平林雅芳 2歳観戦記(9/11.12)

トピックス

土曜阪神1R
2歳未勝利
芝1600m
勝ちタイム1.35.6

勝ち馬
アドマイヤサガス(牡2、栗東・橋田厩舎)

秋開幕に向けてジックリと仕上げてきたアドマイヤサガス。坂路でも好時計をマークしての再登場戦だ。圧倒的な支持を受けていたが、直線で外からしっかりと伸びての勝利。シンボリストームの逃げを直線でグイと交わしたものだった。

秋の阪神競馬の最初のレース。綺麗に揃った青い芝。まだ暑さが残るスタンド。そんな中で、向こう正面半ばからのスタートである。シンボリストームが先手を取るまでにはだいぶ時間を費やした。アルバ、そしてキクノルナが前にいたが、その内からクビを覗かせて先手を完全に取ったのは2ハロンが過ぎていた。だが、その後も完全な一人旅という訳でなく、半馬身差でキクノルナが追走してくるプレッシャーの中での前半1000メートルが1.00.0と、やや速め速めのラップを刻んで4コーナーまで来た。

4コーナーを回るあたりでは、後続馬もドッと詰め寄せてきており、人気のアドマイヤサガスも7番手の外めぐらいに上がってきている。内めにはカガタイキも同じ位置取りだ。そして4コーナーへを回って行くが、先頭のシンボリストームの外に、番号どおりに馬体を並べて直線へと入ってくる。
その後ろも、4頭がやはり横並びである。1番外のアドマイヤサガスの手応えが実にいい。直線に入ってシンボリストームがもう一脚を使って伸び出す。しかし、残り1ハロン標あたりで、やっぱり外からアドマイヤサガスがグッと伸びてきて、先頭のシンボリストームに並びかける勢いだ。

残り1ハロンを過ぎたあたりで。前の4頭で1番の伸びはアドマイヤサガス。内で粘るシンボリストーム、その後ろの外からキングフィッシャーがシンボリストームに迫って行くが、交わすまでの脚色ではない。ゴールが近づくにつれてアドマイヤサガスの脚勢がしっかりと伸びだし、1馬身以上の差を開けて勝利のゴールと入った。

2着もそのままシンボリストームが粘り、半馬身差の3着を、やっとキングフィッシャーがゴール寸前で確保。前半からけっこう流れている、2歳戦としては珍しい流れ。やはり開幕週の前残りを意識した乗り方になっているのかもだ。
終わってみればまずまず順当な結果であった2歳未勝利戦。実力がハッキリと出た綺麗な芝での戦いであったと思える。
アドマイヤサガスはキャンターの姿勢が実にいい、走らせていい馬の印象であった。


土曜阪神3R
2歳新馬・牝
芝1400m
勝ちタイム1.24.8

勝ち馬
クエルクス(牝2、栗東・藤原英厩舎)

セレクトセールでの値段はネオザフラッシュが1番で、次がクエルクスで、ハギノハートフルが3番目。その3頭の叩き合いとなった直線1ハロンの攻防であったが、最後はクエルクスがハナ差先んじていた。

ちょっと寂しい7頭立ての新馬戦。返し馬をもジックリと見た。クエルクスのキャンターの入りが硬い。あまり好印象は持てない。1番良く見えるのがハギノハートフル。馬の見立てたでは、ハギノハートフルにクエルクス、そしてネオザフラッシュの順番であった。しかし競馬は生きている。そんな感じだった。

スタートはネオザフラッシュが1番速く先手、外ハギノハートフルが半馬身差で続く。内のメイショウフジッコも悪くない。そしてクエルクスがやはり半馬身差で続く、そんな位置取りで流れはゆっくりである。
クエルクスが最初にいた位置より少し後ろめに控えた感じで4番手、しかし前はユックリだ。

残り4ハロンの標識を通過するあたりでは、再びクエルクスが前との差を詰めて、3番手で前を行くハギノハートフルには1馬身もない位置にいる。そして4コーナー手前にある残り3ハロン棒あたりでは、先頭ネオザフラッシュにハギノハートフル、そして1番外にクエルクスと、3頭がほとんど横並びとなる形である。

