マイケル・タバート氏独占インタビューPart.3はコチラ⇒

どうせやるならこのクラブ方針しかない 沢山の賛同者が増えてくれるように

-:クラブの方は、金融庁に認可されるとしたらこの秋には開かれるということですね。

タ:そうですね。認可された瞬間に、早く出したいですね。

-:今回のオーナーズを立ち上げるにあたって、ファンは最初に新しいクラブが出来たのかなという感じを受けたと思うのですが、「これは個人馬主だけなんだな」という意見はあったと思いますが、次はファンの方でも参加できるということですね。

タ:そうです。それは意図的にそうした面もあって、最初からクラブと同時に用意しているんですよね。名前も全部ニューワールドレーシングでブランドの統一というのが大事だと思うので、意図的にオーナーズの馬主だけじゃなく、色々な人に知って欲しかったので。あとは40分の1になっていると、買う人は個人馬主が多いと思うんですよ。今でも多くの個人馬主の方が安い馬を自ら買って、高い馬は1口で、というケースが多いので。しかも、40分の1になると、1口50万や200万~300万あたりなると、実は買うであろう人の中には、馬主になりたいと思っている人がいるんですよ。そういう意味でもクラブで良い思いをしてもらって、みんなを大事にしていって最終的に個人馬主になりたいと言ったら、それもサポートして資格を持っているとオーナーズは維持されるので、両方あったら良いかなと。

それと、今まで共有をずっとやってきたので、今後も続けたいので、もちろんよく共有していた人たちも買っていただいており、そういう楽しみもあるけど、最終的には、これは馬主体験をしたい人のための企画なので、実際にその人たちは将来的にひょっとしたら馬主になれるかもと思った時に、スムーズになれるようにしたいし、JRAとしてもやっぱり馬主を増やしたいので、すごく喜んでくれていますね。

マイケル・タバートオーナー

▲事務所にはハナズゴールの肖像画も飾られている

-:確かに値段というか、40口という設定だったら、そういう繋がりも作りやすいですね。

タ:と思いますね。本当に「馬主を体験」出来ると思うんですよ。

-:最近よくCMや広告で目にするワードですね(笑)。

タ:ハハハ、(DMMバヌーシーさんとは)路線が違うので(笑)。でも、競馬が話題になることは、僕は大賛成なので。もちろん出てくるということは知っていたのですが、内容が違うのでね。向こうは気軽に、という感じでやるのですが、こっちは本格的に馬が好きで馬主体験をしたい。その限られた仲間と本当に1口持っていて、意見を言い合えるという、本当に参加しているという形にはしたかったので……。しかし、これだけ競馬のCMが流れると、この間、奥さんのお父さんにも「マイケルがやろうとしていることと似ているね?」と言われました。そんなに競馬が分からない人でも、知ってもらえることは、それはそれで良いことだと思いますね。そこは被らないし、そうやって話題を作ってくれるのはありがたいくらい。僕もそういうことをやりたいので、ツイッターやインスタで、色々と盛り上げたいので、色々と考えています。向こうは向こうで違うことをやっているので、それは結果的に良いなと思うんです。あれだけの注目される馬たちなので、走ったら良いんですけどね。走ったらそれで馬券は売れやすいでしょうし、みんながウインウインだと思うんですよね。

-:DMMさんのように“○○の弟”なんて、わかりやすくない血統でも、実績を積み重ねられたら良いワケですしね。

タ:そうですね。だから、キタサンブラックのような馬が強くなると、それはそれで盛り上がるでしょう。サトノダイヤモンドみたいに高い馬で、将来的に日本を代表する種牡馬になると思うのですが、本当に凱旋門賞を勝ちそうだし、それもそれで素晴らしい。日本の競馬はそういう色々な要素があって、本当に良いなと思うんですよね。

-:タバートさんだったら、海外の馬も把握されていると思うので、信憑性がある意見ですね。

タ:確かに1番人気になりそうなエネイブルはムチャクチャ強いと思うのですが、日本の方がレベルは高いと思うので。それは順調に行けば、ですけどね。ディープだって勝つと思っていたので、あの時の凱旋門賞は、僕はわざわざ行きましたからね。普通に好きで、あんなに強い馬は見たことがなかったので。でも、何があるか分からないですからね。本当に海外遠征というのは難しいと思うし。

「日本ダービーもしくは桜花賞に出たら、ボーナスで厩舎に500万を払うというのは本当の話です。この馬はダートだと思っても良いけど、こちらは芝の1600の牝馬だと思っているので、それに向けてやって欲しいという意味合いを込めて」


-:先ほど「外厩とか育成とかは一貫させる」ということでしたが?

