バージニアキャットなど《平林雅芳 次走注目3歳馬》

トピックス

★次走注目3歳馬

土曜京都1R
3歳未勝利・牝
ダ・1200m

メイショウナナイロ(2着)(牝3、栗東・武田厩舎)
(ポイント)
これから雨が沢山降ってきそうな空模様の中の朝一番のレース。逃げる馬がタルトレットだけと思われる顔ぶれだったが、そのタルトレットがスタートで躓いて出て先手敵わず。と言うよりも、この今日が初出走のメイショウナナイロが好ダッシュで出て行った。すぐにワンダーエレメントイツモジョウキゲンが付いてきて、決して楽な先行とはならず。前半3ハロンが35.2と遅くない流れとなった。
それでも直線半ばまで先頭を守り、ワンダーエレメントにかわされても何とか残っての2着。何故、初出走で人気にならなかったのだろうかと言う程人気薄の9番人気。ケイコが地味だからなのか。でも兄弟馬もソコソコ走っている馬がいて、今日は減量騎手の君である。それでもこの人気なのかとは、終わってこの結果を見てから言える事か。
当然、次走はタップリと印もついて、もっと厳しいマークされる身となるが、初戦でこうやって結果を出せるのがエライ。近々に勝ち上がっていけるものと思える。
そして2番人気で11着となってしまったタルトレットだが、砂を被り嫌気も出してしまった様子。ケイコ程に動けてないもので、この馬は次走大きく変わる可能性があるから覚えておいた方がいいだろう。

土曜京都2R
3歳未勝利
ダ・1800m

タッチドヘヴンリー(2着)(牡3、栗東・大根田厩舎)
(ポイント)
最近の競馬は、スッと先手を取ったらそのまま押し切るレースが関西では続いている。ここもゲバラが向こう正面まで楽な先手。その向こう正面の中ごろで中団より後ろにいたタッチドヘヴンリーが外からマクって出て、3コーナーに入る前に先頭を替わる。800メートルで51.2とかなり遅い逃げを展開していた四位Jの思惑を浜中Jがたまらずに動いて出て行ったが、1000通過で1.03.1とまだ流れは速くならない。そのまま先手を取って押し切ったかと思えた直線半ばで、岩田Jナポレオンバローズが道中4,5番手の内でジッと我慢していてコーナーワークで急接近して、ゴール前で猛追してかわし切ったもの。
負けはしたが、このタッチドヘヴンリーの様な乗り方も、最近アチコチで見られる。今回は負けたが、これをきっかけにまた上昇して行くのだろうし、勝利は近いと思えるものだ。

土曜京都3R
3歳未勝利
ダ・1400m

レスタービート(1着)(牡3、栗東・田所秀厩舎)
(ポイント)
メンバー中、最低人気のレスタービートが勝った。1番人気は当欄で取り上げた、初戦の内容が素晴らしく良かったサンダーストラック。ところが競馬はやってみないと判らぬもの。ビデオで見てみると、スタートは格別速いという訳ではなかったが、ジワッと出て内の馬を見ているうちに、芝からダートに替わって誰も出て行かないと見るや《よし!行こう!》と決めた感じの行きっぷり。
3ハロン通過が34.3だが誰にも絡まれず。続いて800を通過が46.2でここも単騎で通過。結局、終始誰にも絡まれずに先手を取りきり、直線でもまったくの独走。2着に入ったフラアンジェリコに4馬身差の楽勝であった。
湿った馬場にしろ、1.23.9はかなり速いもの。デビュー戦で3.7秒も遅れた馬が2戦目で楽勝。ここらが競馬の面白さか。
ちなみに、外国産馬であるこのレスタービート。思い切った先行策が良かったのか一変した。人気のサンダーストラックは初戦のような終いの脚を見せられずに終わって5着だった。雨が降ると、競馬はより難しくなる傾向がある・・。

