クラレント、兄リディルに劣らぬ将来性タップリ!《平林雅芳 2歳観戦記》

トピックス


土曜京都5R
2歳新馬
芝1400m
勝ちタイム1.22.3

クラレント(牡2、父ダンスインザダーク・栗東、橋口厩舎)

直線へ入って来た時でも6番手。先頭に躍り出ようかのサドンストームがチラっと後ろを振り返るぐらいに好感触だった様子。そこからはまだ6馬身はあっただろう。1ハロンを切ってもまだ4馬身ぐらいの差。そこからゴールまでの間に抜いて、最後はやや抑え気味なぐらいの手応え。ちょっと物が違った感じだったクラレント。鞍上の小牧Jは、最初から外へ出しての競馬をイメージしている様な乗り方にも見えたもの。橋口厩舎の今年の2歳馬の初陣、兄リディルに劣らぬ将来性タップリな感じのレースぶりであった…。

スタートはサドンストームが一番早く出た。次いで1番人気サクラエミネント。しかし内からオウケンハナミズキが出て行く。結局オウケンハナミズキが先手で外にサクラエミネント。3番手に少し下げてサドンストームといった形で3ハロンを過ぎる。34.6とまずまずの流れ。その後に8頭ぐらいが追走していたが、その中の後ろめにいたクラレントが、掛かるのを嫌がったか、少し下げて馬群から離れる。その後ろには3頭ほどが離れ離れて追走だが、ちょっと離され過ぎ。
坂を緩やかに下って4コーナーへと向かうが、オウケンハナミズキの外のサクラエミネントがやや馬体を並べていく。3番手サドンストームは変わらずだが、後続がかなり接近してきた。
カーヴを回って直線に入ってくるあたりでは、もう先頭はサクラエミネントが出て直後にサドンストームが迫ってきて、むしろ前へと出そうな勢いだ。後ろでは、内めにいたクラレントが外にブルーハーツクライを従えて追撃態勢。しかし直線へ入ってきた時でも、けっこうな差があった。

内のはげた芝でなく少し芝目の色が残っているところを、サドンストームの進路を取った鞍上が右ステッキをくれている。
もう1ハロンを過ぎた。ブルーハーツクライと並んで直線に入って来たクラレントだが、大きなフットワークで伸び出す。内でマイネマキアージュが2番手に上がろうかという瞬間に、それを抜き前を追う。
小牧Jのアクションと共に伸びて行くクラレント。もうステッキは使わずしごくだけで伸びて行くクラレントが、サドンストームを抜き去り、最後は内へもたれながらのゴール前だった。
3着ブルーハーツクライも、追い出しにかかった時に内へもたれて矯正するのに時間がかかってしまう。もっと際どく2着馬には迫ったかも知れない勢いだった。

最後の1ハロンが12.8もかかった数字は、サドンストームが先頭で入り、ゴール前はクラレントだから、実際にサドンストームはもっとバテていたのかも知れない。1200通過が1.09.5と、やっぱり速いものとなっている。
でもクラレントのレースぶりをビデオで見ても、最初から直線は外へ出してくる気持ちがアリアリと感じられたし、終いが伸びる雰囲気を持っていた様子。勝ち時計1.22.3と上がり3Fの36.3は数字的には見劣るものだが、クラレントの使った脚と内容は、この数字では計り知れないものを感じるものであった。


土曜函館5R
2歳新馬
ダ1000m
勝ちタイム1.00.0

ヴェアリアスムーン(牡2、父アフリート・栗東、田島良厩舎)

逃げたタマモキャッツアイが2着。2番手を進んだヴェアリアスムーンが前をかわしただけの結果かも知れないが、4コーナーでの手応えは断然、ヴェアリアスムーンが良く、いつでも前をかわせるぐらいのものだったと思える。着差は1馬身と少しだが、実際はもっとあろうかと思える力の差で、タイムもちょっと湿って走りやすいコンディションとは言え、1分ジャストは悪くないものだ。

大概の新馬戦で、好発は大外が多い。これは外に何もないから、馬自身が行きやすいのかどうかは知らない。でもけっこう多いパターンだ。大外のキボウダクリチャンが好発、しかしすぐにタマモキャッツアイが前へと出て行く。その後を手綱をシャクって行く岩田Jのヴェアリアスムーンが、ダッシュがついて前に並ぶように行く。

まずスタートではコスモバンディラがダッシュがつかない。瞬く間に差が開いてしまい、この距離では致命傷となる。前では内めからトライスターが上がって、外キボウダクリチャンは出たものの、外の後が続かなく下がり気味。
1ハロンを行ったあたりで、先頭のタマモキャッツアイに並びかけて行くヴェアリアスムーン。3番手は内でトライスターも前に取り付こうかの勢いだ。外ではアイアムネフライトが追い上げて来ている。
3コーナーを回って行く。外アイアムネフライトの行き脚がついて前にかなり迫って行く。内のトライスターはやや手応えが劣りだす。

ややカーヴを少し外へと出しながら、ヴェアリアスムーンが前のタマモキャッツアイに並ぶ感じで直線へと入って来る。粘るタマモキャッツアイを1ハロンを過ぎて捕えたヴェアリアスムーン。しかし、まだタマモキャッツアイが渋太く粘っていて、そう離せずにゴールを迎える。
外を追い上げて来たアイアムネフライトが勢いついてゴール前で猛追したが、ハナ差届かずの3着であった。そこから8馬身も離れてキボウダクリチャンが4着であった。

前半3ハロンが35.9。その後の4コーナーから直線の残り1ハロンまでが11.8。ここらでヴェアリアスムーンはタマモクリチャンをかわしているのである。ラストの1ハロンが12.3とバタっと来ていないラップである。だからこの上位3頭は、なかなかのダート巧者と言えるだろう。終始リードを取って負けはしたが、タマモキャッツアイは父サクラバクシンオーのいいスピードを受け継いでいる。
そして勝ち馬ヴェアリアスムーンは、ケイコで一杯に追った事がない数字と動きである。それでいてなかなかに素軽い動きを見せる馬。ダートが上手いのは父から判る。後は芝へ上がった時がどうかで、まだダート馬と結論づけるのは早計だろう。見てからでも遅くはあるまい。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。