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浜中俊騎手

浜中俊騎手


-:有馬記念に出走するスリーロールスについてお伺いします。よろしくお願いします。

浜:よろしくお願いします。

-:まずは中間の状態ですがどうでしょうか?

浜:(18日)金曜日に乗る予定なので、まだわからないんです自分で乗って確かめてはいません。

-:厩舎サイドからは何か聞いていますか?

浜:はい。前走からの回復も早かったみたいで、順調に調教も積めているようです。

-:菊花賞から有馬記念のローテーションは、3歳馬の場合、好走するケースがみられますけれど、調整する側からしたら、微妙な時間が空くじゃないですか?

浜:そうですね。難しいところだと思います。



-:前走、菊花賞では人馬ともにGⅠ初勝利となりましたが?

浜:馬が力をつけていたので、レース前から「やれるんじゃないかな」という期待はありました。そして枠順とか流れ、全てが上手くハマってくれました。自分自身も初GⅠだったので、凄く嬉しかったですね。

-:「子供の頃からGⅠジョッキーになるのが夢だった」と、コメントされていましたね。

浜:小学校2~3年生の頃から騎手を目指していたので、夢が叶ってすごく嬉しかったです。

-:デビュー3年目ですから早いですよね?

浜:こんなに早く、しかもクラシックでGⅠを勝たせてもらえるとは思っていなかったです。

-:スリーロールスには毎日杯の時から騎乗されていますが、その頃と比べて変わってきた点などは?

浜:春はトモと腰に力強さが欠けているというか、すこし非力な所もありましたね。夏の放牧を挟んでから、腰がパンとしてトモの力強さも加わってきた事が、この結果の要因かなと思います。

-:春はダービーを目指していたものの、それを切り替えて放牧に出した事が好結果につながったと?

浜:そうですね。それまでもずっと使っていましたしね。500万を勝った時に先生が「先を考え、ここで大事をとろう。」という判断を下されたことが大きかったんだと思います。

-:とはいえ、あそこまで青写真通りに行くというのは…?

浜:馬がしっかりそれについてきてくれた事が偉いですよね。

-:担当の方も「この馬はハミを噛む」とおっしゃってて。そうゆう馬というのはイメージとして3,000mなどは向かない気もするのですが?

浜:噛むというか、どうしてもトモが甘い分、ハミに頼ってしまうんです。春は1,800mでも2,000mでも、ハミが外れてしまうようなところがありました。だから、終い追ってから、もうワンパンチ足らないというか。菊花賞の時は返し馬で口が切れていて、レース後もそうでした。

-:菊花賞の前走の野分特別然り、4コーナーで回ってくる時の脚がグーっと伸びて来ますよね?

浜:そうですね。けっこう反応が良くて、不器用でもない。菊花賞でも4コーナーを回って、内を狙った時にスーっと前との差が詰まって行きました。

-:ヤマニンウイスカー達を抜かして「勝ったな」と?

浜:あの2頭(リーチザクラウン、ヤマニンウイスカー)とは脚色が違ったので、あとは後ろから何も来なければ…という感じでした。

-:最後ちょっとヨレました?

浜:ヨレましたね。フォゲッタブルが内から来たのもあると思います。

-:中山に替わって、直線の急坂に不安はありませんか?

浜:それはもう阪神コースで克服しているので。そんなに不安はありませんよ。

-:斤量的にも有利ですよね?



浜:そうですね。55キロと、古馬とは差があるので。

-:やっぱり、引き続き内枠が欲しいところですか?

浜:勿論、(内が)ほしいです。スタートが速いので、外枠でも出していかなくても大丈夫だとは思うのですが、内枠の方がいいですね。

-:あの馬に乗っている上で、気をつけているところはありますか?

浜:折り合いは比較的難しいほうではないと思うのですが、春先からハミに乗っかかっていくところがあるので、ユッタリ走らせる事には、いつも気を使っていますね。

-:こうゆう(ハミに頼る)馬というは、道悪が良くないイメージがあるのですが?

浜:そういう馬は多いかもしれません。でも、スリーロールスは、道悪でも問題ないタイプですよ。

-:この馬のデビュー戦は「伝説の新馬戦」と言われていますが、早くから素質は感じていましたか?

