ケンタッキーダービーを終えて

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第138回ケンタッキーダービーは入場新記録の16万5307人が見守る中、5日ケンタッキー州ルイビルのチャーチルダウンズ競馬場のダートコース(距離10ハロン)でスタートした。
20頭立てのレースは、1番人気のボーディマイスターが先行、最初の2ハロン22秒32、4ハロン45秒39という暴走的ラップを刻んだが、直線残り1ハロンでも3馬身のリードを保ってびっくりさせた。残念ながら残り100ヤードで、19番枠から出て前団5頭の後ろからレースを運んだアイルハヴアナザーに並ばれ交わされたが、1馬身半差の2着に粘り込んでファンの喝采を浴びた。

ケンタッキーダービーを逃げて勝った1985年のスペンドアバックや1966年のカウアイキングは、マイル通過で勝っているが、最初の2ハロン、4ハロンはボーディマイスターのラップからは遅れていた。
エンパイアメーカーの3歳牡馬ボーディマイスターは3歳デビューで、これで5戦2勝、2着3回の成績だが、大事に使われて行けばカーリン級のスーパースターになることは間違いないだろう。

勝ったアイルハヴアナザーは、19番枠からスタートした初めての優勝馬となった。騎乗したメキシコ出身のマリオ・グティエレス騎手(25才)も初めて、彼は南カリフォルニアに来る前はカナダのリーディング・ライダーだった。南カリフォルニアのダグ・オニール調教師も初めての優勝である。
フラワーアレー産駒の3歳牡馬アイルハヴアナザーは2歳時の成績が3戦1勝だったにも拘らず、今シーズンはG2ロバートBルイスSと前走G1サンタアニタダービーを連勝、今回はG1連勝、重賞3連勝での見事な内容で3歳馬の頂点に立った。6週で三冠を決定する米トリプルクラウンシリーズ、次は19日、場所をメリーランド州ボルティモアのピムリコ競馬場に移して行われる。

5日と6日、英ニューマーケット競馬場のローリーマイルコースで行われた2000ギニーと牝馬の1000ギニーは愛バリードイルを率いるエイダン・オブライエン厩舎の馬がギニーズダブルを達成した。

18頭立ての2000ギニーは、ファーサイド4頭、センター3頭、スタンドサイド11頭の3つのグループに分かれての戦いになった。その中でスタンドサイドの8~9番手でレースを運んだ2頭が優勝争いを演じた。
まず残り1ハロンでセンター寄りからオリビエ・ペリエ騎乗の仏フレンチフィフティーンが抜け出したが、馬群を割って人気のキャメロットが追いかけ、ゴール前でクビ差交わして優勝した。調教師の長男ジョセフ・オブライエン騎手(18才)で勝ったキャメロットはモンジュー産駒の3歳牡馬で、G1レーシングポストトロフィーに続く2つ目のG1優勝、通算成績を3戦3勝とした。

17頭立ての1000ギニーは、ライアン・ムーア騎乗の伏兵ホームカミングクイーンが最初からリードを取って、残り2ハロンからリードを広げてのワイアートゥワイアーだった。その差が9馬身、前日の2000ギニーよりも2秒も速い時計での優勝だった。2歳時は11戦2勝の成績も、今年は前走G3レパーズタウン1000ギニートライアルSに次ぐ3戦2勝の成績である。
対照的にジョセフ・オブライエン騎乗の1番人気メイビーは、最後にやっと3番手に上がって来ただけ、僚馬の不振をカバーした形となった。

エイダン・オブライエン調教師は、2000ギニーが6回目、1000ギニーは2回目の優勝で、ギニーズダブルは2005年、2000ギニーをフットステップスインザサンド、1000ギニーをヴァージニアウォーターズで制して、以来2度目の快挙である。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。