-中京記念-平林雅芳の目

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日曜中京11R
中京記念(GⅢ)
芝1600m
勝ちタイム 1.35.1

フラガラッハ (牡5、デュランダル・栗東、松永幹厩舎)

※※フラガラッハが鋭く伸びて重賞、初制覇!!

発表は良馬場となっても、芝の内目を突いて来る馬はまれ。馬場の真ん中あたりが戦いの場となっている中京コースの芝だ。横に広がったなかから、残り1ハロンで内目から先頭に立ったオセアニアボス。完全に抜けそうなタイミングだった。しかしやはり最後は内目より外が伸びだす。ショウリュウムーンが出てそのまま押し切るのかと思えた瞬間に、フラガラッハの勢いが凄くあっと言う間に抜いて行った。ゴールを過ぎた瞬間には、高倉Jが右こぶしを下へするガッツポーズで通過して行った・・。

池江厩舎音無厩舎が同じく3頭出し。そして人気は音無厩舎のダノンヨーヨーが1番人気で2番人気もレッドデイヴィス。3番人気は池江厩舎のエアラフォン。だが上位の5頭ぐらいは小差のオッズ。
そのエアラフォンが出遅れた。ダノンヨーヨーもあまり良くない。中では五分に出たゴールスキーがすぐに下がった。内ではフラガラッハがジワっとしたスタート。最初から行く気がないのだろう。
しばし横一戦のなかから、最内レッツゴーキリシマ、中レッドデイヴィス、タマモナイスプレイと出て行く。ダノンカモンエーシンリターンズがその後。

1ハロン行ってレッツゴーキリシマ先頭で、タマモナイスプレイが半馬身差の2番手。レッドデイヴィスが内目の3番手となる。ここらで最後方はフラガラッハ。先頭から10馬身ぐらいか。
2ハロンめを通過する時には、前の2頭から3馬身ぐらい後ろの位置の3番手をダノンカモン、内にレッドデイヴィス、エーシンリターンズを前に置いてショウリュウムーンが今日はこの位置にいる。その後ろにトライアンフマーチ。後方ではゴールスキーがブービー、フラガラッハが最後方だ。

3ハロンのカーヴを廻って行く手前の3ハロン通過は、35.3とそう速くない入り。3番手グループに、マイネルクラリティがショウリュウムーンの外に上がる。
4コーナーまではけっこう内目の進路を通る各馬。だいぶ前との差がなくなってきた。3番手グループがだいぶひしめき合いだし、最内はレッドデイヴィス、隣りのダノンカモンの手応えが怪しくなり始める。マイネルクラリティ、エーシンリターンズ、その外にショウリュウムーン。真後ろにトライアンフマーチだ。

そして直線に入って来たが、先行2頭も少し馬場の中目へ出す。開いた内へスルスルっとオセアニアボスが入って来る。全馬が見えだした瞬間には、最内のオセアニアボスがいいタイミングで出てくる。残り2ハロンを残して先頭だ。後ろをレッドデイヴィスも内目を狙う。オセアニアボスがそのまま押し切るのかと思えた残り1ハロン。追ってきた内目の馬5、6頭よりも外の馬の方が勢いが増したのが残り100ぐらい。
ショウリュウムーンが前を捕えて先頭に踊り出る。外にトライアンフマーチが続く、と思った瞬間に、その2頭の中を割ってフラガラッハがグイグイと出てきた。それこそあっと言う間に一番前へと出て半馬身、1馬身と抜いて行った。
2着にショウリュウムーン、3着はトライアンフマーチだが、ミッキードリームがその内から猛追していた。ゴールスキーがさらに内目から5着だった。

今回の中京芝は最初の週ぐらいだけ内ラチ沿いを走る馬がいたが、すぐに進路を外に取る馬ばかり。また実に外が伸びる具合であった。たまに内から抜け出す馬もいたが、おしなべて外を通る傾向であった。
この中京記念も最後の1ハロンは12.9とかなりかかる。馬場のいい処を凄い伸びできたフラガラッハは、メンバー中最速の上がり脚を使っている。ただ1頭だけが34秒台の34.7。今まで夏の暑い時期に使った事がなかったが、今年はそれが逆に巧くいった様子でもある。元々いいものを持っていた馬だが、馬名の意味、神話に登場する《剣》だそうだが、まさしくその切れ味は凄かった。
そして2着ショウリュウムーンも好位でレースを進めて力を出し切っての競馬。久々のトライアンフマーチとやはり地力のある馬達である。

それにしてもこの中京コースは、直線が長くなり延びた事と芝の内目の疲弊が激しく内不利の傾向が続く。逃げよりも完全なる差し馬有利の競馬だと感じるものであった。次回の開催にはもっともっと勉強、研究せねばと思う・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)

競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。