【NHKマイルC】秋山真一郎「GIを獲りたいと諦めずにやってきた」

トピックス

12年5月6日(日)、2回東京6日目11Rで第17回NHKマイルカップ(GⅠ)(芝1600m)が行なわれ、秋山 真一郎騎手騎乗の1番人気・カレンブラックヒルが優勝。勝ちタイムは1.34.5(良)。


デビュー3連勝でニュージーランドトロフィーを制し、否応なく1番人気に支持されたカレンブラックヒル。ゲートは3枠5番。先行タイプのこの馬にとって、絶好といってもいい枠を引いたが、好スタートを決めると、自らのリズムでハナへいく。

「ついてこられるならついてこいと思っていました。周りにあわせてリズムを崩すよりは、自分のペースで行こうと。逃げることも考えていましたね」と秋山騎手。

とはいえ、大箱の東京コース。JRAのコースでも逃げが決まり辛いといわれる東京マイルで、人気を背負って逃げの手を打つ事は並々ならぬ自信があってのことだろう。直線に向くと、他馬がプレッシャーをかけ並びかけてきたが、1発、2発、3発と鞍上のステッキが舞うと、みるみる内にリードを広げる。懸命にスパートをかけたが、終わってみれば3馬身差の圧勝だった。

「3馬身も開いているとは思いませんでしたね。とにかく直線が長くて、『早くゴールが来てくれ!』と思いながら乗っていました。ゴールをしてから、他のジョッキーに声をかけてもらって、『これがGIを勝つ事なんだ』と実感させられましたよ。涙?勝ったら思いっきり泣いてやろうと思っていたけれど、嬉し過ぎて泣けないですよ (笑)」。


プレゼンターの女優の田中麗奈さんと


秋山騎手といえば、デビュー2年目から16年連続重賞勝利、通算700勝をこえる実績を残すトップジョッキーでありながら、これが初めてのGIタイトル。しかし、全く縁がなかったわけではない。そう、2007年のオークスでは1番人気のベッラレイアに騎乗し2着に惜敗。実に今回が55戦目でのGI制覇だった。

「長かったですね。GIを獲りたいと諦めずに一生懸命やってきました。あのオークスは今まで味わったことのない緊張感。きょうはその時よりも落ちつけたし、初めてのチャンスでうまくいく人もいるだろうけれど、あの時の僕はそうはいかなかった。でも、あの経験があったから、今日があるんだと思います。」と振り返る。

そして、気になるのは今後のカレンブラックヒルの動向。これで4戦無敗、非の打ちどころのない実績を引っ提げての日本ダービー参戦への期待も膨らむ。

「やってみないとわかりませんが、仮に挑戦しても距離には対応できると思います。スピードもあるし、そのスピードを持続できるスタミナもある。同じ3歳同士なら、こなしてくれると思います」と見通しを語った。

“競馬オタク”を自称するほど、誰よりも競馬を愛し、人一倍研究熱心な秋山騎手。その思いを支えるポリシーは“誰よりもカッコよく乗りたい”という思い。この日、遂にGIを制し、誰よりも輝いた男・秋山真一郎。目標としていたGIジョッキーの称号を手にし、再び歩むフィールドから、これからも目を離すことはできない。


1着 カレンブラックヒル(平田修調教師)
「うれしいですね。ようやくG1に勝て、やっと一人前になれたと思います。
ちょっと敏感な面がある馬ですので、テンションを上げすぎないのがテーマ。追い切りは強すぎず、また軽すぎず、うまく調整できました。体重はマイナス6キロでしたが、これまでは腹周りに余裕がありましたので、完全に仕上がったと思いましたよ。
直前に雨が降っても、短時間なので馬場への影響は心配しませんでした。こぶし賞のときは雪が降って発走を待たされた過去があります。それも克服していますし、精神的にも我慢できると見ていました。
レースは逃げるかたちとなりましたが、相手関係から行くことも想定していました。直線で突き放し、想像以上に強い内容でしたね。
ベッラレイア(07年のオークスで僅差の2着)と同様、秋山くん(真一郎騎手)とのコンビ。あの悔しさがあったからこそ、今回の喜びは倍増しますし、ジョッキーには『今後もよろしく。また一緒にがんばっていこう』と声をかけたいですよ。
次走に関しては、オーナーとゆっくり相談します。この距離にこだわってきましたし、路線を変えないほうがいいかと考えていますが、ダービーには登録するつもりです」