土曜京都5R
3歳未勝利
芝・1400m

シェルエメール(2着)(牝3、栗東・松永幹厩舎)
(ポイント)
1400芝のレースはゆったり進んで、先行馬有利な流れになるのが常である。ここも逃げたインテンスランが、1000を1.00.3とゆったりな流れを演出。しかしその遅い流れに乗じたのか、後方にいたサクラアドニスが坂の途中で外からマクッて来ており、先でじっと待っていたマールートの外まで来ていた。
その2頭は、4コーナーに入る時に一気に加速して勝ちに行く。先に外からサクラアドニスが出て、その内でマールートがほぼ同じタイミングでゴーサイン。

この2頭のマッチレースと思える攻防がしばらく続いた。終始、外のサクラアドニスの体勢が優位のままにゴールが近づいたが、そこへ4コーナーまで中団にいたシェルエメールが凄い伸び脚を見せて猛追。サクラアドニスのすぐ隣りまで迫ったところがゴールであった。
使った脚が34.7と、サクラアドニスが長い脚を使って来たのと同じ上がり3ハロン。これが2ヶ月少しの休み明けであったのだから、魅力一杯の素質であろう。
ハナ差3着のマールートも、初戦でこの欄で紹介した馬。今日は相手が悪かった様子だ。引き続きチャンスであろう。まだまだいる未勝利組に、高素質馬たちがいる…。

日曜京都1R
3歳未勝利・牝
ダ・1800m

ユウキオジョウー(1着)(牝3、栗東・服部厩舎)
(ポイント)
朝からたっぷりの雨で、芝もダートも不良のコンディション。先行有利の馬場であろう。しかし力関係が抜けていないこの牝馬限定戦は、鞍上のひと工夫が勝敗を決する、そんな結末だったのがこのユウキオジョウーであった。

好発で先頭に出ようかのユウキオジョウーだが、最初のカーヴまでに好位の内の5番手をキープ。その後はジワジワと前へポジションを上げ、3番手のインでジッとしたまま進む。さすがに勝負どころの4コーナーに入るあたりでは後続馬がドッと外から追い上げにかかってきており、内で辛抱していたユウキオジョウーはいつのまにか中団より後ろになっていたが、脚は十分に溜まっていた。4コーナーのカーヴに入る時には、前がちょうど5頭が並び、その後ろに空間が出来ており、難なく外へ出せた。先に抜け出たオークヒルパークにジワジワと迫って首差かわしてのゴール。

道中のインで脚を貯める乗り方や位置取りも含めて、技ありの幸Jの騎乗であった。
この時期の3歳未勝利戦は、何せ勝つ事が大事。いかに勝てるかにかかっている。《なるほどな~》と思える朝一番のレースでありました。

日曜京都6R
3歳500万下・
ダ・1400m

バージニアキャット(2着)(牡3、栗東・加用厩舎)
(ポイント)
実はこのレースには前走で目についたプントバンコが出ており、当然、その馬を中心にレースを見ていた。しかしいつまでたってもエンジンがかからずじまい。むしろもっと後ろから来ていたホクセツダンスが追い抜いて行った直線であった。これは異なこと、どうしたのであろうか。

決着は行った行ったで、ハナを切ったラディアーレが逃げ切り、2番手のバージニアキャットがクビ差の2着。この2頭が馬体を並べて直線に入って来て長~い追い合いが続いたが、結局は一度もかわされずにラディアーレが逃げ切ったものだ。
1000メートル通過が58.0とかなりのハイペースで追走する3番手グループは、ほとんどが追い通しの手応え。そんな後続を後目に、先行2頭が押し切ったもの。最後の1ハロンが13.3とかかったが、最後まで二人の世界だった。
惜しくもクビ差負けたバージニアキャット。昇級戦の前走でも横山典Jが乗って惜敗の地力。今年はまだこれで3戦目であり、まだまだ上昇気配が望めるものだ。しかしプントバンコはいつになく好スタート。それが4コーナーを回ってもう手応えがない。ここらが実に競馬は難しいもの。あまり前走の終わった競馬は参考にならない気がする一瞬である。本当に勝負は水物だ・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。