【香港カップ】気配良好トウケイヘイロー「可能性は十分にある」

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前走の天皇賞こそ、展開にも泣かされ、連勝がストップしてしまったトウケイヘイロー(牡4、栗東・清水久厩舎)だが、今夏に中距離戦線に転じてからの連勝劇は記憶に新しいところ。聞けば、香港の地でもリラックした様子をみせているそうだが、東京よりも逃げを打ちやすいコーナー4つの競馬は、追い風になってもおかしくはない。先日、G1通算100勝の金字塔を打ちたて、勢いに乗る武豊騎手も心強いところ。香港カップ(G1)を目前に控えての気配を、担当する宮下芳征調教助手が答えてくれた。
(取材・写真=高橋章夫)

●環境になじんでいるトウケイヘイロー

-:トウケイヘイローの宮下助手に伺います。お疲れ様です。今週の調教の様子から、お話をお伺いしたいのですが?

宮下芳征調教助手:予定通り豊さん(武豊騎手)に乗ってもらいました。もう馬はできてるので、軽く芝コースで馬場慣らし、足慣らし程度で。落ち着いていたし、豊さんも「いい感じだね」と言ってくれて、問題無いですね。

-:「いい感じだね」というのは、馬がムキにならない程度に、リラックスして走れている、という意味ですか?

宮:リラックスしていて、直線で伸ばすと、スッと良い反応を見せてくれました。

-:今朝もオールウェザーを2周しているところを見させて頂いたんですけど、若干、太目というか、ゆとりがある体なのかな、と見えたんですけども、担当されているプロの目から見ていかがですか?

宮:もともとそう見える体型というのもあるんでしょうけど、落ち着いていて、余計にそう見えるのかもしれないですね。体重的には少し重いかな?というのはあるけど、明日、一日あれば十分ですよ。

-:それで、ギュッと気合が乗ってくればと?

宮:馬がもう勝手に自分で調整するので、何も心配はしてないです。


-:それと、香港の芝コースがトウケイヘイローに合うのかどうか、芝コースの感触を確かめた宮下さんの意見はどう感じましたか?

宮:歩いた感じでは、やっぱり重い感じはしますね。実際、競馬の時計も遅いし、豊さんの言うように、合うんじゃないのかと思います。

-:そんなに重いですか?

宮:そこまでは重くないけど、日本の東京や、メインの競馬場の、軽いスピードタイプの馬に向いてる競馬場のターフとは違う感じですね。

-:だけど洋芝の札幌とか、そういうところほど重くはないと?

宮:ええ。クッションがいいから時計がかかる感じで。


●リズムにあった逃げを

-:あと、戦法なんですけど、ある程度この馬のレースをしようと思ったら、前目、ハナなんですけど、大逃げするのかな?という外野の声も耳にします。それは無いですよね?

宮:馬のペースで逃げるだけです。後ろから来なければ、ある程度、離れた所で馬が落ち着くんで、そのままの流れでいけるといいかな、と。

-:他の馬と離れたら大逃げに見えるかもしれないし、近くにいたら溜め逃げに見えるかもしれない。

宮:馬がリラックスして逃げられれば、それが一番ですね。

-:じゃあテレビの前で見てるファンの注目するところっていうのは、1,2コーナーぐらいまでにスッと落ち着いてリズムよく走れてる、というところを観ておいたらいいですか?

宮:馬が気分よく走れたら、最後もしっかり走れると思うんで。天皇賞の時は厳しいレースになったんでね。

-:思いの外、ジェンティルドンナが来てしまったっていう。

宮:そうですね。ずっと後ろを意識しながら走っていたので、どうしても、最後は垂れてしまったんですけど。

-:そういうレースにはなりませんか?

宮:そう思うんです。コンディション的にも違うと思いますよ。


-:では、日本のファンは馬券を買えなくて残念ですけれども、ぜひ馬券圏内に。

宮:いや……、可能性は十分にあると思いますよ。

-:日本のサマーチャンピオンの力を。

宮:天皇賞じゃなくて、ここで(笑)。

-:日本よりだいぶ暖かいし、馬にとっても過ごしやすい気候なので、トウケイヘイローの頑張りに期待したいですね。最後に、日本で応援しているトウケイヘイローファンに熱いメッセージをお願いします。

宮:海外でG1穫れたら嬉しいですね。

-:では、応援してますので、あと一日頑張ってください。

宮:はい、ありがとうございます。


【宮下 芳征】Yoshiyuki Miyashita
大阪府出身。甲南大学の馬術部に入り、競走馬の世界に興味を持つ。大学2年の春休みに門別の木田トレーニングセンターの社長と知り合い、その縁で8年間勤務し競馬学校に入学。栗東トレセン入り後は安田伊佐夫厩舎に配属。持ち乗り助手としてクローバタテヤマ、メイショウフクヒメ、プロンタテヤマらを担当。思い出の一頭は現在、本田優厩舎に所属するメイショウドンタクで「安田のテキが亡くなって何とか皐月賞を勝ちたかった。そんなに上手くいかずに残念な結果になったけれども、いまだに頑張っている姿を見ると胸が熱くなる」と。安田伊厩舎解散後は清水久詞厩舎に移動し、重賞ウイナーのトウケイヘイローらを手掛けている。