても、ブエナビスタが後ろからついてくるというのは見ていてドキドキしちゃいませんか?
国:それはあるんですよね(笑)。ただブエナがあの位置から、ウチの馬が伸びているのよりも、例えばコンマ3でも4でもビュンと来れるかというとなかなか難しいですよ。だからやっぱりマサヨシが完璧に乗ってくれたということですよね。
高:なるほど。レース後のアパパネはどんな感じだったんですか?
国:レースが終わってすぐは「疲れたー」という顔をしていますけど、その後は特に問題無く来ていますよ。
高:安田記念出走は、ヴィクトリアの結果次第だというお話でしたね。
国:そうそう。ヴィクトリアで全く見どころの無い競馬になってしまえば「安田記念に行くという訳にはいかないな、じゃあ一息入れようかな」ということになったり、いろいろ選択肢はあるでしょうけど、あれだけの走りを見せてくれたわけですし、レース後すぐに決まりました。今回も同じ舞台ですから、十分胸を張って行けるかな、という感じです。
高:レース間隔がそれほど開いていませんけど、調整はどのような予定をお考えですか?
国:今週の終わりから時計を出して、来週やって、それでいいんじゃないかと思いますよ。もう競馬を2回使っていますし、多分アパパネのレベルを考えて、競馬に出る段階としては100にちかいところまで来ていますから。ここからもっと上げようと思ったって、それは無理ですよ(笑)。あとは無事に出せれば良いのでね。
高:古馬牝馬限定のG1ヴィクトリアマイルを勝って、今度は牡馬を含めたG1ですね。
国:そう考えると、アパパネはやっぱり大した馬ですよね。早熟なだけではなくて、精神的な成長もあってね。力を抜くことを覚えて、夢中にならなくなって来ていますよね。
高:より効率良く力を出せるようになったんですね。
国:そうそう。やるときはやるんだよ、と(笑)。なかなかそういう風にならない馬もいますけど、この馬は受け入れてくれていますよね。
高:そうやって順調に成長して、G1を5勝しているんですから、本当に凄いですよね。
国:そうですね。あとは、私たちもやっぱり緊張するのは、これだけの牝馬ですから現役引退後は繁殖というものがありますからね。レースでダメになってしまうというのは、一番怖いですよ。だから中途半端な状態では使えないですよね。
高:この先、アパパネの子供が出走します、となったらファンも楽しみですもんね。
国:そうそう。競馬はブラッドスポーツなんですから、そういう繋がりをどんどん残していくのは大事ですからね。やっぱりそうやって現役引退後のことも考えるようになりましたよ。去年3冠をクリアして、欲を言えば他のカテゴリーも制覇したいということになりますけど、普通に考えれば、いかに次へ繋げるかということが大事になってきますからね。そういうこともオーナーと相談していかないとね。
高:なるほど。ではお時間も迫ってきたのでそろそろ最後の質問をさせてください。先生はヴィクトリアマイルの前に「ブエナビスタとどう戦えるのか楽しみ。我々が楽しみということはファンも楽しみでしょうね」とおっしゃっていましたが、今回の安田記念の見どころはどの辺りにあるとお考えですか?
国:そうですね、やっぱり男馬とマイルでの対戦でどうなのかな、というところですよね。
高:マイラーズカップが力関係を考える基準のひとつになりそうですね。
国:そうそう。マイラーズカップで十分な走りをしてくれましたので、それから考えると楽しみは十分ありますよ。あのときは休み明け初戦でしたし、斤量も上位馬と1キロ差だったのが2キロ差になりますしね。
高:本当に楽しみですね。レースを楽しみにしています。今日はありがとうございました。
|
||
■最近の主な重賞勝利 |
||
2010年に牝馬3冠を達成したアパパネが11年ヴィクトリアマイルを制し、厩舎10個目のG1タイトル(Jpn1含む)を手にした。今週の安田記念にアパパネを送り込み、11個目のG1タイトル制覇を狙う。 |
|
||
■出演番組
|
||
2006年から2008年までの2年間、JRA「ターフトピックス」美浦担当リポーターを務める。明るい笑顔と元気なキャラクターでトレセン関係者の人気も高い。2009年より、競馬ラボでインタビュアーとして活動をスタート。いじられやすいキャラを生かして、関係者の本音を引き出す。 |