再び指名馬の中からクラシック勝ち馬が誕生するか?今年で4度目を迎える、ジャスタウェイの大和屋暁オーナーを中心としたPOG会議。前年度は5頭という僅かな選択肢にも関わらず、森川勇一郎氏が3頭の重賞ウィナーの指名に成功した。今年度はパネラー陣にとっても縁のあるエピファネイアの産駒がデビュー。馬を見る目があるのは誰か?行く末を注目いただきたい。

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前年度は森川さんがサートゥルナーリアを出資&指名で圧勝!

競馬ラボ小野田:今年は、中間報告会も行わせていただき、2度目の顔合わせとなりますが、まずは前年度2018~2019年の指名馬では、森川さんのサートゥルナーリア(牡3、栗東・角居厩舎)がホープフルS、皐月賞を制しましたね!他にも、コントラチェック(牝3、美浦・藤沢和厩舎)がフラワーCを勝利し、クリソベリル(牡3、栗東・音無厩舎)が交流重賞を制したように、順位付けはもはや森川さんの一人勝ちが分かっている状況ですが…(笑)、改めて皆さんに前年度を振り返っていただくといかがでしょうか。

プロソフトクリーマー・森川勇一郎氏:いやいや確かに僕はいい馬を指名していますけど、毎年、5頭しか選べない中で、2017年はダービー馬(レイデオロ)を選んでいる訳ですよ(笑)!今シーズンも同様に5頭しか選べない中で、サートゥルナーリアが皐月賞を勝ち、コントラチェックはフラワーCを勝ち、クリソベリルが兵庫チャンピオンSを勝利。5頭中3頭が素晴らしい成績を残して、POG期間中にG1も勝ち、重賞も勝ちというところで、数ある高額馬、良血馬の中でも、キチッといい馬を引いているという結果はありますからね!全部に出資できていたら最高なのですが、人気馬もいるし、なかなかそこは思うようにいかず難しいんですけどね…。

大和屋POG

大和屋暁オーナー:さすがです。どうしたら毎年G1を勝てるんだろうなぁ。

森:ただ、勝っているのは、お母さんを持っていた馬や、その繋がりで選んでいる馬が多かったりするので、そこがたまたまハマったことも事実ですね。

大:それでも、毎年、ハマっているからね。

河野聡平氏:血統をちゃんと追い続けているのが、大事なんですよね。

大:そんな森川さんに何とか1回だけでも勝ちたいです。

森:そんな中でも、今までは全くゆかりのない、例えばディープインパクト産駒なども選んだりしていたのですが、今年は、自分が出資していた馬(エピファネイア)が初めて種馬としてデビューするので、事情がちょっと違いますね。

大:「お父さん」が一杯いるということだね。

森:選ぶ対象が増えてくるので、狙いに行った指名ではなく、ここは自分の思いが強い馬など、関わりが強かった馬を中心に選んでいきたいと思いました。その観点から言うと、大和屋さんはもともとハーツクライが出資馬で、その子供のジャスタウェイを所有。そして、今はジャスタウェイの子供がいる訳じゃないですか。こういう流れはすごく羨ましいなと思うので、エピファネイアからの流れが後に続いて、楽しめるようになったら嬉しいなとも思いますよね。

大: G1の時に競馬場に行けることは貴重だと思います。

森:そこに至るまでの日々の充実度というか、緊張の度合いなども醍醐味ですよね。新聞の記事を見てニヤけたり。馬主にしても、出資馬にしても、そういう楽しみはありますね。

大和屋POG

▲皐月賞を制しダービーでも1番人気に支持されたサートゥルナーリア

大:でも「(サートゥルナーリアの敗戦がショックで)ダービー以降は競馬場に行っていない」と、さっき言っていたよね?

森:ええ…まさかサートゥルナーリアが負けるとは…。そういうこともあるんだな、と思う、思い込むしかないですよね。

大:でも、馬自体はこれからドンドン強くなってくるだろうし、出遅れもあったしね。

森:そうですね。POGの集計は一旦、区切りですけど、まだまだ元気に頑張ってもらえるので、そこは楽しみですし、頑張って欲しいと思いますけどね。

大:レイデオロとサートゥルナーリアが一緒に使ったりする日が来るかもね。

森:そうなると楽しみですね。秋のローテーション次第では十分あり得ますからね。

大:今後のことは存じてないけど、万が一、長いところ(菊花賞)を使わないで、天皇賞(秋)を使えば、すぐにでも実現する可能性はあるわけだもんね。いいね。羨ましい。

エピファネイア産駒など各パネラーの4~5位指名馬を発表!

