-CBC賞-平林雅芳の目

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日曜中京11R
CBC賞(GⅢ)
芝1200m
勝ちタイム 2.08.7(レコード)

マジンプロスパー (牡5、アドマイヤコジーン・栗東、中尾厩舎)

※※自分から出て行き、もぎ獲った勝利。マジンプロスパーだ!!

発表は重、朝からけっこう降った雨もこの時間は止んで晴れ間も見えたほどに。そしてまるでGⅠかと思える場内の手拍子で始まったCBC賞。
スッと好位の3番手につけドンドン前を伺う位置取りのマジンプロスパー。直線1ハロン手前では早くも先頭に立って、少し内へ切れ込みながらも早めに勝利の大勢を決めた。
最後は馬場の悪い内めでもあり、大外の馬場のいい処を強襲してきたスプリングサンダーに迫られはしたが、大勢は決していたはず。勝ちに行った乗り方と思えるもの。ハンデも2番ハンデの57.5キロを背負いながら早めの競馬を心掛けた、浜中Jの技ありの一戦でもあった・・・。

火曜朝に中尾師と立ち話。『ええ、何も指示はしてませんよ。好きな様に乗ってこいの気持ち。よく判ってますからね。背負ってますから、あの位置でレースしてくれたのも良かった。今思えば枠順も外で良かったんですね~・・』と淡々と語る師であった。
ゴールに入った瞬間に思った事は『浜中Jがえらく積極的に乗ったな~・・』と。何せ、ゲートオープンから視界に入るのはマジンプロスパーの勝負服と勢いの良さであった。そして直線でも内で粘るエーシンダックマンに寄って行きそれを交して早く先頭。そのまま押し切ったの印象であった。それ程までに目立つマジンプロスパーと浜中Jの行動であった。

スプリングサンダーが出てから挟まった様で、馬群のいちばん後ろ。オールブランニューサンダルフォンがその少し前。後はほとんどが横一列のスタート直後の図だった。
内から押してエーシンダックマンが出て行く。1ハロン行ったあたりでホットチリペッパーが外から2番手に上がる。ここでマジンプロスパーが3番手の外め。左後ろにダッシャーゴーゴーがいる。外にエーシンヒットマンが並ぶ位置だ。

2ハロンを過ぎて3コーナーのカーヴへと入って行く。ここらでは態勢はそう変わらないのだが、4コーナーとの中間点では、先頭のエーシンダックマンの外へホットチリペッパーは半馬身差、さらにマジンプロスパーも半馬身差。その外にエーシンヒットマンがほぼ同じ位置にいる。その次のグループの一番外へオウケンサクラが上がって来ていた。ダッシャーゴーゴーはもうひと列後ろ。そして4コーナーに先頭集団が入って来ていたが、もう前の4頭は横並び。中でも内から3頭目のマジンプロスパーの手応えがいい。

4コーナーを廻ってすぐの残り2ハロンの時には、コーナーワークでもう一度エーシンダックマンがリード。1馬身は出ただろうか。残り100も進まないうちに、浜中Jの右ステッキに呼応してマジンプロスパーがエーシンダックマンに接近、抜いて先頭に踊り出た。
真後ろを内から接近してきたグランプリエンゼル、外エーシンヒットマン。一番外へダッシャーゴーゴーが迫るが、もうマジンプロスパーはリードして差を広げだす。

残り100の標識を通過する時には、2馬身リードのマジンプロスパー。2番手にダッシャーゴーゴーが上がった、と思えた瞬間に大外から大きなストライドでスプリングサンダーが接近して来て抜き去り、さらに前をも飲み込む勢いだ。しかしチラっと横を観る浜中Jのマジンプロスパーはすぐ目の前がゴール。
スプリングサンダーは猛追したが2着。ダッシャーゴーゴーが何とか粘ってオウケンサクラの攻めをしのいでいた。

昼過ぎの新馬戦のあたりは、内も外も同じぐらいの馬場コンディションと思えていたが、時間が経つほどに、内の使用度に影響されてかなり蹄跡が残りだし、見ため以上に悪くなってきていた様子。スプリングサンダーの使った脚は勝ち馬を1秒も上回る末脚で33.8。それでもマジンプロスパーのレースを造っていった脚には適わなかった。ダッシャーゴーゴーはひとえに馬場に尽きるのだろう。59キロを背負って道悪では辛い。

マジンプロスパーのこの勝ち方は、阪急杯を勝った時がこんな感じの早め早めの積極策でもぎ獲った記憶がある。そして2着もその時と同じようにスプリングサンダーであった・・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。