【振り返れば馬券になる!】距離が長かった!?ついに来日した若き天才が振り返る!

先週からの騎乗となったのが、アイルランド出身の若き名手、O.マーフィー騎手。今年のドバイターフをベンバトルで制すると、ロアリングライオンでG1を4勝し年度代表馬に導く活躍ぶりを見せ、飛躍の一年となった。

短期免許取得後初日となった15日の土曜10R・舞浜特別でサニーダンサーで日本初勝利を挙げ、翌日も3勝。早くも旋風を巻き起こしつつある。中山11R・ディセンバーSでプロディガルサンに騎乗した際は「ディープインパクトの勝負服を着れて光栄です」とコメントするなど、関係者への感謝の言葉が多く、23歳らしからぬ雰囲気をまとっている。

そんな若き名手が仕方ないと言った表情で振り返ったのが、日曜の中山9R・香取特別で8着だったエルデュクラージュ(セ4、栗東・池添学厩舎)。敗因は揉まれたことかと思いきや、「揉まれたことが敗因ではないと思います。距離が長いですね。3コーナーあたりから体が伸びきるような走りになっていました。2200mくらいまでが適距離だと思います」と、2400mを敗因に挙げる。前走の東京2100m・伊勢佐木特別は2着だったものの、道中ペースが緩まる場面もあった。2400mとなるとスタミナが持たないのかもしれない。「直線の急坂も影響していたかもしれませんね」と言うように、中山のダート2400mは2度急坂を上がるタフなコース。重賞で好走経験のあるアドマイヤテンクウ、アドマイヤスピカを兄に持つ素質馬だけに、適条件に戻れば巻き返してくるだろう。

なおこのレースは1周目の直線でパガットケーブが早めに先頭に立つ素振りを見せたこと、加えて勝ち馬のサノサマーが3コーナー前からマクってきたことで、先行馬には非常に厳しい展開であった。14着に大敗したエムオーグリッタ(牡4、美浦・古賀慎厩舎)の勝浦正樹騎手は展開面の不利を敗因に挙げた上で「馬は本当にいいんです」と状態の良さを強調していた。勝浦騎手がここまで褒めることはそうない。次走以降間違いなく大穴と言えるオッズが続くだろうが、買い目に加えておきたい。


先週からは日曜の中山12R・3歳上1000万で、1番人気ながら11着だったコーカス(牡4、栗東・藤原英厩舎)も取り上げたい。スタートが切られても前に進んでいかずに最後方。道中いいところなく11着に終わってしまった。「ゲートを出てから進んでいかず……。もう少し手綱を抱えていきたいタイプなので、広いコースのほうがいいですね。最後は内にササっていました」と騎乗した戸崎騎手が振り返るように、この馬、昨年の夏に札幌で勝って以来1年以上東京、中京、そして新潟外回りと広いコースを使い続けている。直線の長い広いコースでじっくり運びたい馬なのだろう。

加えて今回は体重が前走比+6キロの514キロ。これはデビュー以降最高体重となる。加えてこれが10月以降3走連続の関東遠征。見えない疲れもあったことで、ラスト内にササってしまったのかもしれない。実はこの馬、2走前に4着に敗れた際もこのコーナーで取り上げた。騎乗した内田博幸騎手が「遊ぶ面がある」と言うように、気性面にも課題が残る馬だが、力はこのクラスでも上位の存在だけに、立て直された次走が楽しみである。

レース後、ジョッキーたちから発されるコメントは様々である。
「うまくいった」
「調子が良かった」
「馬が強かった」
etc…

もちろんこれらのコメントも非常に重要ではあるのだが、よりオイシイのは、負けたジョッキーのコメントだろう。検量室に引き上げてくるジョッキーの表情はそれぞれ違う。悔しそうな表情を浮かべて戻ってくるジョッキーも多い。道中の不利、自身のミス、理由は様々だが、彼らのコメントこそ、次に繋がる。このコーナーでは現場にいたからこそ知りえる敗因、そしてジョッキーの表情などを取り上げながら、次走以降妙味のある馬を挙げていきたい。