キャメロットが英愛ダービー制覇…和田栄司コラム

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30日、愛キルディアのカラ競馬場で行われた第147回愛ダービー(芝12F)は、二冠馬キャメロットが無敗のまま5連勝で英愛ダービーダブルを達成した。

キャメロットの出走で5頭立てとなった今年の愛ダービー、キャメロットの人気は5ポンド買ったら1ポンド儲かる圧倒的な倍率だった。レースは、ダービー3着馬でキャメロットの僚馬アストロロジーの先行でスタートした。隊列は早い段階で落ち着き、3ハロン走った登りに入るところでアストロロジーのリードは4馬身に広がった。アキードモフィード、4分の3馬身差で外にライトへヴィー、2馬身半差でキャメロット、2馬身差最後方にシーザスターズの半弟で2番人気のボーントゥシー。

残り4ハロンのダウンヒルに差し掛かったところで、アストロロジーが脱落、アキードモフィードとライトトゥへヴィーが交わして行く。アストロロジーが、こんな早い段階で潰れたのはグッドトゥへヴィーという雨を一杯含んだ馬場のせいか。1馬身半差でキャメロット、同じく1馬身半差でボーントゥシーも続いた。直線残り2ハロン、今度は馬場の中央からキャメロットが先頭に立つ。内でライトトゥへヴィー、外でボーントゥシーが続き、ボーントゥシーが急追するも、最後は突き放されて2馬身のリードを取って優勝した。

息子のジョセフ・オブライエン騎手を鞍上に、バリードイルのエイダン・オブライエン調教師は7連覇を達成、1997年のデザートキングから数えて10度目の愛ダービー優勝を飾った。キングマンボ産駒でG3ダリアSを勝った母タルファーと父モンジューの間に生まれたキャメロットは、5戦5勝、目下G1・4連勝。馬主でクールモアを率いるジョン・マグニア氏は「この後は休養を与えます。私は、デリック(スミス)やマイケル(テーバー)が三冠馬のオーナーになりたい夢を持っていることを知っている。全てが順調なら、我々は彼を三冠馬にさせるでしょう」とコメントした。

1970年のニジンスキー以来三冠馬は出ていないが、クールモアのドンカスター出走が実現すれば、42年振りの三冠馬誕生で秋の競馬はさらに面白くなって来る。セントレジャーは9月15日、英ドンカスター競馬場で行われる。

さてバリードイル、このキャメロットの愛ダービー制覇で今年のG1勝鞍は9勝となった。今週は7日、英サンダウン競馬場でG1エクリプスSが行なわれ、バリードイルはプリンスオブウェールズSを勝ってG1・10勝目を挙げたソーユーシンクを送る。エクリプスSには当初、無敗のフランケルが挑戦する予定だったが、フランケルは登録から外れた。

現在15頭の登録だが、バリードイルは4頭をエントリーしている。ここは再びペースメーカーを伴っての出走になるだろう。強敵はゴドルフィンか、プリンスオブウェールズS3着のファーにはフランキー・デットーリ騎手、ドバイワールドカップ勝馬モンテロッソにはミカエル・バルザローナ騎手が決まっている。

昨年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS勝馬ナサニエルもこのレースで復帰する。他、G2ダンテS勝馬でダービーは火が付かず6着に敗れたボンファイアー、G1共和国大統領賞を勝って来たクラッカージャックキングはライアン・ムーア騎手とのコンビで参戦、G1ガネー賞2着のジオフラも出走する。またジャドモントファームズは、G1・4勝馬で2010年の勝馬トゥワイスオーヴァーと今年のドバイデューティーフリー勝馬シティースケープの2頭で臨むことが決まっている。

尚、エクリプスSを回避したフランケルの次走は、8月1日グッドウッド競馬場で行われるG1サセックスSに決まった。連覇を狙っての出走になるが、クイーンアンSで11馬身千切ったフランケルに敵はいない。ここを使って8月22日のジャドモントインターナショナルSで距離を伸ばすプランのようだ。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。