「もう馬に乗ることはない」安藤勝己騎手・引退会見の様子(後半)

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安藤勝己独占インタビュー

(個別質問)-:笠松時代の一番思い出に残る馬は、1頭上げるとしたら?

安:フェートノーザンですね。

-:どのレースが?

安:いや、どのレースっていうか、ちょうど地方の交流レースで大きいのができたときで、アノ馬について北海道に行ったり、大井に行ったりっていうので、何ヶ月も一緒について旅をしてたから、接している部分も長かった馬ですから、すごく思い出に残ってますね。

-:イナリワンに勝ったレースもありましたね。

安:はい。そうですね。あれは笠松ですけどね。

-:やっぱり笠松時代が27年くらいで長いので、まあひと言で言うと、笠松時代ってどんな思い出ですか?

安:さっきも言ったように、ガッツもすごく磨かれたし、あそこで色んな馬に乗ったことで技術も磨かれたと思うので。ホントにあそこのおかげで今の自分があると思ってますし、他の関係者からもすごく自分は愛されたと思ってるので、そういう点ではホントに基礎を作ってくれたのは笠松だと思ってますけど。



(個別質問)-:さきほども少しお話が出たかと思うのですが、オグリキャップ号に関して何か思い出があれば。

安:思い出っていうか、デビューして4戦くらいはボク乗ってなかったんですけど、そのときは調教とか見ていて、こんなこと言っていいかどうか分からないですけど(笑)、ホント、チンケな馬で、色もそうなんですけど反対にみすぼらしい感じの馬だったんですけどねえ。日に日に逞しくなっていくっていうか、すごい成長力のある馬だなあっていうのは感じてました。中央に行ってからも一ファンとして応援してたんですけど、もうホントに素晴らしい馬でしたし、ファンの多い馬だったからね。そういう点にはすごい感心しますよね。

-:今後の笠松時代に対する想いなんかがありましたら。

安:笠松だけでもなく、中央競馬もすごく厳しいので、とにかく今は何とか生き残っていっているって状態なんですけどね。うーん……、どうやっていっていいのかわからないですけど、正直このままでも良くないと思うんですけど、キッカケがあれば伸びるのかも分からないし、廃止になってほしくもないし、このままでも良くないと思うし、難しい感じですね。

-:競馬はブラッドスポーツだと思うんですが、人間でもそうなのかなと思うんですが、甥っ子で大井の安藤洋一騎手や、義理の甥になる太宰騎手に対してメッセージがあればお願いします。

安:身内って感じで応援はしてますけど、やっぱりまあ、個々の努力ですから、努力して頑張って上を目指してほしいと思っています。



(個別質問)-:ダイワスカーレットで4つG1を勝たれているんですが、一番印象深いレースはありますでしょうか?

安:やっぱり有馬記念ですね。

-:安藤さんの中では、どういったレースだったんでしょうか?

安:その前の天皇賞が最悪のレースでしたから。もう、そういう意味でホントに汚名返上したいと思ってたんで、とにかく馬の力を信じて行っちゃえって気持ちでいたんで、そういう点では「アノ馬の力は大したもんだな」と、今でも思いますけどね。

-:秋の天皇賞を「最悪なレース」と仰っていましたが、安藤さんにとってはどのようなレースだったんですか?

安:いやもう、馬と自分の呼吸っていうかね、全然折り合いつかずにガンガン行っちゃって、息が入んないんで、4コーナーを回るときは正直「コレは馬群に沈むな」って感覚だったんですけど。あそこから頑張って、ましてやハナ差の勝負するような、そんな感じのレースの流れじゃなかったですからね。ホントすごく強い馬です。

(個別質問)-:安藤さんに続いて、小牧さんとか岩田さんとか、地方出身の騎手の方が中央でも活躍されてるかと思うんですけど、そういった地方出身の騎手に対する想いがあれば教えてください。

安:もう地方出身だからっていうのは正直、全然思わないですね。コッチきたらやっぱりJRAのジョッキーですから。みんなライバルですし。きた人もそう思っていると思うので、やっぱり俺でも誰でも負かしてやろうという気でみんなきてるので。だから特別、地方の騎手にどうのこうのという気持ちはないです。



(個別質問)-:ファンの方に送ることがあれば、最後にひと言頂けますでしょうか?

安:コッチにきてからのファンの声援とか、応援はすごく感じてたので、ホントに感謝してます。できればファンの期待に応えられる騎乗ができるならもっと長く乗りたいんですけど、さっき言ったように、そういう自信がなくなったので、ファンのためにも、もう引退した方がいいという気持ちで今日に至っているので、そういう点は分かってほしいと思いますけどね。

自身が手綱をとったブエナビスタのポスターを背に


(個別質問)-:安藤さん、この後は馬に乗る予定はないですか?

安:ないですね(笑)。はい。

-:乗ってみたいと思うときはありそうですか?

安:いや、今のところちょうど2ヶ月乗ってないですけどあんまり思わないから。まあ、それも案外キッカケにもなってるのかなあと。未練があったら乗りたいと思うんだろうけど、そういうふうに思わないってことは。丸2ヶ月くらい乗ってないですけどね。

-:最初のメッセージの中で「明日で」ということでしたけど、区切りはJRAだと2月末が一般的なんですが。

安:ホントはそれでと思ったんですけど。こうやって分かった以上、乗る気持ちはないですから。もうこれで会見して、明日で免許を返上して、この次に引退式でもやって、という気持ちになりましたけど。


(個別質問)-:もし、引退式で着られるんであれば、どの勝負服を着たいとお考えですか?

安:たぶん着る事はないと思います(笑)。

-:ではスーツ姿の引退式という感じですか?

安:はい、そのつもりです。


安藤勝己騎手引退会見(前半)はコチラ→

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