-東海S-平林雅芳の目

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土曜京都11R
東海S(GⅡ)
ダ1900m
勝ちタイム1.56.4

ソリタリーキング (牡5、父キングカメハメハ・栗東、石坂厩舎)

※※偉大な兄達に近づく重賞初制覇。ソリタリーキング!!

夏日に近い26度の京都競馬場。ダートは白く乾いて舞いあがる状況ながら、タイムは速い決着が続く。上が57キロ、ワンダーアキュートニホンピロアワーズの2頭。下は牝馬2頭の54キロ。その1頭ミラクルレジェンドが圧倒的に優位かと思えたものだが、直線入り口ではかなり苦しい手応え。その割にはゴール前でもうひと伸びはしたが、一番前までは届かず。
勝ったのは、道中3,4番手の内目をロスなく進めたソリタリーキング。先に抜け出したニホンピロアワーズの外から、ゴール前で綺麗に差し切って兄弟制覇を果たした。そして石坂厩舎の快進撃が始まった瞬間でもあったのだった・・・。

パドックで周回する馬を観ていて、ワンダーアキュートは筋肉の盛り上がりがなかなかでいい感じ。数字の12キロ増は何とも思えない。そしてデスペラードの馬体が、しっとりとしたみずみずしさまで感じて実にいい馬体に見えた。
返し馬ではアイファーソングが『やや硬いな~』と感じる脚さばき。そのアイファーソングの逃げで始まった。

トウショウフリークがスタートから少し行った処で躓いた。ヒラボクキングが内から出ては来たが、競っていく程でない。だからと言って、スローになる面子ではない。2コーナーからでも12秒台のラップを刻んでいく。バーディバーディが2番手、ヒラボクキングと続き、ニホンピロアワーズがその後ろを進む。直後の内目にソリタリーキングがつけている。
ミラクルレジェンドとワンダーアキュートが並んでいた。後でパトロール・ビデオを見ると、ワンダーアキュートはやや掛かり気味の行きっぷりで時折、頭を振る仕草が見られた。3コーナー手前で動きが出て、ペースが上がる前に後方にいたグリッターウイングが前へと進出。四位Jである。

その動きと同時進行の形で、ワンダーアキュートも前へと出て行く。ミラクルレジェンドが同じ位置にいたのが少し間隔が開く。馬群はかなり凝縮しだす。ニホンピロアワーズが少し前にと動いて行き、逃げるアイファーソングに並びかける勢いを見せる。
4コーナーのカーヴを廻る時には3頭が並ぶ形。その一番外へニホンピロアワーズが持ったままの手応え。真後ろにいるワンダーアキュートは、少し遅れる勢いとなってしまう。ミラクルレジェンドは、ウィリアムズJの手が動くぐらいに追いだしている。ペース・アップについて行けないかの手応えに見える。

前3頭が並ぶ真後ろにソリタリーキングがじっと構えて待っていた。4コーナーを廻って残り1ハロン、ニホンピロアワーズが前へと出てゴールを目指す。その真後ろで脚を伸ばしてきたソリタリーキング。ニホンピロアワーズの内目である。そのまま内を狙うのかと見ていたが、ニホンピロアワーズが抜け出して最後の最後に内へと入った瞬間に、その外へ出して追いだす。
浜中Jの左ステッキが飛ぶ。やや回す様なステッキの入れ方と、ヒザを使った独特の追い方だ。そして抜き去った。ここしかないと言ったタイミングでのアクションだった。
その内をサイレントメロディが忍び寄っていたが3着まで。外ではミラクルレジェンドも伸びて来ていたが、さらに外のデスペラードにゴール前で差されて5着。ワンダーアキュートは馬群の真ん中で10着の入線。連覇はならなかった。

ニホンピロアワーズの前回は斤量面も応えたのか直線で伸びを欠いたが、今回は4コーナーからの動きが違い、勝ちパターンだった。それを上廻る勢いとなったソリタリーキング。内目で脚を貯めていたのが利いた。
偉大な兄たち、ヴァーミリアンにサカラート。サカラートに続いての兄弟制覇となった。
そして石坂厩舎はこのひとつ前のレース、クリスマスキャロルで勝ったのを皮切りに、土曜は東海SのGⅡ・重賞勝ち。そして日曜は淀でレッドクラウディアが昇竜Sを勝ち、その勢いのままオークスも制覇、2冠馬となる。まさに昇る勢いの1週間であった・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。