タ:育成はカナイシ(スタッド)さんです。栗東の外厩も一箇所にしたいです。要はちゃんとチームとしてやってくれるところとやりたいんですよね。僕はカナイシさんと長いことやっているので、信頼関係があって、ここが良いと思っているので。個人でやっていると、一番ストレスが溜まるのは育成で、例えば、育成が終わって「入厩が出来ますよ」と言っているのに、調教師が「いや~……」と言ったり、馬が届いているのに「これはダメだな」と、責任の押し付け合いになってしまう。全部がそうではありませんが、そういう傾向が強いですし、それがすごく嫌なので。みんな頑張っていれば、走らない馬を選んでしまった馬主の責任として納得感があれば良いんですよね。やっぱり納得出来るような体制にはしたかったんですよね。だから、桜花賞を目指すので、牝馬だったら育成や外厩の段階から、要は阪神の芝1600mを走らせるための育成、調教をして欲しい。人によっては「僕はこの馬はダートだと……」と、育成でダートだと思ってやって、いきなり調教師が芝を使ったら、何をしているか分からないですよね。

子供で考えたら、ハーバード大学に行きたいけど、英語の勉強をするのを忘れた、みたいな感じですよ。個人でやっていると、それを普通にやられますからね。信じてくれないかもしれないですが、日本ダービーもしくは桜花賞に出たら、ボーナスで厩舎に500万を払うというのは本当の話です。この馬はダートだと思っても良いけど、こちらは芝の1600の牝馬だと思っているので、そういう風にやってください、と。ダメだったら、その後にダートを使ったら良いので、まずはちゃんとそれに向けてやって欲しいという意味合いを込めて、そういうことをやっているんですけどね。それが出来ると、納得感はあると思うんですよね。

マイケル・タバートオーナー

▲目標はダービーまたは桜花賞 ハナズゴールで成し得なかった目標に挑む

ダービーを勝ちたいと思っても、調教師が坂路でバァーと50秒台ばっかり出していたら無理じゃないですか。そういうことはするなと。牡馬だったらダービーを目指してやってくれと。ということは一つのこだわりというか、そういう意味で外厩もみんな同じところで、みんな上手く連携してやってくれる方が良いので。本当は関東の厩舎にも入れたいけど、それが今の希望だと1カ所に集める方が良いかと思って、栗東の厩舎だけにしようというのは、そういうことなんですよ。

-:明確なテーマというか、レースをちゃんと目標としてつくることで、一連の流れをハッキリさせるということですね。

タ:チームワークに関しては、いまの個人馬主としては限界があります。ノーザンファームの馬がセレクトセールで、何故こんなに他の生産者より高いかというと、ノーザンFの施設が使えるという特典が付いているんですよね。それをチームでやっているから、そこのチームに入れるから高くなっていると思うんですよね。そこは個人がやって、ノーザンFとは違う関係ないところで育成をやると、あまり結果が出ないかもしれないですが、そこに入れるとみんな安心ですよ。みんな結果を出したいし、向こうも安心だし、それはやっぱり一つのブランドになっていると思うんですよね。

馬が走っているのは、もちろん質の良い馬だというのはあると思うのですが、良い血統で良い馬をつくっているのは間違いなく、ノーザンFにはものすごい尊敬しかないです。やっぱりそういう環境というのは、なかなか個人馬主って、いまは入れないので、入ろうと思えば、セレクトセールでノーザンFの馬を買うしかないんですよね。だから、高いんですよね。

「どうせやるんだったら、このクラブ方針しかない……。後から入っているので、それに実績も何もないので、実績が出て、みんなに納得してもらえるように頑張っていこうという感じですね」