小:早速ですが、今年の指名馬についてよろしくお願いします!まず、順番としては座席の並びに沿って僕、聡平さん、大和屋さん、森川さんとなります。僕の第5位は初めての出資馬であり、残念ながら5着に負けてしまったのですが…シャルロワ(牝、栗東・梅田智厩舎、父ハーツクライ)です。初戦は5着でしたが、ジョッキーや調教助手さんもいい評価をしていたので、巻き返しに期待したいところ。とはいっても、もともと遅生まれで、成長も遅いであろう血統のハーツクライなので。

森:それでいて、なぜこの時季にデビューしたのですか?

小:牧場レポートを見ていても、ウィークポイントが少なく、トレセンで調教を開始しても、いい時計で動いていました。しかも楽な手応えで終いがしっかり伸びる、という調教ですからね。ただ、実戦では、最後は伸びなかったという…。

森:でも、勝ち負けもそうですけど、この時期にデビュー出来ること自体がいいですからね。6月のこれだけ早い時期にデビューするというのは楽しいですよね。チャンスは一杯あると思いますね。

小:そうですね。とりあえず放牧には向かわず、引き続き使うみたいなので、今後に期待したいですね。

大和屋POG

聡:僕の5位はイルミナル(牝、美浦・奥村武厩舎、父ロードカナロア)という馬です。母のクルミナルは知っている方もいらっしゃると思いますけど、桜花賞2着、オークス3着の実績で初仔になります。11月に399キロと小柄だったのですが、2月の坂路調教の頃には445キロになって、まだ6月14日でノーザンファーム空港から脱出できず、今の時点で430なので、ちょっと小柄なところは気になりますね。

大:どこのクラブの馬かな。

聡:キャロット。クルミナルの馬券をしこたま買っていたという思い出が非常に強いのですが、桜花賞、オークスともに当たっていません。(桜花賞では)レッツゴードンキも買っていなかったので…。

大:ルージュバック世代ですね。

聡:ジャスタウェイの須貝(尚介)先生の厩舎だったということもあって、応援していたこともあったのですが、馬券は獲れず…。でも、子供が出てきて初仔になりますし、父は今をときめくロードカナロアですからね。まだ、ちょっと体が弱いところがあるので、デビューは先になるかもしれないですけどね。ジンクスはあまり気にしないのですが、何を隠そう、3月31日生まれなんです。僕も出資していたシーザリオと一緒なので、これも踏まえて5位指名にしてみました。

大:嫁さんの誕生日ですね(笑)。

聡:ええ(笑)。

森:カナロアとクルミナルと言ったら、つい最近まで走っていたイメージがあるからね。もうデビューなんですね。

聡:クルミナルはオークスが終わって引退をして、5戦しかしていないですからね。

森:あまり消耗していないので、お母さんとしても楽しみですね。

小:使っている牝馬だと、なかなかいい仔が出づらい…と聞きますからね。

大:僕はスタインウェイ(牡、美浦・古賀慎厩舎、父ジャスタウェイ)なのですが、小野田さんと同じ感じで、4着でしたね。「一番槍」で2歳戦開幕週にデビューしたんですけど…。勝てるぞ、的な話を色々聞いて、期待していたのですが、勝てませんでした。とりあえず放牧をして、8月くらいにまた未勝利戦を使う予定です。今回はダメでしたけど、頑張って欲しいなと。

小:競馬場でも嫌な予感がすると、パドックを終えてからおっしゃっていましたね。

大和屋POG

森:僕の5位はクレドラネージュ(牝、栗東・松下厩舎、父エピファネイア)です。これはクラブのG1レーシングです。冒頭で申し上げた通り、今年はエピファネイア産駒が多く出てくるので、色々調べたところ、追分ファームの中でも期待馬らしく、メディアでも取り上げられていること。仕上がりも早くて、もう入厩して一旦放牧に出されているのですが、デビューも早そうだということで、この馬を5位指名とさせてもらいました。

聡:エピファネイアの子は評判がいいですよね。

森:評判はいいですよね。ただ、新種牡馬の初勝ちはキズナ産駒に持っていかれちゃっていますし、そんなに急ぐ必要もないのかなと。まだ、それほど期待の大きいエピファネイア産駒が出てきていないのもあるので、これからいい馬が出てくるのかなと思います。