その3頭が並んだままカーヴを回り直線に入ってきた。まだ後ろのクリノダイヤモンドにメイショウフジッコも直ぐ後ろではあるが、勝負のゆくえは前3頭に絞られそうである。
残り2ハロンを示すのであろう赤い棒を過ぎたあたりで、1番内のネオザフラッシュの手応えが1番悪い。中のハギノハートフルが手一杯に追われて少し前に出たか。でも外クエルクスの福永Jはまだシャカリキに追ってもいない、そんな感じだ。

完全に後ろの馬たちと前の3頭が勢いが違ってきてもいる。残り200のハロン棒過ぎから、クエルクスの福永Jの左ステッキが動き出し、少し前に出ているハギノハートフルとのデッドヒートとなりだした。
1番内のネオザフラッシュの脚色が、やや落ちだしているからだ。まだハギノのクビが前に出ているが、ゴール寸前にクエルクスが少しだけ勢いで優ったように見えた。

前半1000メートルが1.02.0。これは4コーナーを回ったところにあるハロン棒までである。そこまでが如何に遅いか。そして、そこからの上がり2ハロンが11.0~11.8のデッドヒートである。切れ味勝負となった新馬戦。キャンターの出がけが硬いと思ったクエルクスが勝った。
1番いいなと思ったハギノハートフルが、ハナ差ながら負けた。競馬はそんなものであろう。少頭数の牝馬限定戦の新馬でありました。今日の一戦だけでは何とも言えない印象でした。


土曜阪神4R
2歳新馬
ダ1400m
勝ちタイム1.27.9

勝ち馬
ラプターセイハート(牝2、栗東・羽月厩舎)

逃げたビットプレストの35.7は、やはり速いラップ。直線半ばで脚が上がり、それを楽々交わしたラプターセイハートがデビュー勝ち。2着には、ハネムーンゴシップが上がる。人気を集めたカリスマミッキーは、直線入り口で最内を狙ったが進路がなくなり、行き場をなくしアウト気味。気の毒なデビュー戦となっていた。

最初は芝の部分を走りダートへと出ていく1400ダート戦。押して出て行ったのはビットプレスト。外からシゲルカイチョウが最初は出てきて、ダートに入るあたりではダブルエッグレッドマロンと来ていたが、ビットプレストの先手は変わらない。
少し行ったあたりで、最内のカリスマミッキーがやや掛かり気味となったのか内から上がってきて、先頭のビットプレストの半馬身内まで来ている。

3コーナーのカーヴをまわるあたりでは、先頭ビットプレストが抜けて、1馬身から2馬身近いリードとなって、2番手グループが忙しくなった。ダブルエッグにレッドマロン、さらにシゲルカイチョウも並び前に詰めていく。
4コーナーの手前では、シゲルカイチョウが先頭に並びかける勢い。中のダブルエッグが脱落して、レッドマロンの外へラプターセイハートが勢いつけて上がって来ており、直後にハネムーンゴシップも勢いづいて上がって来ている。

1番内のカリスマミッキーがやや窮屈な位置。カーヴを回って直線に入って来たら、もう一度ビットプレストがスパートして1馬身前を行く。
外からラプターセイハートの伸びが良くグーンと伸び出してきている。カーヴを1番内を回ったカリスマミッキーは、レッドマロンが内へもたれてきて進路を塞ぐ格好で万事休すとなる。

残り1ハロンあたりでまだ頑張っていたビットプレストだったが、少しずつ脚が上がり出す。2番手からラプターセイハートが伸びて、残り100メートルで先頭に踊り出た。
2番手に粘ろうかとするビットプレストをゴール寸前でハネムーンゴシップが交わして上がった。
最後の3ハロンがかなりかかっている。13.1~12.8~13.7と、やはり前半が速い分で終いにかかる流れとなってしまった。

1400ダート戦としては速いペースとなってしまったビットプレストの先行。カリスマミッキーは、4コーナー入り口から直線でのアクシデントはあったけれども、脚色的に勝ち負けまだあったかどうか。ラプターセイハートがマイペースのレースをして勝ち上がった、そんな印象であった・・。


