関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

榎本優也調教助手

榎本優也調教助手(栗東・須貝尚介厩舎)


競馬ラボユーザーにはお馴染みの現役関係者コラム「トレセンLIVE!」。その中でも、須貝尚介厩舎(S.R.S)所属の榎本優也調教助手が手掛けるアスカトップレディが、勇躍、3歳時のフローラS以来の重賞の舞台に挑む。
夏の降級により、現在は準オープン馬となったが、1000万下~準オープンを連勝中。結果次第では、秋の牝馬重賞戦線でも注目の一頭となるだろう。


-:榎本さんには毎週、この馬について、書いていただいてますが、まず、この馬を担当されることになったデビュー当時の印象から、改めて、教えてください。

榎:初めて乗った感触は良かったですよ。決して、高額馬ではありませんが、厩務員さんも『とても、これだけ安いとは思えないな』と口を揃えていました。

-:今回も若手の成長株といえる浜中俊騎手が騎乗されますが、浜中騎手との過去3戦を振り返っていただけますか?

榎:初めて乗ってもらった時は、ああいう運もなかったような展開の2着で、前々走はその3走前に、位置取りが後ろ過ぎたという点も考慮してもらいました。それに、馬場も悪かったので、今まで道悪で走った時も、乗っていた人は『ノメるところがある』と言っていたので、そこは気をつけて欲しいとは伝えました。でも、レースから上がってきたら、ジョッキーもそんなに気にならなかったようでしたが。
前走もコラムにも書いたんですけれど、(厩務員・調教助手が乗車する専用の)バスでレースを観ていたら、あんな接戦だとは思わず、ほぼ迷いなく勝ったと思いました。隣にいた河内厩舎の方と、『ありがとうございます』なんて話をしていたくらいです。あとで観たら、あんな大接戦だと気付いてびっくりしましたよ。浜中騎手自体は、積極的に乗ってくれるジョッキーですし、手は合っていると思いますので、今回も期待しています。


-:アスカトップレディの好きなモノや、競馬にいった時のセールスポイントを教えてください。

榎:餌だったら人参と燕麦が好きですね。配合飼料など、何を混ぜてもしっかり食べてくれますね。それと、レースにいったら競馬が上手なところが売りじゃないでしょうか。これまでの戦績通り、センスがあるので、大きく崩れることもないですからね。

-:今回はハンデが53キロとのことですが、どう感じられましたか?

榎:53~54くらいかとおもっていましたし、そんなに気にはしていませんでした。でも、新聞記者の方が『ハンデ戦になってから、53キロ以下の馬しか勝っていない』と教えて貰っていたので、良かったと思いました。(同じ準オープンクラスで、前走では惨敗していた)ラフォルジュルネが54ですし、そういう意味でも恵まれた気はします。

-:馬体的にはお尻の部分に、もう少し肉がついた方がいいようにもみえます。

榎:写真を見た時も、いつもそうなんですよね。

撮影日:6/14

-:普段はだいぶ落ち着いているのに、パドックではちゃかちゃかするところがありますね。

榎:何ででしょうか?普段、調教 で乗っているときも、坂路のスタート地点では、うるさかったりしますし、前走の京都では輸送も小一時間で着くくらいなのに、汗だくで、初めて競馬場に着いてすぐに体を洗ったほどでした。
例のごとく、当日は飼い葉に口をつけず、気温が高かったこともあり、パドックでも汗をかいていて、『正直、怪しいかな』と思いました。かといって、パドックでチャカつくのも競走能力に著しく影響するほどではないのですが。


-:でも、そういうタイプって、馬群の後方からピュッと来るタイプが多いですよね。

榎:どうなんでしょうかね(笑)。でも、そういうイメージがあったから、以前乗っていた藤田さんもそういう乗り方をしていたのかもしれません。でも、勝つときは好位からの競馬が多いですね。

-:既に『絶好調』とも報じられていますが、育成に携わっている方としたら、マーメイドSへ向けてのデキはズバリどうでしょうか?

榎:どこも悪いところはなかったんですけれど、前走後は疲労が抜け切るまでは楽をさせましたし、そのあとは緩めることなく、キッチリ乗り込めています。
最終追い切りも(坂路で4ハロンの全体時計が)52秒くらいかと思っていたら、50秒5と聞いて、『エッ?』と思いました。僕は実際、調教は観てはいなかったのですが、あとで実際に触っても問題なかったですし、飼い葉もきれいに食べていましたからね。獣医さんにも『絶好調やね』と言ってもらって、ちょっと順調過ぎて逆に怖いですね。楽しみであることは勿論ですが。


-:その好調を維持している今回、馬体重はどれくらいになりそうですか?

榎:先週、量って競馬の時よりプラス12キロくらいです。毎回、そこから競馬で10キロくらいは落ちますね。でも、どこの競馬場にいっても同じように落ちますし、『トレセンの体重計も正確なのかな?』と思います。かといって、昨年末に福島に行ったときなどは、トレセンと競馬場で同じ体重でしたからね。

-:硬くて時計が出やすい、今の阪神競馬場の馬場のコンディショについて、どう感じますか?

榎:今週からコースも替わりますよね。でも、あんまり気にはならないですね。あとは良馬場でやれればと思いますが。今週はいまのところ、木・金曜日に雨が降るみたいで、週末は大丈夫のようですが…。



-:アスカトップレディ然り、自らが調教助手として仕事で心掛けていることを教えてください。

榎:やっぱり、飼い葉を食べる事、調教をきっちりやる事も大事ですけれど、精神的に追い込んでしまうと、失敗してしまったことがあるので、それは気をつけています。

-:開業して、順調に成績を伸ばしている須貝尚介厩舎ですが、先生はどんな方でしょうか?

榎:競馬に対してマジメで、色々なことをやってみようと、常々考えている人です。そして、僕らの意見にも耳を傾けてくれる人ですね。

-:わかりました。最後にこのレース後のローテーションと、マーメイドSへ向けての意気込みをお願いいたします。

榎:ローテーションは聞いていないんです。もともとは滞在のほうがいいからということで、一息入れて北海道で使うプランもあったんですけどね。でも、これから、こういうメンバーとやっていく事になると思うので、とにかく、いい競馬をして欲しいですね。今回もどうか応援よろしくお願いします。

(取材日:6/15)


【榎本 優也】 Yuuya Enomoto

1981年生まれ。大の競馬ファンである父親の影響で、幼い頃から阪神競馬場、京都競馬場へ足を運んでいた。武豊騎手に憧れてジョッキーを志すも、目の悪さで受験資格をクリア出来ず断念。
しかし、競馬関係の仕事に就きたいという思いに変わりは無く、牧場勤務を経て、25歳の時にJRA厩務員課程へ入学し無事卒業する。
その後、しばらくの待機期間を過ごし、09年5月に須貝尚介厩舎で待望の厩務員生活をスタート。 7月には持ち乗り助手となり、2頭の競走馬を担当している。
現在はアスカトップレディと2歳馬・ジャスタウェイを担当中。 また、競馬ラボの人気コンテンツ「トレセンLIVE!」でコラムも連載中。