-鳴尾記念S-平林雅芳の目

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土曜阪神11R
鳴尾記念(GⅢ)
芝2000m
勝ちタイム2.00.1
トゥザグローリー (牡5、父キングカメハメハ・栗東、池江厩舎)

※※トゥザグローリーが好位から早めに抜け出し快勝!!

まるでGⅠかと思えるメンバー構成。中山記念惨敗で海外遠征が白紙となって放牧、立て直しての今回となったトゥザグローリーがスタートからすっと好位3番手につける積極策で進め、追いこんできたショウナンマイティを半馬身退ける勝利で復帰緒戦を飾った。最後の3ハロンが11.2~10.6~11.6の高速決着。それを見越しての早め策。福永Jのけれん味のない騎乗が光る一戦でもあった・・。

パドックでジックリと観ていたが、アーネストリーに正直ガッカリさを覚えた。もう少し活気があるものと思っていたが、今回は何かドロっとしている感じだ。そしてナカヤマナイトの若さにも驚く。アチコチを経験している馬だろうに、若さが目立つ周回だ。トーセンラーは発汗が目立つが、むし熱い日でもあったし決して悪い印象ではなかった。ショウナンマイティは変わらず悪くなかった。トゥザグローリーは中山記念の時は腹目もボテっと見えたものだったが、流石に今回はそんな印象ではない。当時よりは活気さを感じた。
スタンド前からのスタートだが、この気配ならトーセンラーの逃げもあるなと見ていたが、すっと前に出ては行ったがイケトップガンが行く構えで出て行った。ダンツホウテイはやや緩いスタートとなり、本来の先行策を取れず。外からトゥザグローリーも早めの3番手。これも出の良かったスマートギアと前後する位置をキープして最初のカーヴを廻る。ショウナンマイティは後ろから2番目ぐらいの位置。

2コーナーを廻って向こう正面に入って行く。イケトップガンの逃げだが、遅くなる逃げではなく、淡々と進める。向こう正面に入ったすぐあたりで、ナカヤマナイトが馬群の中を嫌うのか頭を上げていた。これが若さなのか。トーセンラー、トゥザグローリーが絶好の位置をキープして3コーナーを廻る。このあたりで後ろから4頭目に順位を上げたショウナンマイティが、さらに前に出ようとする。少し前にいたナカヤマナイトがすっと反応して行くのに、ショウナンマイティの方はやや追いながらである。アーネストリーも外目に出して上がって行く準備をしている。
ショウナンマイティに左ステッキがかなり入れられる。ペースアップした4コーナー手前である。そして大外を上がって行くが、コーナーリングで少し外に膨れ気味に出た様に見えた。僅か1頭分だが馬群から離れた様子だ。

4コーナーのカーヴの内目を小さく廻ったトゥザグローリーは、残り300メートルあたりですっと抜け出す構えである。福永Jの左ステッキが2発ぐらい入れられる。先頭となってゴールを目指すトゥザグローリー。馬場の真ん中をナカヤマナイト、内目をトーセンラーが追いかける。ショウナンマイティも大外をなかなかの脚で上がって行き出す。アーネストリーはそんなに伸びてはいない。チラっとオーロラビジョンを観た福永J。もう1、2発ステッキを入れてゴールを目指す。ショウナンマイティもかなりの脚をゴール前で使って追いこんできたが、今回は届く脚色ではなかった。

ある意味、先週の目黒記念よりも豪華な顔ぶれかと思う。GⅡ以上のメンバーだと思う。トゥザグローリーの復活勝利で始まった阪神開幕日。正味の競馬は上がり800メートルであったが、そこに至るまでの位置取りが勝負の全てであった。もちろんショウナンマイティはこの競馬がベターな馬。この流れでは辛いものがある。でも最低限の賞金加算はした。そしてアーネストリー、やっぱりまだなのか、もう少し軽さが欲しい馬体であった。宝塚記念まで後3週間。そこらの調整も見つめていきたいものだ・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)


競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。