英・ダービーがいよいよ今週末

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6月最初の土曜日、今年は2日に英国のダービーが行なわれる。1780年にダービー卿とバンベリー卿の間で、どちらかの名前を冠にするかコイントスで決めたとの逸話が残っている同レースは、数を数えて今年233回。エプソム競馬場で行われる。

現在のエントリーは12頭、内5頭を愛バリードイル調教馬が占めている。中でもエース格はモンジュー産駒のキャメロット。先の2000ギニーを勝ち、2歳時のレーシングポストトロフィーと併せG1・2勝、3戦3勝の成績は群を抜いている。同じ服色のガリレオ産駒になるアストロロジーは、今季初戦となったチェスター開催のG3ディーSを逃げ切って4戦2勝の成績で臨む。

同じバリードイル馬でガリレオ産駒になるインペリアルモナークはサンダウン開催のG3クラシックトライアルを勝って2戦2勝。同じ服色のガリレオ産駒ファザーオブサイエンスは3歳デビューで、2戦目にメイドンを勝ち上がっている。そしてもう1頭のディラントーマス産駒タワーロックは、レパーズタウン競馬場のG3ダービートライアルSを先行して2着、5戦1勝、2着1回、3着2回の成績で臨んでいる。

2段ロケット、3段ロケットも考えられるバリードイルの戦法、これだけ持ち駒が豊富ならキャメロットに断然有利な条件が整ったと言える。このバリードイルの厚い壁に立ち向かう1番手となると、アンドリュー・ボールディング厩舎のマンデューロ産駒ボンファイアーを置いて他にいない。クリテリウムアンテルナシオナルの3着馬で、今季初戦となったヨーク開催のG2ダンテSを快勝して来た。同じ左廻りコースを試走、バリードイルのペースメーカーを自分の味方に付ければ逆転も可能である。

リングフィールド競馬場のポリトラックで行われたG3ダービートライアルSを勝って来たアルデバラン産駒のメインシークエンスは、4戦4勝と底を見せていない。クラシックトライアルでインペリアルモナークの1馬身4分の3差2着に敗れたダイナフォーマー産駒のソートワージーは、ニューマーケット競馬場の準重賞フェアウェイSを勝って臨んで来た。そのフェアウェイS3着からはケープクロス産駒のラグドクロスも登録している。

ドバウィ産駒のミックダームは、春先のメイダン競馬場で4戦して1勝、戻って2戦目にチェスター開催のG3チェスターヴァーズを勝った。メンバー中最多キャリアで、9戦3勝、2着2回、3着1回である。そのチェスターヴァーズで5頭立てのしんがりとなったガリレオ産駒のミニマイズリスク、ボンファイアーのアンドリュー・ボールディング厩舎所属で、ボンファイアーにはジミー・フォーチュン騎手、ミニマイズリスクにはジェイミー・スペンサー騎手を配した。

そしてもう1頭がサーパーシー産駒になるカヴァレロ。リングフィールド競馬場のポリトラックで行われたG3ダービートライアルS3着馬で女性ジョッキーのヘイリー・ターナー騎手が乗ることが決まっている。

5頭を送り込んだバリードイルのエイダン・オブライエン調教師が勝てば、2001年のガリレオ、2002年のハイシャパラルに続く10年振り3度目の優勝となる。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。