浜:僕は(新馬戦を)乗っていなかったのでわかりませんでしたが、上位3頭は「凄いよ」と、みんな言っていました。それもあって注目して観ていましたけれど、その時でも4着に来ていたし。ノリさん(新馬戦に騎乗した横山典弘騎手)が「この馬は大事にした方がいいよ」って、仰ったぐらいですから。素質はあったんでしょうねぇ。

-:そうゆう前提で、最初に乗った時は、素質は感じたものですか?

浜:やっぱり「いい馬だな」と感じましたね。以前に乗った方も口を揃えて「イイ、イイ」と言っていたので。福永祐一さんが僕の前に乗られていたけれど、やっぱり「イイ」って仰られていました。みなさん「腰が甘いから、これから良くなってくる」という評価でしたね。

-:それでも、どこまで上積みがあるのかはわかりませんよね?

浜:みんな、ここまで来るとは思っていなかったと思うんですよ。僕も500万勝った時に、まさかGⅠを勝つほどの馬になるとは思いませんでしたし…。



-:ズバリ、有馬記念は色気を持っていますか?

浜:はい。勿論!! 、菊花賞を勝つだけの馬ですからね。たしかに展開は上手く行きましたが、勝つというのは、力があるということですからね。そこはGⅠ馬のプライドを持っていますし、有馬記念はチャンスだと思っています。

-:浜中騎手自身、中山競馬場の印象はどうでしょうか?

浜:2,500mも1・2回しか乗ってなくて、正直、経験はありません。トリッキーというか、コース形態は難しいですよね。

-:4角の雰囲気というか、コーナーの深さが違いますよね?追い出すポイントなどは、普通は景色でわかると思うんですけれど。

浜:違いますね。

-:昔の競馬を感じられるところです。話は変わりますが、今年一年をトータルに振り返ってどうでしたか?

浜:やっぱり、GⅠを勝たせて頂いたという点で、凄くいい年でした。プライベートでも結婚をして、子供も産まれましたし。ジョッキー3年目で減量もなくなって、100勝も達成できたし、色々経験できた事は良かったと思います。

-:GⅠを勝ったのは結婚して、すぐでしたよね?

浜:7月20日に籍を入れて、GⅠを勝ったのは10月25日。子供は11月22日に産まれました。

-:トントン拍子じゃないですか?奥さんは凄く喜んだんじゃないですか?

浜:良い事が続きましたね。そうですねぇ、(奥さんは)喜んでくれたかなぁ…(笑)。反省としては、夏の小倉で落馬をしてしまったので、ケガには気をつけたいです。

-:ファンに向けて、浜中騎手自身のアピールポイントなどはありますか?

浜:僕ってどんな騎手ですかねぇ…(笑)。芝もダートでも好きです。長距離戦というのは、個人的に好きですね。後輩に凄い子が出てきているので僕も頑張らないと。

-:後輩って、誰のことですか(笑)?

浜:三浦(皇成)騎手とか。あれだけ結果を出してますからね!自分も含めて若手はドンドン頑張って行かなければいけません。

-:騎手の世界って、世代交代が遅い印象がありますからね。

浜:そうですね。もっとポンポン替わって行かないといけないですよ。

-:最後に改めて、有馬記念は、期待していいですね?

浜:調整方法などはスタッフの方々が一番知っていて、熱心にやってくださっれていますから。僕自身は期待しています。

-:当日は応援します。今日はありがとうございました。

浜:ありがとうございました。




浜中 俊

1988年12月25日 福岡県出身。
2007年に栗東・坂口正大厩舎からデビュー。
初騎乗:2007年 3月 3日 1回中京1日 4R コレクトシチー
初勝利:2007年 4月 7日 1回福島3日 7R トシツカサオー
JRA通算成績は143勝(09/12/16現在)


■重賞勝利
・09年菊花賞(スリーロールス号)
・08年小倉2歳S(デグラーティア号)


デビューイヤーから20勝。2年目の昨年には重賞初勝利を含む、73勝もの勝ち星を挙げ、早くから存在感を示していたが、今年はスリーロールスでの初GⅠ制覇。結婚、そして、第1子の誕生とこれまで以上に充実した一年を送っている。