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【フェブラリーS】久々G1勝ちVの浜中騎手「今までの自分だったら…」
2013/2/18(月)
「前回、跨らせてもらった時よりも、体と気持ちが噛み合っている感じで、馬は全然違っていました。今にも走りそうな状態で、パドックで厩務員さんにも『全然違いますね』と話していたほどです。年齢を重ねたことで本格化したんでしょうね」と浜中騎手が評したグレープブランデー。3歳時には世代のダートNo.1ホースを決めるビッグレースであるジャパンダートダービーを早々に制し、将来が嘱望されていたが、競走馬にとっては致命傷にもなりかねない蹄骨の骨折で長期戦線離脱。復帰を果たすも、昨年は6戦して勝ち星はオープン特別の1勝のみと、歯痒い結果が続いていた。
しかし、陣営の努力が実り、立て直しに成功。徐々にレース内容も良化していくと、今年初戦の東海Sを快勝。久々の重賞勝ちで弾みをつけて挑んだ今回は、下見所からどっしりした雰囲気で好気配を披露。レースでは1枠2番からのスタートで好発を決めると、先手を主張する他馬を尻目に馬まかせで好位を追走した。
「もうちょっと後ろのポジションになるかと想定していましたが、ゲートが開くと自分からポンと出ていって、思っていたよりも前の位置でレースができました。枠的にもいい枠。上手くいきました」とジョッキーも"想定外"のグレープの走りに納得のレース運び。直線までは距離損のない、インでジックリと脚を温存した。
「馬込みにもひるむことなかったので、徐々に外に持ち出しました。スペースさえあれば、と思っていたのですが、そこでハミをかんでくれたので、僕は頑張ってくれと追うだけでした」
パートナーが直線に向くと、進路が塞がっている内から外のスペースへじわじわとスライド。鞍上のアクションに呼応するように、そこからエンジンがかかると、上り3F35秒9の脚で、先に抜け出したエスポワールシチーを外から交わし、3/4馬身差をつける快勝劇。ゴール直後にジョッキーも喜びの咆哮をみせた。
一見、完勝に見えるレース内容だが、レースには鞍上の思いも秘められていた。
昨年、131勝を挙げてリーディングを獲得した浜中騎手。しかし、G1勝ちはこれが2009年の菊花賞以来と久々。昨年の暮れには、朝日杯FSや阪神JFで有力馬に跨り、上位人気に支持されるも、いずれも勝ち星を手にすることができなかったのだ。
「去年はリーディング争いをしていたので、朝日杯や阪神JFで結果を残して、弾みをつけたいと思い、いらない力が入ってしまいました。今までの自分だったら、今日も(直線で外を出すシーンなどで)慌てて、周りに迷惑をかけてしまっていたかもしれません。その点、去年の経験もあって、冷静に乗ることができましたよ」
そう過去の苦い経験を振り返る若きリーディングジョッキーが、失敗を糧に見せた確かな成長。これが今日のフェブラリーSだったのだ。昨秋のG1での経験と「リーディングを獲っても、G1を勝てなかったらカッコ悪い」という負けん気の強い浜中騎手らしい反骨心が、今年最初のG1のチャンスで早速、花が開いたのだ。
「もっと濃い内容のレースをしていきたいし、またクラシックも目指したい」と意気込む若武者。挫折を乗り越えてのG1勝ちは人馬ともに同じ。新たな勲章を手に2013年の競馬界を牽引していく。
(安田隆行調教師)
「最高の気分。最高にうれしいです。蹄骨を骨折するアクシデントがあり、長期のブランクがありましたが、それをプラスに転じ、ぐっとたくましくなったグレープブランデーに感謝するしかありません。
休養明けの直後は復調に手間取りましたが、昨夏に小倉で久々に強い勝ち方。シリウスS(3着)、みやこS(6着)当時はまだ体調が本物でなく、毛艶もひと息でしたが、JCダートで5着と健闘してくれ、年明けは走ると確信しましたよ。東海Sをいいかたちで勝て、好状態を維持できました。思いどおりに調教でき、動きもすばらしいものでした。万全の態勢で臨めましたね。関東へ輸送すると10キロは減る馬ですので、526キロという体重は、まさに予想していた数字。ただ距離の1600mに関しては、スペシャリストも揃っているなか、心配もありましたよ。
ある程度は前で競馬ができたのは収穫です。好スタートから4番手くらいに付けたのを見て、これは早いと感じましたが、浜中騎手はうまく中団に下げてくれました。直線で外へ持ち出せたとき、いけると思いましたね。ゴール前は鳥肌が立ちました。
この馬にはジャパンダートダービー以来、たくさんうれしいプレゼントをもらっています。すばらしい馬です。トランセンドは引退しましたが、いい後継ができました。今後もダート界を引っ張ってほしいと願っています。
ドバイのゴドルフィンマイルにも登録を済ませていますが、次走に関しては白紙です。繊細な面もあるタイプですし、海外の輸送となれば慎重にならざるを得ませんので。来週(水)、いったんグリーンウッド・トレーニングへ放牧に出し、まずはレースを疲れを癒したいと思います」
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