-宝塚記念-平林雅芳の目

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日曜阪神11R
宝塚記念(GⅠ)
芝2200m
勝ちタイム 2.10.9

オルフェーヴル (牡4、ステイゴールド・栗東、池江厩舎)

※※ファンが良く知っている、オルフェーヴルの強さを!!

ファン投票1位。昨年の年度代表馬オルフェーヴルが大勢駆けつけたファンの前で強い姿を見せてくれた。朝から場内は人、人で溢れかえる。そしてサンデーレーシングの勝負服シャツを身につける若者が何と多いのか。その熱狂的なファンが見守る中で4コーナー手前から内めに進路を取り、バラけた馬の中とは言え真っ直ぐに伸びて快勝。着差以上の強いオルフェーヴルに戻っていた。やっぱり強いものは強いの図式、だから大勢のファンがついてくれるのだろう・・。

スタートから振り返ってみる。内目でショウナンマイティ。だいたいいつもユッタリと出る馬。隣りのウインバリアシオンがいい方の出だっただけに、余計に遅く見えていた。エイシンフラッシュは五分に出ていたが、隣りのルーラーシップはややヨッコイショの感じで出てしまい瞬間に1馬身後ろとなっていた。オルフェーヴルは悪くないスタートでその外2頭、フェデラリストモンテクリスエスが遅かった。真ん中のビートブラックが一番早く前に出た。外でホエールキャプチャも早い。大外ネコパンチは押して押して行くがなかなか先頭に立てずに、ステッキが1発入ってビートブラックの前へと出るまでに、だいぶ時間を経過した。最内からマウントシャスタ、そしてスマイルジャックがこの位置にと思う処にいた。ビートブラック、そしてネコパンチの前4頭からネコパンチが先頭に躍り出て、最初のカーヴへ向かって行く。

スマイルジャックが内のマウントシャスタを確認して前に出て、2番手でカーヴに入って行った。ビートブラックが3番手。内でマウントシャスタ。外にアーネストリーと続き、その後にルーラーシップが内で外にエイシンフラッシュ。ここらでやや頭を振っている。やや気負っているエイシンフラッシュだ。その真後ろぐらいにオルフェーヴルが馬群のど真ん中。内ラチ沿いにウインバリアシオン。ショウナンマイティはブービーぐらいだ。

2コーナーを過ぎると、やっとネコパンチの逃げが後ろを離しだす。2番手スマイルジャックも前と同じく後ろとの差を開ける。3番手にビートブラックだが、後続とはすぐそこの位置である。1000メートルを58.4とまずまずのペースで流れる。
3コーナーを過ぎてネコパンチはドンドン行く。スマイルジャックと後続との差がなくなる。ビートブラック3番手。すぐ内にマウントシャスタがラチ沿い。アーネストリーと続きルーラーシップが続く。その横にウインバリアシオンがラチ沿い。その後ろにエイシンフラッシュとトゥザグローリーが並ぶ。そしてオルフェーヴルがフェデラリストとその後ろに位置していた。ショウナンマイティは最後方。

残り600を過ぎるかの時に、ネコパンチは一気に脱落。代って先頭にはビートブラックをアオる勢いでアーネストリーだ。外に出したルーラーシップが顔を覗かせてきた。ここでウインバリアシオンが外へ出して最後のカーヴに入ってきた。エイシンフラッシュの後ろのオルフェーヴルは外へ行く隙間もなく、そして自然と内目に進路を取って直線に入ってきた。
コーナーリングを利してマウントシャスタがスルスルと出てきたが、外へ進路を取ったルーラーシップの伸びもいい。

開いた内めをオルフェーヴルが体を入れてきた。残り300のオレンジ棒で先頭のマウントシャスタを完全に射程圏に入れたオルフェーヴル。外のルーラーシップの伸びよりもオルフェーヴルの脚色が断然いい。その後を追う様にショウナンマイティがついてくる。完全に先頭に立ちゴールを目指すオルフェーヴル。もう池添Jは右ステッキも入れずに噛みしめる様にゴールを迎えていた。
2馬身差でルーラシップ。そしてショウナンマイティが3着。内でマウントシャスタが粘っていると思えたが、ウインバリアシオンが最後にハナ差交わして5着。そこから大きく離れてエイシンフラッシュが6着だった・・。

火曜の朝一番に池江師にお会いした。《外に出て来ていたら危なかったかも知れませんね》の愚問に《いや~、囲まれていましたから外へ出せなかった様です。しかしあの悪い内をついて伸びてきているんだから良く走ってくれました・・》であった。
ルーラーシップが五分の出だったら・・とかタラレバばかりで考えてしまう単細胞の当方だが、全てが競馬であるのだからそれもあたらない。馬場が完全に乾ききってなくて、この前に行われた芝の特別戦では外めに進路を取ってくる馬ばかり。

そんな中で馬場の内目を敢然と、最後は進路を選択してきたのが池添J。あそこしかないと思っての行動だろう。そしてそこを真っ直ぐ伸びてきていたオルフェーヴル。この2戦のモヤモヤがあろうとも、大勢のオルフェーヴル・ファンはこの馬の強さを信じてこその不動の1番人気。
近くにいて、実は一番遠いのかも知れない我々や報道関係者達。もっと純粋に強いものは強いと信じきる気持ちがなければいけない・・・と痛感させられる宝塚記念でした。イロイロな事で忘れられない宝塚記念となるだろうと思います・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)

競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。