日曜阪神1R
2歳未勝利・牝
芝1400m
勝ちタイム1.21.6

勝ち馬
ツルマルワンピース(牝2、栗東・橋口厩舎)

最初に出たのはエーシンギムレットの方だったが、それを内から交わして先頭を奪う積極策。33.8とかなり速いラップを刻んでの先行策となったが、何とか最後までこらえての勝利。前が止まらない馬場を読んだ騎乗なのか、高倉Jの逃げはなかなかいい。

メインのグリーンバーディーの騎手、デュプレシスJがエーシンギムレットに乗っている。どんな騎乗をするのか注目していた。するとスタートから先頭に出て行くではないか。直ぐに内からツルマルワンピースが押して出てきて先手を主張。しかしエーシンギムレットもけっこう行く気だ、3番手テイエムキラーズが外から上がってきているが、前の2頭がけっこう速いポジションを確立した。内からガールズストーリーが上がって4番手の絶好位。人気のクローバーリーフは7番手ぐらい。ビッグスマイルがもっと後ろの位置取り。けっこう前が速いからその位置取りなのか。

前半3ハロンを過ぎて33.8のラップを刻んだ。3番手テイエムキラーズが押っつけだし、前の2頭と水が開き始めた。そして、3番手にガールズストーリーが顔を覗かせだす。少し後ろにクローバーリーフ。そしてビッグスマイルもいる。ここらは先頭の高倉Jが一息入れていたのではなかろうかと後では思えるラップの刻みかただ。

そして4コーナーに入って行く。手綱を抑えたまま先頭で回るツルマルワンピース、2番手エーシンギムレットはコーナーリングがあまり上手くなく、外へと流れる加減でカーヴを回る。その隙に、内からスッとガールズストーリーが上がってきて、その少し後ろにクローバーリーフの姿が見える。

残り300の赤い棒にかかるあたりで、高倉Jがゴーサインを出す。ちょうど隣りにガールズストーリーが上がってきたタイミングだった。ここでは外からマイネプルメリアもいい脚を使って3番手まで上がってきていた。
残り1ハロンを切って、ガールズストーリーがかなり迫ってきた。ここらでは3番手に最内からクローバーリーフが上がり、マイネプルメリアの外からビッグスマイルが交わして伸びて来ているが、前の2頭に迫るほどの勢いではない。

前の2頭はステッキで馬を叱咤激励する。ジワジワと詰めているガールズストーリー、何とか逃げ込まんとするツルマルワンピース。鼻面を並べてのゴールインだったが、やや内が残っていた態勢であった。
速い流れを演出したが、カーヴを回るあたりで息を貯めていた高倉Jの逃げ。そこが12.1。そして最後の2ハロンが11.8~12.3と、何とか堪えての勝利。これが計算されたものだとすると、凄いペースの造り方と思えるものだ。
後で判るのだが、メインのケイティラブの前半4ハロンのラップ、45.4とまったく同じ数字で行っている。あちらは遅いものだろうが、こちらは2歳未勝利戦でのラップ。やはり速いものである。
そして、4コーナー手前でひと息入れさせていた。これが本当なら凄い腕前となる。いつか彼に聞いてみたいものだ。


日曜阪神2R
2歳未勝利
ダ1400m
勝ちタイム1.26.2

勝ち馬
アルゴリズム(牡2、栗東・安田隆厩舎)

これは強い、そう思わせる内容だったアルゴリズムの直線でのさばき方。スムーズな勝利で挙げた1勝よりも、何倍もこの馬のダート巧者ぶりを教えてくれた一戦でもあった。アルゴリズムのダート適性の高さと、安田厩舎の2歳馬の層の厚さであろう。

