競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【NHKマイルC】2歳王者の激突
2024/4/29(月)
最優秀2歳の牡牝の2頭が出走。ジャンタルマンタルは皐月賞3着も最後は距離なのかと思う伸びだった。だからこそのここ参戦は勝ちに来ていると解釈。アスコリピチェーノは桜花賞は負けたが体もフックラと戻っていたし悲観する負けではなかったと思える。この2頭が頂点になるのだろう。
そこへ重賞で好走、激走した馬達が挑む。NZTのエコロブルームにボンドガール。ファルコンSで凄い脚のダノンマッキンリーにアーリントンC勝ちのディスペランツァ。マジックマンは堀厩舎の2戦2勝のゴンバデカーブースに騎乗。ここらを咀嚼するのが難しい。何かすんなりと決まりそうもない今回。ケンタッキーダービーで大快挙の後となるのか。
【天皇賞・春の回顧】
24年4月28日(日)京都11R 天皇賞・春(G1) 芝3200m)
- テーオーロイヤル
- (牡6、栗東・岡田厩舎)
- 父:リオンディーズ
- 母:メイショウオウヒ
- 母父:マンハッタンカフェ
- 通算成績:18戦8勝
いつもどおりパドックを周回する馬を観て専門紙に印を残す。ブローザホーンが◎、タスティエーラとテーオーロイヤルに〇をつけた。ディープボンドがやけに元気がいい。サリエラもブローザホーンも同じく424キロなのに、まったく印象が違う。ブローザホーンは小さく見えない。そしてサヴォーナはやっぱり太い。
密かにスマートファントムに注目していた。菊花賞馬がいちばん春の盾に近いと言われるがドゥレッツァのこの結末はどうしたのだろうか。確かに暑い日ではあったが、そこはどの馬も一緒。競馬が難しいのは生き物が相手だからだ。
テーオーロイヤルを知ったのは3歳時の10月の中京戦。青葉賞からの休み明け緒戦だった。インから鋭く伸び た脚が凄かった。そこから出る度に注目、期待もどんどん増した。年も明けてダイヤモンドSで重賞制覇。いよいよGⅠに近づいたと春天皇賞では思いっきり勝負した。直線で一旦2番手にあがったがディープボンドに差さ れて3着。ゴールは遥か遠かった。そして秋、まるで別な馬かの様な冴えない内容だった。
骨折明けの昨秋。やはり後脚の骨折は大きいと思える結果。次もどうかと思っていたら2着と復調を見せた。そして今年。再びのダイヤモンドSの勝利。次の阪神大賞典では以前にも増しての伸びを見せた。ずっと追いかけて観ているから完成度が近いと思えた。
ファンも1番人気と後押し。淀の2度めの下り坂。ドゥレッツァが下がって行くのを尻目に気持ちいい程の手応えであがって行く。一昨年は敵わなかったディープボンドをあっという間に抜き去ってゴール。まるで関係者かと思う程にこの勝利は嬉しかった。菱田JのインタビューもGⅠ初勝利なのに実に冷静であった。人馬共に充実期を感じた。いつまでも画面を見つめていた今年の春の天皇賞。競馬は楽しい!
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。