絶好調西園厩舎、ハクサンムーンが逃げ切った!…平林雅芳の目

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土曜京都11R
京阪杯(G3)
芝1200m
勝ちタイム 1.08.5

ハクサンムーン牡3、アドマイヤムーン・栗東・西園厩舎)

絶好調西園厩舎、ハクサンムーンが逃げ切った!!

最内枠のハクサンムーンが二の脚を利かせて先手。テイエムオオタカは2番手からの競馬となる。ハクサンムーンが案外楽な逃げの流れとなっていった。前半3F34.3で上がり3Fも34.2のこれ以上ない理想的な流れをとなり、最後まで渋太く粘って重賞制覇を果たした。ここらも目下、絶好調西園厩舎の勢いである。行った行ったの流れながら、最後に出てきたのがアドマイヤセプター。この流れでこの切れ味勝負の決着でも、最後まで追撃する姿勢。ゴール少し前で内へもたれヒヤっとするシーンがありながらのクビ負け。惜しい内容でもあった。この馬の勢いも目を見張るものであった・・・。

前のレースで佐藤哲Jが落馬、マコトナワラタナ和田Jに乗り替わった。ゲート内でスギノエンデバーが落ち着かない。ゲート・オープンのタイミングの時に少し遅れた。オリービンもあまり速くない。いつもは速いパドトロワも後ろ目の方からのスタート。ハクサンムーンもスタートの瞬間は半分より後ろめ。一番前に出ていたのはジュエルオブナイルだったか。その外からテイエムオオタカが押して押して前へと出て行く。と思った瞬間に最内のハクサンムーンがダッシュがついて、あっと言う間に先頭に立つ。

1ハロン行く間に1馬身の差をつけて先頭となる。パドトロワも順位を上げて5番手シュプリームギフトの後ろまできて、2ハロンを通過していく。ハクサンムーンは単騎逃げとなって軽快に飛ばす。前半3ハロンが34.3と、このクラスとしては考えられない入りだ。緩やかな坂を下って行くがアドマイヤセプターは半分より後ろ。サドンストームはブービーぐらいで馬の中だ。
4コーナーが近づいてくる。ハクサンムーン先頭だが、テイエムオオタカが2番手、その外にエーシンヴァーゴウ、さらにパドトロワと並び加減でカーヴに入ってくる。

やや首を内に向けながら、ハクサンムーン先頭で直線に入ってきた。コーナーワークで再びリードを1馬身とる。テイエムオオタカが押して押している。その後ろに赤い帽子2頭だが、ジュエルオブナイルより外のシュプリームギフトがジッと待ちかげんの手応えだ。黄色い帽子のエーシンヴーゴウはまだしも、その外にいたパドトロワがもう下がり気味の手応えだ。

300の赤いハロン棒を過ぎてもハクサンムーンはまだ追ってない。後ろのテイエムオオタカが目一杯押しているのに、差が詰まらない。後ろの方ではサドンストームが外へ出してくるが、あまり勢いがない。
残り200を過ぎたあたりで、ハクサンムーンにも左ムチが入りだす。それまであった後続との優位な差が少し迫り出してくる。
シュプリームギフトの外を、アドマイヤセプターがいい脚で追撃を開始する。勢いから一番前まで届きそうなぐらいだ。

テイエムオオタカとシュプリームギフトの傍まで来たあたりで内へもたれだしルメールJが、一瞬だけ追う動作を止めざるを得なくなる。その僅かな時間に前へと進んだハクサンムーンが、頭差しのいで勝利を掴んだ。恐るべきアドマイヤセプターの脚である。そして酒井Jは涙と共に検量室前の1着の枠内に入っていった・・・。ゴール過ぎだったとはいえ、ハナズゴールの脚色も光っていた。完全なる前残りの競馬でこれだけの脚を使うのだから、やはり凄い脚を持っている馬である。来年この馬も大きく活躍しそうな脚色であった・・。

それにしても西園厩舎。3週連続での重賞制覇。勢いがすさまじいものであった・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。