福山競馬が63年の歴史にピリオド、1万人のファンが詰めかける

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今年度一杯で廃止となる福山競馬の最終開催が3月24日(日)に行われた。当日は朝から好天に恵まれ、最後の1日を堪能しようと開門前から多くのファンが福山競馬場に詰めかけた。開門時間は予定より10分早められ9時35分。シャッターが上がると、大勢の観客が場内になだれ込んだ。福山特報をはじめ、3種類の専門紙を記念に買い求める人たち。福山競馬場の味として定着してきた焼きそばや尾道ラーメンは、最後の思い出にと長い行列ができた。1レースから勝ち馬はウイニングランをして場内を盛り上げ、昼前には入場者は5000人を超えた。


福山競馬の最終レースとなったのは重賞のファイナルグランプリ。三村展久騎手のビーボタンダッシュがゴール前で抜け出して、福山競馬場で最後の勝ち馬となった。大きく離されたクラマテングが最後にゴールする時、場内は拍手に包まれていた。


今後、大井競馬への移籍が決まっている若きリーディングジョッキー・三村展久騎手はセレモニーを終えて、
「最後の重賞にビーボタンダッシュと自分の名前を残すことができて良かったです。レースに集中していたので、最終レースが終わるまでは普段通りの一日でした。セレモニーではみなさんに、これからも馬のためにも応援してくださいと伝えたかったのですが、急にこみあげてきましたね。自分でもまさか泣くとは思ってもいなかったのでびっくりしました。厩舎にはまだ行き先の無い馬がたくさんいて、そういう馬のことを考えたら涙が出ました。これから大井所属として新たな道を歩みますが、廃止になった競馬場の気持ちは忘れずに頑張りたいです」と決意を新たにしていた。

福山競馬最後のレースを制した三村展久騎手


最終レース終了後には、63年間の歴史に幕を下ろすファイナルセレモニーが行われ、羽田市長や騎手全員の別れの挨拶、不要になった馬具の投げ入れなどが行われた。その後、馬場も解放され、多くのファンがいつまでも名残惜しんでいた。最終日の最終入場人員は10273人、売上は1億5153万1600円だった。