小:エピファネイアの弟のリオンディーズの産駒は来年ですか。

森:来年です。それも楽しみですね。社台スタリオンじゃないし、リオンディーズは意外に安いかなと思ったのですが、子供の評判がすごくいいらしくて、けっこう高い値段が付いているらしいんですよね。あの馬もダービーで競走馬生活は終わりましたけど、順調だったら、もしかしたらG1を勝ったかもしれないという潜在能力を考えると、楽しみですね。

大和屋POG

▲産駒がデビューしている新種牡馬エピファネイア

小:続いて4位ですね。僕はプラトン(牡、栗東・音無厩舎、父ディープインパクト)です。実は、この1つ上(フランクリン)もその上の兄(フランツ)も、この場では指名させてもらっているのですが、遅咲きということもあって、開花し切れずという結果続きです。しかし、今年の2歳はさらに評判がいいみたいなので、ソロソロ当たりが来るんじゃないかというところですね。

聡:クラブの馬ですか?

小:いや、近藤英子さんですね。(兄弟の)フランツもフランクリンも、後々ですけど、兄も下級条件でけっこう強い勝ち方をしているので、素質はあるんじゃないかと思っているんですけどね。

聡:僕はグランドデューク(牡、栗東・庄野厩舎、父ジャスタウェイ)です。母がバロネスサッチャーで、北米で3勝していた馬なのですが、この馬は、1歳の10月くらいから早めに坂路を始めて、1月頃には500キロを超えるような大きな馬格でした。もう5月9日に栗東トレセンに入厩して、5月31日にはゲート試験を合格しています。今は一旦(ノーザンファーム)しがらきの方に放牧に出ていますが、小倉開催でのデビューを目指しているので、8月くらいには出てくるだろうと思います。この後、僕が推している馬がけっこう遅咲きというか、まだデビュー予定が決まっていない馬も多いもので、この馬はキャロットの馬なのですが、ジャスタウェイ産駒で期待しているところ、牡馬を推したいと思い、この馬を第4位指名にしました。

小:見た目が短距離の馬ですね、去年のカタログで見た記憶があります。

聡:そうですね。短いところで。POGなので、短いところでもコツコツ稼いでいただければなと。

大:これはジャスタウェイじゃない、(出資した理由は)ゴールドシップということなのか、人間関係なのか、G1レーシングの馬でデュアルネイチャー(牝、美浦・国枝厩舎、父ゴールドシップ)です。

大和屋POG

小:大和屋さんがゴールドシップ産駒に出資されているんですね。それはまた面白いですね。

大:出資しています。このコーナーやコラムでも話題にしている友達がG1レーシングにいて「クラブの馬がG1を勝ったら、入会してください」的なことを、ずっと言われていたのが、 (クラブが)G1を勝ったので、約束通り入会させてもらって、購入したのがこの馬です。おそらく福島の新馬戦ですね。

聡:ゴールドシップも初年度ですよね。

大:「動きは水準以上だ」ということですし、顔が真っ白で、かわいいんですよ。楽しみにしています。

森:第4位はカイザーライン(牡、栗東・藤原英厩舎、父エピファネイア)。エピファネイアでお母さんが秋華賞馬のアヴェンチュラということで、まさにキャロットの結晶のような血統になっています。

大:これは買ったの?

森:いえ、買っていないです。クラブで聡額6000万くらいの価格帯がけっこうG1を勝ちやすいイメージがあって、実はエピファネイアも6000万、レイデオロも6000万ですからね。このカイザーラインもいい血統の割には6000万の募集であったということですね。アヴェンチュラの3番目の子供なのですが、上の2頭が全然走っていないんですよ。ソロソロ3番目の子供で走れるかなというところと、血統的にもサンデーの4×3ということですね。

やっぱりクラブの馬というのは、どこの厩舎に預けるかということをよく見るのですが、藤原(英昭)厩舎に入るんですよね。去年のリーディングの厩舎でもありますし、お母さんは角居厩舎で、(兄弟は)両方とも角居厩舎だったんですよ。ただ、角居さんが勇退されるので、どこかとなった時に、藤原厩舎を選んでいるところにクラブの期待の重さがあるのかなと思いました。これは4位指名という形で、エピファネイア産駒の中でも非常に期待している1頭ではありますね。

3位指名で思い入れの深いシーザリオ産駒が登場!
大和屋暁のPOGドラフト会議'19~'20・TALK2はコチラ⇒