ゴールドシップ、力が違い過ぎる! 菊花賞完勝!!

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日曜京都11R
菊花賞(G1)
芝3000m
勝ちタイム 3.02.9

ゴールドシップ(牡3、スティゴールド・栗東・須貝厩舎)

ゴールドシップ、力が違い過ぎる! 菊花賞完勝!!

ライバル達が1頭、また1頭といなくなっていく。ゴールドシップと一緒にダービーで戦った馬。先んじられた馬が出ていない。当然に圧倒的1番人気に支持された。
前半は最後方に近い位置だったが、向こう正面に入って進出しだして3コーナー過ぎにさらに順位を上げ、4コーナーはもう先頭グループに並びかける。そして直線では後ろから来る馬を待つぐらいの余裕。
憎いほどに強すぎるゴールドシップ。鞍上の内田Jのステッキも2発入れられただけ。いかに無事に出られるのが大事かが良く判る今年の菊花賞であった。そして須貝師も記念すべき100勝を見事、菊の大輪で飾ったものであった・・・。

人、人で埋め尽くす京都競馬場。まぶしい程の明るい陽射しの中でのゲートイン。3コーナーの坂の手前からのスタート。
ゲートはやっぱりと言うか、《あまり行く気がないな~》と思えるほどに白い馬体が一番後ろである。最初の坂を下って行く。ダノンジェラートが一番最後だが、その前にいるゴールドシップ。予想どおりにビービージャパンが先手を取って行く。スタンド前ではけっこう縦長の馬群である。2番手にトリップコスモオオゾラフジマサエンペラーが続く。けっこう流れている今年の菊花賞である。2コーナーを廻って向こう正面に入るあたりでは、ゴールドシップが内目から少しだけ外へと進路を替えた様だ。ロードアクレイムスカイディグニティが前後して追走する。中程を過ぎたあたりでゴールドシップが前進を開始する。

3コーナーの坂に入って行くあたりでは、もう6番手ぐらいまで上がる。《フム、フムなる程ね~》と内田Jの乗り方が手に取る様に判ってくる。それについて行く馬は見当たらない。そして3コーナーの坂を下って行く。4コーナーまでには後方組もだいぶ順位を上げて来ている。しかしゴールドシップはもう4番目まで上げている。カーヴに入る時には先頭グループの中にいる。これである。菊花賞は4コーナー先頭ぐらいが一番多い勝ち方の様な気がする。後ろをスカイディグニティが、ラニカイツヨシがついている。そして直線に入って来たが、内のマウントシャスタはもう手応えがなくなる。後ろを見る内田J。手応えがないからでない。後で判ったのが来る馬に合すつもりだった様だ。何と大胆、なんと強い馬である。

一旦はスカイディグニティが脚色で勝りそうな瞬間もあった。そしてベールドインパクトが差しそうな勢いの時もあった。しかしゴールが近づくにつれて勢いが違ってくる。残り100ぐらいで内田Jがステッキを2発入れたあたりで手前を替えたのか外へ流れたが、後ろに誰も迫っていなかったのでまったく危ないシーンではなかった。2馬身近い差ではあったが、後ろからでは永遠に差されそうもない勢いさえもあった。スカイディグニティが2着。ゴール寸前でベールドインパクトを内からユウキソルジャーが頭差して3番手でゴールしたのが判った。

正直この相手では物足りなかったゴールドシップの貫禄勝ちでもあった。ダービーで先着を許した馬との対戦を望んでいたに違いないゴールドシップ。そんなプライドを感じる強さでもあった。そして《今年は夏の昇り馬がいないな~》と思っていたが、スカイディグニティとユウキソルジャーがその馬達だった様だ。ダービー頃にはまだ未勝利の身の上だったスカイディグニティ。ユウキソルジャーも神戸新聞杯が大きな力試しになっていた。
ゴールドシップは後ろから一度も差された事がないのではないだろうか。常に前の馬を捕えるか捕え切れてないかであって、自分より後ろから先んじられた事がない様な気がする。当然にJCに向かっていくのだろうと思っていた。

火曜の朝。坂路監視小屋では祝福の言葉が行き交う。橋口師には重賞勝ち星はともかくも、ジャイアンツのセリーグ優勝と日本シリーズ進出である。須貝師には当然に手荒い祝福(言葉である)であった。ひと段落した後でこの後のスケジュールに及ぶ。すると《年内あと一戦でしょう。ファン投票での出走の有馬記念になると思います》であった。なるほど、疲れを十分にとって今年最後の一戦を選択する様だ。年度代表馬の戦いもあるのを忘れていた。もう戦いは次のステージへと入ってきているのだ。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。