-京都新聞杯-平林雅芳の目

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日曜京都11R
京都新聞杯(GⅡ)
芝外2200m
勝ちタイム2.10.0(レコード)

トーセンホマレボシ (牡3、父ディープインパクト・栗東、池江厩舎)

※※日本レコードでトーセンホマレボシがダービーへ!!

まるでディープインパクト・ファミリーの発表会かと思えるほどの結果となった。電光掲示板の上から4番目までを独占。わずかに一番下がメイショウカドマツのダイワメジャーが乗っただけ。
このレースの少し後の東京・プリンシバルSもそうだが、馬場さえ良ければディープインパクトの子供は喜んで走る様だ。それもコスモバルクの造ったJRAレコードを塗り替える勝ち時計には場内もビックリ。これほどに速い決着とは思えない流れでの勝利でこのタイム。
それにしても来日初日に重賞制覇。ウイリアムズJの気迫溢れる騎乗ぶりにも感嘆させられるものであった。

スタートからのラップが12.2~10.6~11.4~11.7~12.1。この前半1000通過が58.0である、その後の1ハロンが12.8で1200通過が1.10.8だが、特筆すべきはその後の1000メートルを59.2で上がってきていること。
その内訳を示すと12.5~11.9~11.3~11.5~12.0。先手を取った武豊Jが『楽に行かせてはくれなかった・・』と語る様に、2番手につけたトーセンホマレボシだけがピタっとついてきて無言のプレッシャーをかけていたのがアリアリである。
特に残り800の地点からもう11秒台へとラップを上げさせる自然な動きがついて廻ってきていたのであり、4コーナーに入る時にはもうメイショウカドマツに並びかけて抜く勢いでトーセンホマレボシが動いて行ったのである。

パトロールビデオを観ながらレースをふり返る。
そんなにいいスタートどころか、あまりいい出方ではなかったトーセンホマレボシだが、直ぐにステッキが4発ぐらい入る。これで外から前へと出て行ったメイショウカドマツのすぐ後ろにつけている。これは意識しての乗り方だろう。前が止まらない馬場、先行有利な展開と距離。最初から狙っていた乗り方だと思える。
そして終始メイショウカドマツから離れない乗り方。ペースメーカーを使っている様な騎乗ぶりである。道中も2馬身と離れていない。そして坂の下りではもうゴーサインを出したかの様にさらに押して前に接近して行く。カーヴを廻る時にはもうメイショウカドマツの横に並んでいく勢いである。
外廻りと内廻りの空間を過ぎて、まだ300のオレンジ棒を見る前から追い出した。右ステッキを最初に2発。そして持ち替えて左で1発。少し外へもたれた感じでもある。
少し行ってから再び右に持ち替えて2発。最後は逆に内へもたれだしたのか、手綱で矯正しながらのゴールであった。外から追い込んで来ていたベールドインパクトの脚も悪くはなかったが、危なげないセーフティーゾーンにもう逃げ込んでいた。メイショウカドマツは残り1ハロンあたりでもう脚もなくなっており、何とか5着に粘っただけ。

そして検量室前の枠場に戻ってきた時にJRAの職員が、勝ち馬の左前の鉄が外れていたと手にして近づいてきた。一方、メイショウカドマツの方は右後ろの鉄が外れていたと判明。この差も大きい。
3着のエキストラエンドククイナッツレイは内ラチ沿いを進んでいた馬達で、コースロスないだけに伸びるものと判るものだが、2着ベールドインパクトは枠なりのレースで外々を廻ってのもの。
皐月賞はあの馬場だっただけに仕方なかったもので、良馬場ならやはり切れる馬だ。

それにしてもトーセンホマレボシである。デビュー戦が阪神、そして京都、小倉で初勝利。昇級して阪神。続いて中京で2勝目を挙げての5戦2勝だったが、表舞台では競馬していなかった。今回が初オープンへ挑戦となったもの。そして晴れの舞台、ダービーへの道を自力で切り開いていったもの。
デビュー戦の時はズブさが先だっていた印象の馬だったが、もう自ら動ける機動力を身につけているのにも驚き。成長力がすごくある馬の様である。

今週だけでダービーへと駒を進めれたディープインパクト産駒は3頭。もうすでに権利を獲っている馬とで、何頭がゲートに納まるものだろうか。さすがである。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。