ダート巧者が揃ったのだろうか、それともダートで期待を持つ馬が多かったのだろうか。何せ、ノーザンソングが造っていった前半のペースはかなり速い。3ハロン35.0に1000メートルの1.00.2は、勝ち時計に匹敵するぐらいの時計だ。だから絶対に乾いた馬場では止まってしまうだろう。
1、2、3着ともが、全て前へ行けていない馬の決着である。でも展開で勝ったのではないのがアルゴリズム。道中は内々で進めていて、なかなかいい位置取りに行きっぷりである。
そして4コーナーも内めを通り前に接近だ。ところが、前述のペースであったから前が止まるのは当然。いきなり前との間隔がなくなったアルゴリズム。直線1ハロン前あたりである。内を衝こうとしていた福永Jだったがスペースがないし隙間もない。
手綱を絞ったまま外へと進路を替え、先に外から一気に前に出ていくダートムーアの後ろに馬首を持って行ったが、後ろから上がって来ていたトーホウジャパンと同じ位置ぐらいでまだ前には相当馬が残っている。

先頭に出ているダートムーアが内へもたれた最内へと入って行くと、前はガラ開き。そこを左ステッキで一気にアルゴリズムにスパートをかける福永J。
アッという間にダートムーアを交わして先頭に出て、最後はもう手綱を抑える余裕である。3着には外からトーホウジャパンがいい脚を使って来ていた。

何度もパトロールビデオを見たが、アルゴリズムが凄い。直線1ハロンの待ち時間の長さ。外へ出してとロスタイムがかなりある。そしてゴール寸前にはもう抑えている。
相当なダート巧者であると思える。絶対ダート路線を歩む事があったら、馬券を買い続けたい馬である。そんな印象を残すレース内容であり、安田厩舎の2歳馬はなかなかである。


日曜阪神4R
2歳新馬
芝1600m
勝ちタイム1.39.4

勝ち馬
トウシンイーグル(牡2、栗東・山内厩舎)

何と、前半1000メートルを1.05.8の超スローな流れにした前の組。2番手でガッチリ折り合ったトウシンイーグルが、上がり勝負の直線も危なげなく伸びて快勝。ハーツクライの子供がまた勝った。

最後の2ハロンが、10.2~11.2である。それも最後の1ハロンでは、もう鞍上の柴田善Jがチラっとオーロラビジョンで後続の動向を確かめたようなシーンがあり、最後は流し気味なゴールである。だから数字以上のトップスピードであったはずだ。4コーナーまで2番手、それも逃げたキンショーノドンと馬体を並べてはいるが、超スローな流れで来ている。

追い出したのが残り2ハロンあたりから、もう追いつけないスピードをゴールまで続けて行く。そんな感じの直線での勢いであった。
まるで1800か2000の競馬のペースで進められた前半である。最初の3ハロンが38.9。スタート直後からのラップでさえも13.4で、道中13秒台が3度もある、かなり遅い流れ。関西ではこれほどに新馬戦で遅い流れはそうはないのではと思える程。

決め手勝負で、しっかりと乗り込んでいる結果を出したトウシンイーグル。
道中ちょっと若さを見せていたセイカプリコーンが伸びて2着。
惜しかったのが、3着のノヴァグロリア。まずはゲートの出が悪い。スタート直後はいちばん後ろである。3コーナーでは2着のセイカプリコーンの直ぐ横まで押し上げて行けている。しかし、何せ遅いから前のスペースがなく、追い上げて行けない。結局、その位置で直線まで来てしまい、外のピースフルアースと馬体をぶつけあって進路を確保する事となってしまう。
ゴール寸前にやっと伸びだして3着となったが、もっと動けていい内容であった。何せ、この新馬戦は柴田善Jの上がり勝負に持っていかれた感じであり、技ありの一戦でありました。


★次走注目馬

土曜阪神4R
2歳新馬
ダ1400m

ビットプレスト(3着)(牡3、栗東・安達厩舎)
(ポイント)
実は、パドックで佐藤哲Jを乗せて最後の周回をして出て行くちょっと前にやや暴れだして勢いついてしまい、鞍上を振り落とすシーンがあったのである。
やや入れ込み過ぎかと思える様な感じでもあった、やや先を急がせ過ぎた感じのある道中の行きっぷり。それでも残り100メートルまでは先頭をキープしていただけに、マイペースの先行とか距離短縮ならばすぐでもダート戦で勝てそうな馬であろう。
とにかくも、次走は注目馬としておいてよかろうと思える。