海外のカタールの王様などが来て「高くて買えない」と言わせるセレクトセールはすごいなと思いますけど、それだけのブランドがあって、もちろん馬の実績もあるけど、そういう一貫したプロセスで出来るという関係にみんな入りたいと思うんですよね。毎年ノーザンFの馬を買っている友達がいるんですけど「やっぱりしがらきを使いたい」とか、それが多い。だから「どの馬でも良いんで1頭は必ず買う」という馬主もいらっしゃるので、分からないでもないですよ。もちろんそこまではこの規模では出来ないですが、みんな同じ目標に向かうプロセスというのはすごく大事だとずっと痛感していたので、それがこういう形になりました。

クラブの方には、牡馬が入るのですが、牡馬と牝馬を比較しても、牡馬は値段の割には賞金を稼げる程度はそんなに変わらないと思います。牝馬は色々な条件を使えるし、仕上がりが早いし、最近はウィンクスが世界一になって、ジェンティルドンナなど強い馬が牝馬の確率が高いので。生産者も牝馬を買ってくれるとすごく喜ぶので、そういうのもあって……。6頭全部牝馬で「何か戦略でもあるのか?」という声はあるのですが、オーナーズのラインナップは今年、たまたまそうなったところはあるけれど、やっぱり買う理由がいっぱいあると思うので。

-:今後の展望として、ここからクラブを始められて、そこから広がって行けばいいですね。

タ:そうですね。もともとクラブ法人をつくると、3年間で20頭というルールがあるのですが、それがなくてもいきなり100頭なんて出来ないですね。先にお金を払わないといけないので。ただ、今年の14頭と合わせて、しばらくはこのくらいの頭数かなと思うのですが、みんなが買ってくれるようだったら、来年、再来年、将来は増やしていって。皆が魅力的なクラブに思ったら、ドンドン大きくしていければ。将来的にものすごく強い馬がいっぱい出てきたり、それに関わるだけで、こうやって入ってやっている喜びはすごくあるだろうなと思って。個人でやっているよりはそういう馬に巡り合える可能性はあると思うので、確率で頭数が増えていくと、そういう馬に出会える可能性も高いと思うので、それに向けてやっていきたいなと思いますね。会員さんと一緒に喜べたら最高だなと。

マイケル・タバートオーナー

▲新しいクラブで競馬界隆盛の一躍を担えるか タバート氏の決意は堅い

-:お聞きするクラブのビジョンだと、そんな体験もやぶさかではないですね。

タ:他は発表と同時に満口になりますから、だって、買えなくてファンが怒るとかすごい人気ですよね。すごく嬉しい悩みじゃないですか。だから、それだけみんな買いたいということなので、それはすごく素晴らしいことだと思うのですが、怒られたくないので、みんなが買えなくて怒られるようになれば、ある意味、最高ですが、そうならないようにちゃんと色々と考えたいなと。今回、他のクラブとの差別化は色々と考えてやることにしたんですけどね。

-:すでに色が違うかなという感じはしますね。

タ:そうですね。どうせやるんだったら、このクラブ方針しかない……。後から入っているので、それに実績も何もないので、そこは怪しいと思われて「何で儲かるの?」「会費とか取らないんだったら、すぐに潰れるんじゃないの?」とか書かれるのは分かるのですが、実績が出て、みんなに納得してもらえるように頑張っていこうという感じですね。

-:ズバリ、成功する自信はありますか?

タ:もちろん。成功というか、正直、馬が走るかどうかは分からないですよ。走る確率の高い馬のラインアップにはしているつもりですが。ただ、僕が目指しているのは、たとえ馬が走らなくても“あのクラブで1口買って良かったな”と思ってもらえるのが目指す姿なので。もちろん走る馬を見つけるために努力は惜しみませんよ。それが走ったら絶対にみんな怒らないので、走らなくても納得して走らなかったというところを目指してやりたいなと思っているので。それが出来るようにしたいし、それが出来ると思っていますので、そういう意味では自信があるのですが、頭数が増えたり、会員さんが付いたりすると、益々馬が走ると思うので。今年のラインナップは自信があるので、売れなくても自分で持ちたいくらいなのですが、会員さんの力を借りてドンドン希望をつくっていきたいですね。そうすると、もっともっと走ると思うので、そうなるんじゃないかなと。今の感触としてはかなり買ってくれるんじゃないかなというのはありますけどね。そうなるとすごく楽しみだなと。

-:会員さんとクラブの“循環”も活性化するといいですね。今回はタップリとありがとうございました。今後のご活躍を楽しみにしております。

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