【オークス】ハープスター・松田博師「この馬は特に抜けている」

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5月25日(日)に行われるオークス(G1)に出走予定のハープスターサングレアル(牝3、栗東・松田博厩舎)を管理する松田博資調教師の一問一答は以下の通り。

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桜花賞では圧巻の走りをみせ、1番人気に応え、一冠目を奪取したハープスター。その後は早くも凱旋門賞挑戦を示唆するなど、並々ならぬプランが描かれているが、まずは初距離であるオークスで課題を払拭したいところだろう。ライバル・レッドリヴェールが不在の中、注目度は更に拍車の掛かるところ。厩舎としても通算4勝目が懸かるオークスを前に、松田博資調教師が報道陣に展望を語った。

●「距離はわからんな」

-:ハープスターの祖母にあたる、ベガは先生自ら乗っていらっしゃいましたね。ベガは乗っていてどのようなタイプだったんですか?

松田博資調教師:昔のことだからなあ。それは大人しかったよ。大人しいから乗りやすくてね。調教でも引っかかるわけじゃないし、自由にできたからあれだけ活躍できたんやね。脚が曲がって動かないにしてもね。

-:ベガの馬体を比較すると、ハープスターは馬っぷりがいいですね。

松:体型が全然違うからね。馬がいいとか悪いとかじゃなくて、体型で変わるから。走らない馬でも馬っぷりがいいヤツはいるし、ハープスターみたいな体の馬がみんな走るかといえば、そんなこともない。一概には言えないですね。

-:内面の問題ということですね。

松:要は心拍数の問題でしょう。オレに難しいこと言われたって分からないけどね。

-:そういう意味では、ハープスターの疲労回復力も早いのでしょうか。

松:そういう点に関してはベガが一番良かったかな。何の治療もいらなかったから。速いところを走った後に、重曹を1週間に1回ずつ打つだけでね。その代わり、一度悪くなったら手間暇かかって大変でした。

-:チューリップ賞、桜花賞と勝っていましたし、オークスもかなり手応えはありましたか?

松:自信を持って行ったよ。

-:今回の桜花賞前には、ハープスターについて「ブエナビスタを凌ぐくらいだ」というコメントも残しておられましたが、オークスについてはどうですか?

松:一緒やね。ただ、距離は分からないな。

-:この時期の3歳牝馬は、距離適性うんぬんより、能力差・完成度の高さで、桜花賞と結果がリンクしていますよね。

松:それはあるし、この馬は特に抜けているから。


-:先生からご覧になっていて、ハープスターにとってのベストの馬場はどういう馬場でしょう?

松:まだ分からないですね。どこの馬場が硬いとか考えたこともないんです。

-:今の府中については、見ていていかがですか?

松:ただ、時計が速すぎるっていうのはありますよ。京都にしても、高速馬場だね。

-:府中のほうが、スタミナが要りそうな馬場になっている思いますけども。

松:ただ、みんな余計なことを言うもんでね。「府中の方が走りやすい」って言うけど、どの馬でもそう。直線が長いんだから。ハナに行く馬は困るだけでね。

-:チューリップ賞の時は、直線で内にもたれる場面もありました。

松:馬はまっすぐ走らないから。内に馬がいれば内に行くし、外にいれば外に寄る。何もいなければまっすぐ走れますよ。

-:ハープスター自身はそれほどクセのあるタイプではないということですね。桜花賞に比べて、体型の変化は出てきましたか?

松:順調に来ていますよ。コロコロ変わったら困るからね。馬が1週間、2週間では変わりませんよ。モデルじゃないんだから。

●「サングレアルは輸送が課題やな」

-:桜花賞のお客さんの入りを見ていると、ファンも相当ハープスターに期待しているのがわかりますね。

松:目玉馬が出てくるとみんなそうなる。その時は馬券の売上もアップしているからね。今はなかなかスターホースが出てきませんから。

-:そのスターホースがまさにハープスターです。ファンとしてはサングレアルが出てきて、また楽しみが広がると思うんですが、先生は心苦しい部分もあるんじゃないでしょうか?ファンは一騎打ちが見たいところだと思います。

松:サングレアルは2回続けての東京だし、ローテーション的にも厳しい部分はあります。ひょっとしたら丸っきり走らないかもしれないし、根性があるからいけるかもしれない。2回連続の輸送が課題かな。

-:前回の輸送はうまくいきましたか?馬体重はマイナス4キロでした。

松:馬運車の中では大人しいからね。慶次(山口慶次厩務員)が付いているから。

-:今回はハープスターと2頭で輸送になるんでしょうか?

松:そうだね。隣に馬がいると安心するかもしれないね。

-:サングレアルは、デビュー時から比べると大分しっかりしてきた感じでしょうか。

松:しっかりしてきたんじゃないかな。あのままじゃなかなか走れないだろうからね。

ハープスターと山口厩務員

-:飼い葉は食べているイメージのあるハープスターですが、この子なりにメリハリがついてきたように思います。

松:前はそれこそ、何でもかんでもガッと頭を突っ込んで食べていましたね。

-:体が自分の思い通りに動くようになってきた部分もあるのでしょうか。2歳の牝馬にしては大きすぎるぐらいの体重だったじゃないですか。

松:そうそう。今でも牝馬にしては大きいですからね。

-:持て余し気味でも走るなんて、どれだけの能力があるんでしょう。

松:理想は、ジワッと付いて行って、サッと交わしてくれることなんだけどね。負担の大きさを考えると、故障の原因になる確率はあるので。

-:桜花賞でも、繰り出したのは極限の末脚ですよね。

松:だから、ゴールに入ってくるまで心配になるんです。

-:先生から見て、ハープスターはもう完成されていますか?それとも、未完成の部分を残しているでしょうか?

松:まだまだじゃないかな。あの走り方を見ているとね。あれだけ走る馬なら、普通はもうちょっとついていけるはず。何も考えていないんでしょう。

-:だんだん前向きにはなってきていますが、もう少しその辺の自覚が出てくるといいですね。レースの運び方にまだまだ課題が残りますが、ブエナビスタなんかは使いながら引き出しが増えていくような面がありました。ゲートも出るようになりましたし。

松:最初はアンカツ(安藤勝己元騎手)によるところが大きかったです。

-:アンカツさんも「使っていくうちに、そのうち出るようになる」という考えだったと思います。走る馬は使いながら身につけていくものでしょうか。

松:その通りです。