【香港ヴァース】一発狙うアスカクリチャン「こういう馬場が合う」

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昨夏の七夕賞勝ちなど、ここまでは地味な印象の強かったアスカクリチャン(牡6、栗東・須貝厩舎)だが、今夏は連戦にへこたれず、安定した走りを続けると、アルゼンチン共和国杯では鮮やかな差し切り勝ち。常識外れといっても大げさではないキャリアを覆す走りで、周囲を驚かせてみせた。そして、陣営が選んだ次戦はまさかの香港遠征。しかも、香港ヴァース(G1)に招待を受けて、諸手を上げての参戦で、こうなれば、無形の勢いに期待してしまうもの。レースを前日に控え、当地で調整を続ける阿南勝厩務員にアスカクリチャンの近況を語ってもらった。
(取材・写真=高橋章夫)

-:アスカクリチャンについてお話をうかがいます。水曜日に行われた追い切りについて、動きはどうでしたか?

阿南勝厩務員:オールウェザーの追い切りで、動きは良かったですよ。

-:香港のオールウェザーは硬そうなイメージがあります。

阿:直線を向いたらスムーズで、走りやすそうだったね。昨日も終い重点で乗ったんだけど、馬場の感じは良かったから。


(上)シャティン競馬場のオールウェザーコース (下)シャティン競馬場のスタンド


-:ザフューグ(牝4、英・J.ゴスデン厩舎)という、オルフェーヴルよりレーティング的には上位の強力な牝馬とも戦うわけで、相手関係としては強力なものがあります。アスカクリチャン自身のコンディションは、日本に居るときと同じくらい良いですか?

阿:馬は落ち着いているし、環境にも適応しているね。前回、東京で使った時と、同じくらい。

-:今朝は歩き運動だけでしたが、気合乗りなどはどうですか?

阿:いい感じですよ。他の馬がいても、暴れたりしないね。落ち着いたいいコンディションを保てています。

-:あと芝コースが日本とは違って、札幌ほどではないけど、京都よりは少し重いような馬場だと思います。そういった力のいる馬場へのアスカクリチャンの適性というのは、改めてどうですか?

阿:クリチャンはむしろこういう馬場の方が合うかもしれない。この馬は速い上がりのレースでも、不良馬場でも走れるからね。この前4着だったアイルランドトロフィーなんかは、59キロを背負って、上がり時計はサトノギャラントと同じだったからね。だから今回の57キロという斤量は、クリチャンにしてみれば、軽い斤量ということになるかもね。

-:馬券を買いたくてヤキモキしている日本のファンも多いかも知れませんね。一発上位進出を狙って、というところで。

阿:一発を勝ちたいね。岩田騎手のあの追いで、最後までビシッと追ってね。

-:最後にテレビ観戦してくれる日本のファンに、メッセージを貰ってもいいですか?阪神ジュベナイルフィリーズと同じ日ですが、同厩舎のレッドリヴェールが走る前にクリチャンが走ることになるので、勝って景気づけをして欲しいですね。

阿:そうですね。最初に勝って、のちに続く日本馬の景気付けをしてほしいとも思います。

-:ありがとうございました。応援していますので、あと1日頑張ってください。


【阿南 勝】Masaru Anan
2009年をもって定年で解散した中尾正厩舎より、須貝尚介厩舎に移籍。S.R.S(須貝厩舎)ではオープンにまで出世したリッカロイヤルなどを担当。現在はその現準オープンの馬のシャドウバンガードと、アスカクリチャンの2頭を手がけているベテラン厩務員。