エイブルワンがチャンピオンズマイル制覇

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6日、香港シャティン競馬場で行われたG1チャンピオンズマイル(芝1600m)は5頭による激しい攻防となった。過去に2度優勝しているエイブルワンのスローペースの逃げは直線に入ってもしぶとかった。
早めに2番手に上がったラッキーナインが手こずっている間に、後方から4コーナーでインを突いたアンビシャスドラゴンが追い上げ、残り300mで一旦前が壁になって外に出さざるを得なかった昨年の覇者エクステンションが、グロリアスデイズを連れて外から追い込み、残り50mで先頭に立った。半馬身差でグロリアスデイズが2着で続き、同じく半馬身差でやっと交わしたラッキーナイン、クビ差遅れてアンビシャスドラゴン、短頭差5着エイブルワンの着順だった。

勝ったエクステンションは、次週20日、シンガポールのクランジ競馬場で行われるG1SIAカップに行く予定。その後の状態如何でロイヤルアスコットのG1プリンスオブウェールズSへの出走も考えるとのことである。
今回はニュージーランドの20才のジェームズ・マクドナルド騎手に依頼したが、シンガポールでも引き続いて乗って貰う予定だそうだ。マクドナルド騎手はチャンピオンズマイルが13回目のG1優勝だった。

このチャンピオンズマイルには安田記念に選出された4頭が出走していた。ハゾネット産駒の4歳セン馬グロリアスデイズは2着、初の国際G1の舞台でも未だ底を見せていない。通算成績は8戦5勝、2着3回。ニュージーランドのテラパ競馬場のメイドンを勝っているように左廻りも経験している。今回はフェリックス・コーツィー騎手を南アフリカから呼び寄せ、メンバー中最速のラスト400mを21秒83で駆けているように、日本でも中団から鋭い差し脚が見られそうだ。

3着ラッキーナイン、昨年秋は2度スプリンターとして日本で走った。帰国後、暮れの香港スプリントで国際G1馬となったのは記憶に新しい。今回はマイル路線での再来日。スプリント路線では中団、後方と追い込みを得意としたが、マイル路線では積極的に前に行く競走が目立つ。
昨年の香港G1クラシックマイル勝馬で、チャンピオンズマイルは昨年2着、今年3着。最も日本のような速い展開で前々のポジション取りが出来るかは疑問だが、勝負圏内での活躍は期待出来そうである。

UAEのアフリカンストーリーは、スローペースで伸び悩んでの6着だけにがっかりしたのが本音である。メイダンの左廻りでG3、G2まで勝ち進んだが、G1の壁は厚そうな気がする。そしてもう1頭のフェアトレード。こちらは全くレースにならなかったが、どうやらラッキーナインの帯同馬としてキャスパー・ファウンズ調教師が連れて来たい考えのようである。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。